【はじめに】 沖縄の米軍基地の問題点は次の3点 1.国土面積の0.6%の沖縄に在日米軍専用面積の約74%が集中し、振興の障害になっていること 2.騒音や事件事故等基地から派生する問題が県民生活に影響を与えていること 3.日米地位協定の改定が必要であること 私は、日米関係は重要であり、日米安全保障体制は必要と認識しているが、沖縄の基地負担は過剰であると考えている。 【米軍再編の沖縄に係る合意内容に対する私の考え】 2006年の再編ロードマップには、日米同盟の強化と沖縄の負担軽減が盛り込まれており、評価できる内容も多く含まれている。とりわけ、「グアム移転」と「嘉手納より南の施設・区域の返還」は、目に見える形で・・沖縄の基地負担軽減につながる・・。 【普天間飛行場の移設問題の現状】 2009年9月に最低でも県外と訴えていた鳩山内閣が発足し、三党連立政権は「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」ことで合意・・。・・県民に県外移設に対する期待を高めることとなった。 2010年1月に辺野古移設に反対する名護市長が誕生し、2月には県外・国外移設を求める県議会の意見書が全会一致で可決され、4月には県外移設を求める県民大会(県内41全市町村長が参加し訴えた)が開催されるなど、県内の状況は大きく変化していった。 こうした中、唐突に昨年5月、日米共同発表において名護市辺野古への移設が合意・・、県民の期待は大きな失望に・・。 政府から「なぜ、辺野古に戻ったか」について、県民の納得いく説明がなされておらず、県外移設を求める声はむしろ強まっている。 現在、県内41市町村前首長および県議会の全議員が県内移設に反対している・・。 2010年11月、私は、こうした県内の状況を踏まえ、地元の理解が得られない県内移設案は時間がかかり、事実上不可能と考え、「県外移設(国内の他県)の方が早い」を公約に掲げ再選を果たした。 【県外移設を求める理由】 辺野古移設案は、・・地元名護市長が反対をしており、市議会議員も反対派が多数を占めている。 辺野古は、多くの県民が反対していること、今から海を埋め立てて滑走路を造ることで、環境調査や工事の実施等のスケジュールを考えると相当長い時間がかかる。 沖縄に海兵隊がまとまって存在しないといけない理由や海兵隊の役割が明らかにされておらず、辺野古以外の日本国内の他の地域について、十分検討されたとは言えないと考えている。 【辺野古移設案が強硬された場合】 沖縄の状況を無視した辺野古への強行は、全県的な激しい基地反対運動につながり、日米安全保障体制に悪影響を及ぼしかねず、沖縄県民と沖縄の米軍との関係を決定的に悪化させる恐れも否定できない。 日米同盟の意義と重要性を理解する者としては、そうした可能性を危惧せざるを得ない。 【普天間飛行場の危険性が放置された場合】 普天間飛行場の移設問題の原点は、同飛行場の危険性の除去であり、一日もは会い移設・返還の実現が必要。 普天間飛行場は、危険かつ欠陥のある基地と言われている。また、周辺に住居や学校が密集する危険な状況にあり、基地の固定化はあってはならず、この状態で安定的に運用することは事実上無理である。 【結論】 日本国内の他の都道府県への移設が、合理的かつ早期に課題を解決できる方策であると考えており、普天間飛行場の辺野古移設は見直すべきである。 |
仲井間知事の講演内容は「日米関係は重要であり、日米安全保障体制は必要と認識している」との基本的立場に立ちながらも、「沖縄の基地負担は過剰である」と指摘している。しかしながら、日本政府はそれでも辺野古移設を模索し、「誠心誠意」説明し、沖縄の理解を得るとしている。
今回の仲井間知事の講演により、、「誠心誠意」説明しても沖縄の理解を得ることは困難であることが、米国にとっても明白となった。
講演の後、仲井間知事は米上院軍事委員会のレビン委員長ら3名の上院議員と相次いで会談した。当初、政治家との会談の実現が危ぶまれていたが、講演により沖縄の民意の本気度が米国に示され、会談が実現したのではないだろうか。
基地問題の解決に向けて、今後、さらに、沖縄の民意を主張し続けなければならない。
普天間「嘉手納統合は困難」 沖縄知事、米上院議員に強調(東京新聞)