八重山地区で使用する来年度の教科書の選択について、沖縄全体を巻き込んだ議論を呼んでいる。議論の焦点は、沖縄戦の実相を記していない教科書の選択は許されない、という点である。
各紙報道は次のとおりである。
教科書採択問題、八重山協は「意図的」 選定で緊急アピール(8.16琉球新報)
「つくる会」系教科書 八重山2教育長に聞く(8.13沖縄タイムス)
戦争体験者が高齢化し、戦争体験が風化していくなかで、それをどう受け継いでいくかが問題となっている。去る大戦の実相が記載されていない教科書は問題がある。特に唯一地上戦を体験している沖縄においては戦争体験の継承は重要である。だからこそ、声高に問題を指摘しているのである。
沖縄が、なぜ唯一の地上戦の場となったのか。なぜ戦後、日本独立と引き換えに、米国に施政権を委ねられたのか。沖縄の抱える問題は現在においても、なお引きずっていることの実態を認識しなければならない。
結論ありきの選択作業は、後世に大きな禍根を残すことになる。