沖縄県国頭郡東村高江では、米軍によるヘリパッド建設反対闘争が続いている。その反対闘争を国が訴えていたが、その判決が昨日3月14日に言い渡され、被告一人に請求棄却、残る一人に対し妨害排除請求が認められた。
その判決要旨が昨日付琉球新報に掲載された。その内容に沿って国の訴提起及び判決の不当性について述べたい。
冒頭の【訴権の乱用】で国の本裁判について次のように述べている。
・・本件訴えは、SACO最終報告に基づく北部訓練場の返還により影響を受ける地域住民との間の法律関係に関する紛争にとどまるものではなく、日米安保条約に基づき、特に沖縄県内に米軍の基地および施設等が多数存在しているという現状を背景とするものであって、司法権の行使によって本件の紛争やその背景にある社会的実態の抜本的解決を図ることができる性質のものとは考え難い・・ |
裁判所は国の本件訴訟の目的について疑問を呈している。ヘリパッド建設阻止闘争の背景にある問題を根本的に解決しなければ、問題の解決にはなり得ないと指摘しているのである。この指摘は正しい。根本は普天間飛行場の辺野古移設問題と同じであり、米軍基地の返還という基地負担軽減の裏に潜む沖縄の米軍基地の強化・固定化を図る意図が透けて見える。
高江区を囲むように6個のヘリパッド建設という計画への反対闘争は、至極当然である。昼夜・深夜・早朝を問わない米軍機による爆音禍に晒されている嘉手納・普天間両基地周辺住民の状況を知る者にとっては当然である。
深夜・未明に戦闘機等の航空機が離陸する理由を米軍に尋ねると、着陸が夜間になるとパイロットの負担が大きいので、グアム・ハワイ等の基地に帰還する時間が昼間になるように深夜・未明に離陸するという返事だ。夜間着陸となれば付近住民(米国民)への爆音被害が発生する。それら諸々への配慮であろうと推測できる。
ならば、嘉手納・普天間両基地周辺住民への配慮はないのか。米軍は応える、我々は日米間の取り決めに基づいて基地使用しているにすぎない。日本政府が認めているのだと。
現岡田副総理は外務大臣をのころ、「米軍基地の使用は、一義的には米軍に委ねられており、こちらからとやかく言うことはできない」と発言していたが、この日本政府の姿勢は現在(いま)も変わらない。
これらの状況を認めたうえでの、本件訴訟への裁判所に認識は正しい。
しかしながら、裁判所は、被告が主張する、本件訴えがスラップ訴訟であり、不適法として却下すべきであるとの主張を却下した。極めて不当であると言わなければならない。
憲法12条は「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と規定している。この「国民の不断の努力」がいかに重要かを思い知らされる。
敗訴被告は既に控訴すると表明した。控訴審での健闘を期待したい。