在外米軍基地の運用実態について、“沖縄県民より米軍優先の実態”が、昨日(26日)付琉球新報で明らかにされた。以下の表は同紙からの転載である。
米軍基地運用をめぐる各国の地位協定や対応の違い | ||||
協定名 | 日本 | ドイツ | イタリア | 韓国 |
日米地位協定 | ボン補足協定 | 基地使用実施手続きに関するモデル実務取極 | 米韓地位協定 | |
環 境 | 協定終了やその前に施設及び区域を返還する際、提供された時の状態に回復、または回復のかわりに日本に補償する義務を負わない(第4条1項) | 変化後の環境浄化責任を義務付け | 米軍の行動により公衆の生命、健康への危険が及ぶ場合、米軍の行動を中止できる権限 | 返還後に見つかった汚染でも米軍側に浄化責任、迅速な通報体制の義務付け |
基地内へのたち入り調査 | 米軍側に基地管理権がある。米軍の要請があった時に日本政府が関係法令の範囲内で必要な措置をとる(第3条1項) | 自治体による基地内へのたち入り調査を認め、環境影響評価の調査実施、環境汚染の浄化責任と費用負担を米軍に義務付け | 「取極」を元にした基地使用協定の締結により、自治体の調査を認める | 汚染が発生した際に自治体が基地内へ立ち入り、米軍と共同調査を実施 |
運 用 | 公共の安全に妥当な配慮を払って行わなければならない(第3条3項) | ドイツ国内法の範囲内に制限 | 米軍基地はイタリア軍司令官の統括下に置かれ、演習や輸送、事件・事故の事前通告、基地ごとの年間演習予定の提示義務付け | 公共の安全に妥当な配慮を払って行わなければならない |
上表から明らかなのは、沖縄の米軍基地の管理権が米軍にあり、基地運用についての規制は公共の安全に妥当な配慮のみで、周辺自治体はもちろん、日本政府でさえも「何も言えない」状況にあるということ。基地返還に際し、米軍は、自ら発生させて環境汚染でさえも原状回復義務を負わないことになっている。極めて理不尽だ。お隣の韓国において認められている、環境汚染発生時の地元自治体の立ち入り調査さえも認められていないのである。
日米地位協定改定の声は、これら差別的実態を改善させるために是非とも必要であるが、同改定を選挙公約に掲げていた民主党でさえ、忘れ去ってしまった。それどころか、危険機材オスプ配備に奔走しているのが原状である。
日米両政府が沖縄に対し差別的苦悩を強いるのであれば、沖縄の自らの力でこれらを跳ね返す意思を明確に示し、闘いを強化していく必要がある。
その手始めが9.9オスプ配備阻止県民大会である。すべての県民が参加し、沖縄の声を示し続けなければならない。