10月29日の野田首相の所信表明演説(全文はこちら首相官邸HM クリックで同HMへ)。演説は「明日への責任」をキーワードに展開された。しかし、その内容は野党からの「民主党に明日は無い」と揶揄されるように空虚なものとなった。
「・・信じてもらえる社会をつくりたい・・」「・・元気を取り戻してほしい・・」「・・安心できるエネルギー・環境政策を確立したい・・」「・・今を生きる世代としての責任を果たしたい・・」
演説は冒頭から野田首相の希望、思いを羅列するだけで、日本を進路については何も示されていない。
そして、日本の諸課題の解決について、特に原発については「決められない政治」の現実を露呈する。
「新たな成長のエンジンとなるグリーンエネルギー革命」の実現を唱えながら、福島原発事故がもたらした結果について「あたかも事故がなかったかのように原発推進を続けようという姿勢も、国民生活へのさまざまな影響を度外視して即座に原発を無くそうという主張も、あすへの責任を果たすことにはなりません。」と断言した。
しかしまた「今後のエネルギー・環境政策については、2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入するとした「革新的エネルギー・環境戦略」を踏まえて、遂行してまいります。」とも述べ日本の原発政策方向性について曖昧な、玉虫色な、いずれは原発推進へ向かうことを意図したとも思える内容となっている。
東日本大震災後、今なお止まない余震(余震といえるのかさえ疑わしいが)、原発事故処理も終息せず、原発事故原因の究明さえも不十分なままである。
「明日への責任」を果たす途は脱原発以外にないと思うのだが。
決められない政治の対極にある決める政治とは、脱原発政策を明確に示し、その後に、それに伴い発生する諸課題の解決にあたるということだ。