嘉手納町の現状から感じるところでは、h規定で禁止されている超音速飛行は最近は見られなくなった。遵守されているのはこの規定のみ。他はまったく守られていない。
昼間はもちろん、夜間・深夜・早朝に及ぶ離発着・エンジン調整・充電による爆音、更に排気ガス、夜間訓練時の放送、午後10時の消灯ラッパ、午前6時の起床ラッパ等々、付近住民の生活環境を破壊するには十分過ぎる程の基地被害である。
このような状況では騒音防止協定の規制措置が米軍において遵守されているとはいえない。その理由は各規定に盛り込まれた例外規定である。「2.規制措置に付された条件」に記載したとおりである。そこで検証すべきは米軍の運用が当該例外規定も含めて規定に沿ったものであるかの検証である。
検証作業1は規定内容が遵守されているか否かである。
例えば、夜間運用についてはi規定で制限されている。しかし、現実には連日夜間運用されている。そこで検証すべきは当該夜間運用が「・・任務を達成し、又は飛行要員の練度を維持するために必要な最小限・・」なのか否か。「部隊司令官は、できる限り早く夜間の飛行を終了させるよう最大限の努力を払・・」ったか否かである。
規定上、「・・必要な最小限・・」なのか否か、「・・最大限の努力を払・・」ったか否か、についての説明責任は米国にある。そこで、これらについて、日本政府(沖縄防衛局)は、米国(米軍)に対して説明を求める。そこでは騒音防止協定を実行あらしめるための議論が必要になる。
仮に、米軍が、軍の機密上の問題として説明できないとなれば、現行騒音防止協定では爆音防止の効果が期待できないことが明らかとなる。騒音防止協定を実効性あるものにするための改定が必要となる。
検証作業2は、仮に協定に従った運用が実施されているとして、それが爆音防止・減少の効果をあげているか否かである。爆音測定や飛行状況についての目視調査が必要であるが、現状は市町村、県及び沖縄防衛局が各々で爆音調査を実施している。各機関は調査結果及びその評価について公表していくことも重要だ。
実施されている防音工事がどれだけの防音効果をあげているのか。普天間訴訟でも問題が指摘された低周波音の影響、そして排気ガス被害等々。沖縄防衛局及び周辺自治体が実施しなければならない基地被害に関する基地被害調査は多岐に渡る。
これらの検証結果から、現在の騒音防止協定が爆音防止の効果をあげているのか否かを判断する。現状は被害状況は悪化の一途をたどっている。
効果をあげていないとすれば、効果をあげるための改定作業が必要となる。その時には、日米地位協定、更には日米安保のあり方についても議論が必要になってくる。
重要なのは騒音防止協定を締結した日米両政府が、この協定を実効あらしめるために努力することである。協定締結から16年が経過するにもかかわらず爆音が激化している現状は双方がその努力を怠っている証だ。それだけではない。動かない日米両政府に対して怠慢な態度に終始した沖縄防衛局及び周辺自治体も同罪だ。基地周辺住民の基地被害を放置し続けている現状からすれば同罪としかいいようがない。
早急に具体的検証作業を実施すべきである。