菅首相が“脱原発”を唱えてから、菅首相への風あたりはますます強くなっている。既に退陣表明した総理が日本のエネルギー政策を云々する資格はないとして退陣を求める声があるが、“脱原発”が国民の大多数の意見であることを否定する者はいない。諸々の世論調査からも、脱原依存度を減らし、将来的には原発を零にするという日本の方向性については、多くの国民が認めている。
しかしながら、国会論戦を聞いていると、明らかに原発推進を求めていると思われる意見が多数ある。脱原発依存の方向性の妥当性については認めながらも、脱原発の工程表が明確でないとか、産業界の需要を満たす電力供給ができなくなるとか、夏の電力需給がひっ迫する恐れがあり熱中症が多発するとか等の理由を掲げて、だから脱原発への方向転換は駄目だとして、菅首相を追及する。
原発稼働を求める電力会社の意を汲んで、稼働賛成意見を求めたと報道されている佐賀県知事。献金も、電力会社役員らは自民党へ、電力労組は民主党へ。与野党を問わず、原発稼働を求める意見が多くなるのは必然か、と思いたくなる。
原発事故処理は現在も続く。野菜等の出荷停止に始まり、牛肉の出荷停止。そして、更に米についても検査を実施すると報道されている。
福島原発事故から何を学ぶかは重要である。
更なる地震の発生が予測されている状況の中で、更なる想定外の被害は許されない。
今必要なのは、誰かの利益温存ではなく、更なる原発被害を発生させないために、脱原発への工程表の策定である。
次期総選挙に備えて、選挙民は、誰が本当に日本の将来の展望を考えているのかを見極める眼を持つことが肝要である。