5月1日米両首脳による「日米共同声明」が発表された。日米同盟関係をぎくしゃくさせた、と喧伝されている沖縄の米軍基地、とりわけ普天間飛行場移設問題については一切触れぬままだ。
未曾有の被害をもたらした東日本大震災を契機とした米軍の可視的日本支援を取り上げ、日米同盟の強固さを自画自賛しているが、本当だろうか。
震災における原発事故は日本の進むべき途、脱原発を示した、と思っていた。ところが「日米共同声明」では次のように記され、原発推進の協力関係を確認している。
我々は、・・・原子力エネルギーの平和的、安全・安心な利用といったエネルギーに関する協力と、エネルギー安全保障に関する協力に対し、コミットすることを確認した。 |
注)コミットの意:かかわり合うこと。関係すること。
脱原発、脱原発依存等々の表現で国内における原発への不信感が高まる中、原発推進を国際公約した野田首相の姿勢は、極めて疑問である。
「日米共同声明」には沖縄の米軍基地については一切触れられていないが、人権や法の下の平等の理念に関して次のように記されている。
日本と米国は、民主主義、法の支配、開かれた社会、人権、人間の安全保障・・・といった価値へのコミットメントを共有している。今日のグローバルな課題にわれわれが共に取り組むに当たり、これらの価値がその指針となる。 |
注)コミットメントの意: 約束。誓約。公約。 かかわり。関与。介入。
「民主主義、法の支配、開かれた社会、人権、人間の安全保障・・・といった価値」を共有するというのであれば、正に植民地同様の扱いを受けている沖縄の有様に目を背けることは許されない。沖縄の米軍基地の有様に目を向け、沖縄の民意に沿った基地問題の解決を図るべきである。
基地も原発も、一部地域に犠牲を押し付け、犠牲を免れた地域、特に大都会が利益を享受するという構図は同じである。
日本全体で犠牲を分かち合うのか、新たな進路を見出すのか。日本全体が考えるべきであり、政府がその道筋を示すべきである。
日米共同声明:未来に向けた共通のビジョン(仮訳) 日米同盟は,アジア太平洋地域における平和,安全保障,安定の礎である。地域のダイナミックな成長と繁栄は,60年にわたり,このパートナーシップにより支えられてきた。 |