昨日5月31日、沖縄県は平成23年度航空機騒音測定結果(速報値)(クリックで同HMへ)を公表した。
同測定結果によれば、爆音被害は何ら改善されておらず、日米間で合意された騒音防止協定以降もほとんど何も変わっていない状況が明らかになった。以下は、嘉手納飛行場周辺の爆音状況である。
①国が定める航空機騒音環境基準値(W値)(クリックで環境省HMへ)を越える場所は、15測定局中8局、うるま市美原・昆布、沖縄市北美・知花、嘉手納町屋良(A・B)・嘉手納、北谷町砂辺とされている。
自らが定めて環境基準さえも達成されていない状況は相変わらずであり、戦後60年、復帰40年を経ても何も変わっていない状況が、また、明らかになった。
②1日あたりの騒音発生回数はほとんどの測定局で前年度比で減少しているものの、嘉手納町屋良(B)では92.4回/日を記録している。同嘉手納でも65.7回/日である。
1日あたり92.4回の爆音が発生するこということは、1時間当たり3.85回、約15分に1回の割合で爆音が発生する計算になる。15分に1回の爆音が発生するということは、爆音が止むことはない状況を示している。
③最大ピークdb、最もうるさい爆音レベルについては、読谷村伊良皆での99.6dbを除く17局で100dbを越えている。

上表にも示されているように、100dbの音量は自動車のクラクションを前方2mで聞く音量であり、長時間曝(さら)されていると難聴になる、とされている。付近住民がいかに不健康な環境に曝されているかが理解できる。
④航空機騒音規制措置前後の航空機騒音発生状況の一覧表は極めて興味深い。
航空機騒音規制措置とは、平成8年に日米間で合意された『嘉手納飛行場及び普天間飛行場における航空機騒音規制措置に関する合同委員会合意』(クリックで外務所HMへ)のことである。
合意前の平成7年の数値との比較であるが、うるささ指数(W値)についてはほとんど変化はなく、環境基準達成には程遠い数値である。
また、夜間騒音発生回数については、嘉手納町屋良(A)は3分の1に減少しているものの、同嘉手納は2.7倍と増加している。駐機場移転等により被害地域が移っただけで、爆音被害の解消にはなっていない。爆音解消には程遠い日米政府の姿勢が見て取れる。
騒音防止協定合意から14年。嘉手納基地を巡る状況は何も変わってはいない。地域住民が声を上げなければ何も変わらないのである。その意味において第3次嘉手納基地爆音差止訴訟提訴の意義は大きい。 原告のみならず、地域住民が声を挙げていく必要がある。