8月3日に開催された衆院沖縄北方特別委員会での、沖縄の基地問題に関するやりとりは興味深い。同日は我部政明氏(参考人 琉球大学国際沖縄研究所所長)が意見陳述した。(衆議院TV(クリックすると同HMへ)より採録して要旨を掲載)。
日本の安全は米軍により維持されている。負担は沖縄に、日本は繁栄。沖縄の基地を維持するために日本を甘えさせた。・・基地負担が軽減されないのは、日米が異なる利益を有しているから・・。米国の利益は日本人が計り知れないものがある。 ・・21世紀の今日、米国攻撃、日本攻撃する国があるか。経済成長を遂げれば遂げるほど、戦争が割りに合わない行為であることが明らかになってきている。・・軍事攻撃・・よりも経済活動の中で利益を得ることのほうがはるかに容易である・・。事実、米国・日本・中国間での投資・交易交流が盛んに行われている。相互に破壊しつくす核攻撃はもちろん、戦争につながるような軍事衝突は避けるようになっている。 このように東アジアにおける戦略関係が変化している中、沖縄に依存する日本の安全保障を見直す時期がきている・・。・・沖縄から米軍基地を削減するということは、地域に貼り付ける戦略必要性から脱却しようとしている米国の戦略の流れにも適合してい(る)・・。 ・・・・ 3.11が東日本の復興だけでなく、新しい日本の基点となるという議論が出てきてい(る)。60年間以上にわたって沖縄に甘えてきた安全保障の転換点でもあ(る)。いわゆる、脱沖縄依存の安全保障政策を検討していただきたい・・。 |
冷戦構造の崩壊に始まり、経済の世界化、めまぐるし変化していく状況の中で、沖縄の基地問題だけは思考停止状態にある。危険性除去を目的として移設すべき基地でさえも県内に、というのが日本政府が選んだ途である。植民地支配同様の日米地位協定の存在、更にオスプレイ配備など、沖縄の抱える問題は何も解決されないうちに、新たな問題が湧いてくる状況だ。沖縄に基地ありきの発想では何も解決しない。そのことを、我部氏は指摘されたのだと思う。
北沢防相はオスプレイ配備に関して、防衛省も一生懸命にやっていると国会で答弁している。しかし、実質的に反故にされたも同然の騒音防止協定、米軍常駐機の訓練移転後の外来機の飛来による爆音の増加、嘉手納基地周辺のみならず沖縄県全体が米軍機の飛行ルートとなり爆音被害地域となっている現状等を見るとき、防相の発言を言葉通りに信用することなど不可能だ。
沖縄の基地問題の解決のためには日本政府が本腰を上げ、米国にものを言わなければ何も変わらないのだ。