今年1月に沖縄市内の交通死亡事故で、自動車運転過失致死罪で送検された在沖米空軍軍属の男性(23)が「公務中」を理由に不起訴となった事件。亡くなった男性の遺族が那覇検察審査会に審査を申し立て、那覇検察審査会は、5月27日、「起訴相当」と議決。これを受けて、通常検察官は3カ月以内に起訴するか否かの判断をすることになるが、那覇地方検察庁は、処分期限を11月25日まで延長した。
この事件に関して、那覇地検の平光次席検事は10日の定例記者会見で以下のように述べたと報道されている。(11.11沖縄タイムスより抜粋)
那覇地検の平光信隆次席検事は・・米軍属が公務中に起こした事件・事故について、「日本が専属的に裁判権をもつという考え方もあり得る」との見方を示した。・・ ・・平時に米軍属を軍法会議で処罰できないとした米連邦最高裁判決や、韓国では裁判権が行使された事例を挙げた。裁判権行使の「最終的な判断は裁判所にある」と強調し、地検側は外務省などの関係機関と懲戒裁判権の解釈について、処分期限の25日までに慎重に検討して判断するとした。 また、米軍側が同軍属の運転禁止5年の処分を「米軍としては重い」と地検に回答していると語った。・・ ・・外務省は同軍属の処分について、「米軍が交通裁判という形で懲戒の裁判権を行使した」とし、同裁判の形態などは「特に聞いていない」と答えている。 |
那覇地検の方針は、記事にも示されているように、裁判権行使の「最終的な判断は裁判所にある」となる可能性が高い。そうなれば、米軍属は起訴される。そして、米国からの裁判権行使の主張がなされれば、起訴の相当性についても裁判所が判断することになる、ものと考えられる。
記事の中で気になるのは外務省の見解である。「米軍が交通裁判という形で懲戒の裁判権を行使した」とし、同裁判の形態などは「特に聞いていない」と答えている。外務省は裁判権が行使されたとの見方を示しているが、どう考えてもおかしい。何故、裁判権が行使されたと判断することができるのか、その理由を問いただしたい。
11月25日に期限を控えた那覇地検の判断に注目である。