普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた環境影響評価書は、昨年12月28日午前4時に沖縄県庁に夜集搬入された。(未明の環境評価書搬入 沖縄タイムス号外 ・琉球新報号外クリックで同HMへ)
この環境影響評価書に対する県の専門家によるアセス審査会は、今年2月8日、評価書で示された内容では周辺の生活・自然環境等を保全することは不可能であるとの答申を県に提出した。
これを受けて仲井真知事は、2月20日、環境保全上重大な問題があり、自然環境の保全を図ることは不可能であるとの意見書を、国に提出した。
以上の経緯により、防衛省が設置したのが「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価に関する有識者研究会」であり、その第1回会合(4月27日)の要旨が公表された。委員は9名。詳細は防衛省HMで確認することができる(クリックで同省HMへ)。
委員からの指摘は、環境評価書の不十分さを指摘している。
「評価書全体として『影響が小さい』との評価になっているが『影響が小さいからいい』だけでは通らない」という指摘は、評価の曖昧さを指摘しているし、「最近・・の事業のアセスの評価においては、どの程度の影響が見込まれるか明確に表現し、その上で代償措置や軽減措置について記載している例が多い。」との指摘は評価書自体の不完全性を指摘している。辺野古移設の結論ありきの環境影響評価書ではないかとの疑念が湧いてくる。
同研究会は、既に5月17日に第2回会合が開催されている。
同研究会の議論の行方に注目である。
「普天間アセス」有識者研究会 評価書補正に向け意見(QAB 動画)
以下は意見部分の抜粋である。
(1) 環境影響評価書及び沖縄県知事意見について ○水の濁りについては、・・堆積後の自然条件により、予測結果が異なる・・これらを含むシミュレーションの内容を確認したい。 ○・・細かい土砂の堆積により、その中の栄養塩類、特に窒素がサンゴ類に影響を与える・・、予測は注意深く行う必要がある。 ○水の濁りと堆積については、既往の研究成果との照合により、影響がある程度分かると思うが、予測計算をどれだけ詳しく行っているか確認したい。 ○サンゴ等の分野については、今後の精査も必要だが、良く調査されていると思う。しかしながら、「全般的に影響が小さい」等の評価に係る表現については、検討の余地がある。 ○評価に当たり、環境基準のような客観的な指標がない項目があり、事業者側で明確な根拠を示した上で設定しなければならない。これまでの経験もあるだろうが、これを短期間で設定するのは難しいのではないか。 ○事業を行えば生物等の環境に対して・・影響を与えるのは間違いなく、・・影響・・を定量的に評価して、リスク確率として明確にさせることが生態学的に重要と考える。 ○最近行われた他の事業のアセスの評価においては、どの程度の影響が見込まれるか明確に表現し、その上で代償措置や軽減措置について記載している例が多い。 ○騒音についても、影響がどの程度ある又はあり得るとした上で、どの程度のリスクが生じるかを評価するべきではないか。 ○評価の基準が、これまでの科学的知見で明確にされているものと、科学的知見が追いついていないものがあると思うことから、本研究会において、現在の知見のレベルを明確に示すことも一つの方法である。 ○生態系については、評価書全体として「影響が小さい」との評価になっているが「影響が小さいからいい」だけでは通らないと思う。現在の知見でどこまで影響があるかを再度評価することは重要であるが、影響が大きいのであれば大きいと評価した上で、例えば影響を受けるものを移植するだけではなく、影響を受ける周辺の環境を含めて保全するようなことに踏み込むことも考えられるのではないか。 |