4月27日に発表された日米共同文書。沖縄の基地負担は改善されるのか。沖縄では否定的な意見がほとんどだ。以下、内容について検討する。
1.沖縄が求める普天間飛行場の県外・国外移設について
辺野古移設については共同文書では次のように記されている。
Ⅲ. 普天間飛行場の代替施設及び普天間飛行場 ・・・閣僚は、キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に建設することが計画されている普天間飛行場の代替施設が、引き続き、これまでに特定された唯一の有効な解決策であるとの認識を再確認した。 |
沖縄が求める県外・国外移設については一切考慮せず、辺野古移設を推進する姿勢を示した。しかしながら、「これまでに特定された」という文言が加わったことにより、これまで動かないと言われていた辺野古案が動く可能性が示されたことも事実であり、これまでの沖縄の取組みの結果である。辺野古案撤回まで、さらに沖縄の声を挙げ続ける必要がある。
2.パッケージ論の否定
普天間飛行場の辺野古移設と海兵隊の国外移転のパッケージ論が否定された。
(冒頭) ・・・第3海兵機動展開部隊(ⅢMEF)の要員の沖縄からグアムへの移転及びその結果として生ずる嘉手納飛行場以南の土地の返還の双方を、普天間飛行場の代替施設に関する進展から切り離すことを決定した。・・・ |
パッケージ論の否定により、海兵隊のグアム移転及び嘉手納飛行場以南の基地の返還が切り離されることになった。
しかし、約9000人の米海兵隊員とその家族の移転についてもその実質はローテーション移転されていた人員がその対象であり、実質的な移転はないと指摘されている。
嘉手納飛行場以南の基地の返還についても、速やかな移転対象地域は細切れであり跡地利用にはつながらないと指摘されている。
さらに、県内の代替施設提供後の返還対象施設については、基地機能の県内移設を前提としているに過ぎない。嘉手納飛行場以北の地域にあらたな基地負担を強いる結果となり、辺野古移設案と同様、あらたな基地負担を引き受ける地域は県内には皆無だ。
パッケージ論は否定されたものの、その実質は沖縄の基地負担軽減を達成するには程遠い内容となっている。