日米両政府は、昨日2月8日、在日米軍再編計画の見直しに関する共同発表を行った。以下は平成24年2月8日付外務省HMに掲載された共同報道発表からの抜粋である(詳細はクリック 同HMへ)。
共同報道発表 日本と米国は,日本の安全及びアジア太平洋地域の平和と安全を維持するため,両国の間の強固な安全保障同盟を強化することを強く決意・・。両国は,沖縄における米軍の影響を軽減するとともに,普天間飛行場の代替施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に建設することに引き続きコミット(本HM注:かかわり合うこと。関係すること。)・・。両国は,普天間飛行場の代替施設に関する現在の計画が,唯一の有効な進め方であると信じている。 両国は,グアムが,沖縄から移転される海兵隊員を含め機動的な海兵隊のプレゼンス(本HM注:存在感。軍隊などが特定の地域へ進出し軍事的、経済的に影響力をもつこと。)を持つ戦略的な拠点として発展することが,日米同盟におけるアジア太平洋戦略の不可欠な要素であり続けることを強調する。 米国は,地理的により分散し,運用面でより抗堪性があり,かつ,政治的により持続可能な米軍の態勢を地域において達成するために,アジアにおける防衛の態勢に関する戦略的な見直しを行ってきた。日本はこのイニシアティブ(本HM注:主導する。先導すること。)を歓迎・・。 ・・共同の努力の一環として,両国政府は,再編のロードマップに示されている現行の態勢に関する計画の調整について,特に,海兵隊のグアムへの移転及びその結果として生ずる嘉手納以南の土地の返還の双方を普天間飛行場の代替施設に関する進展から切り離すことについて,公式な議論を開始・・。両国は,グアムに移転する海兵隊の部隊構成及び人数・・も見直しを行っているが,最終的に沖縄に残留する海兵隊のプレゼンスは,再編のロードマップに沿ったものとなる・・。 今後数週間ないし数か月の間に,両国政府は,・・調整を行う際の複数の課題に取り組む・・作業を行っていく。この共同の努力は,日米同盟の戦略目標を進展させ・・,また,アジア太平洋地域における平和と安全の維持のための日米共通のヴィジョン(本HM注:将来における構想や展望。)を反映したものである。 |
今回の共同発表は、普天間飛行場の辺野古移設を堅持するとしながらも、沖縄の負担軽減につながる「海兵隊のグアムへの移転・・嘉手納以南の土地の返還」について、「普天間飛行場の代替施設に関する進展から切り離すことについて,公式な議論を開始した」としている。額面通り受けとめれば、これまで沖縄の民意が求めてきた沖縄の負担軽減に応えたかのように思われるが、沖縄の受けとめは極めて懐疑的だ。
度重なる沖縄防衛局長の不祥事や環境影響評価書の夜襲搬入など、政府への不審感が高まる中、政府の本気度は不明だ。
沖縄の民意は普天間飛行場の辺野古移設断念であり、基地負担の軽減である。
野田首相は口を開けば「沖縄の基地負担軽減」と言いながら、他方では「誠意を尽くして説明し、普天間飛行場の辺野古移設を推進する」と言う。
一方で基地負担軽減策を示しながら、虎視眈々と、あらたな基地負担、しかもそれは子々孫々までも永続するあらたな基地負担を沖縄に強制しようとしている。
沖縄の民意は、それを見抜き、だからこそ、オール沖縄で基地問題に対峙しているのである。
日米両政府は、この状況を認識し、沖縄へのあらたな基地負担を強いる施策をあらためるべきである。