5月5日付琉球新報に掲載された佐藤優氏のウチナー評論「日米共同声明をめぐる力学〜両政府に譲歩させた沖縄〜」は極めて興味深い。
普天間飛行場の移設問題。鳩山元首相の「最低でも県外」公約により高まった沖縄の期待が裏切られてから、遂に辺野古移設断念にまでこぎつけた。
辺野古回帰から、移設期限の断念、辺野古埋立申請手続きの不備、さらに高まる沖縄の民意が日米両政府を辺野古移設断念まで追い詰めた。しかし、問題はこれからだ。佐藤氏が指摘するように「普天間固定化に舵を切り替えた方が無難と考える外務官僚」の動きに注意が必要だ。
佐藤氏は、 4月27日付「在日米軍再編見直し共同文書」について次のように述べている。以下は5月5日付琉球新報掲載佐藤優氏のウチナー評論」からの抜粋である。
・・普天間移設問題は在沖米海兵隊のグアム移転と切り離されたことから、事実上日本側の国内問題と位置づけられ、・・。 ・・4月27日付共同文書では、辺野古移設について「これまでに特定された唯一の有効な解決策」と記されている。今後、辺野古以外の新たな移設先の検討があり得るという趣旨だ。今回の日米共同声明で、沖縄が日本外交に本質的な影響を与える力を持っていることが明らかとなった。・・そこには五つの力学が働いている。 1.沖縄が保守、革新に分断されず、米海兵隊普天間飛行場の県外移設を沖縄の総意として要求し続けている。特に仲井真弘多知事の発言にぶれがない。・・ 2.現政権の幹部、民主党幹部に、沖縄の民意に反する形で辺野古移設を行うことが、国家統合の危機をもたらすと考える人が数人いて、・・移設強行を図る勢力を抑えている。 3.辺野古移設に固執する防衛官僚多数派と、普天間固定化に舵を切り替えた方が無難と考える外務官僚の利害が錯綜し、官僚勢力の力がまとまらない。 4.防衛官僚内部で、派閥抗争が激化・・ 5.米国が1〜4の現状を見て、普天間問題は「筋悪案件」なので、あまり深く関与しないほうがよいと考えて、・・圧力を本気でかけていない。 沖縄が、少しずつであるが、米日両国政府を譲歩させている。沖縄が・・粘り強く主張するならば、それは必ず実現する。 |
沖縄は、沖縄の声を、あらゆる手段で、さらに訴え、発信し続けなければならない。