鳩山首相の「最低でも県外」公約で民主党政権が成立し、すったもんだの末辺野古案へ帰り、その後、玄葉外相は「嘉手納基地以南の米軍基地返還は、普天間飛行場の辺野古移設と切り離して推進する」と明言した。
これらを受けて、政権奪還を果たした自民党がつくり、今日4月5日に発表された計画が沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画(平成25年4月)(クリックで同HMへ)である。
同計画は返還すべき米軍基地について、Ⅰ 速やかに返還、Ⅱ 代替施設提供後に返還、Ⅲ 米海兵隊の兵力が沖縄から日本国外の場所に後に返還、の3つに分けている。以下問題点について指摘したい。
(1)普天間飛行場の返還について〜本気度に疑問?〜
普天間については、Ⅱの項目19頁に記載されているが、そもそも、危険性除去を目的としていた普天間飛行場移設だが、同計画には危険性除去の文言は無い。それどころか返還時期を「返還条件が満たされ、返還のための必要な手続の完了後、2022年度(日本国の平成34会計年度)又はその後に返還可能」としており、10年以上後でなければ返さないとしている。さらに、「返還条件」が以下のように多岐にわたり、その中には、岩国基地へのKC−130の配備や緊急時の民間空港使用改善等、おおよそ普天間基地移設とは関係のない事項まで含まれている。普天間基地の固定化を目論んでいるのではないかとしか思えない。普天間飛行場の即時撤去が沖縄の民意だ。
②返還条件 ・海兵隊飛行場関連施設等のキャンプ・シュワブへの移設。 ・海兵隊の航空部隊・司令部機能及び関連施設のキャンプ・シュワブ への移設。 ・普天間飛行場の能力の代替に関連する、航空自衛隊新田原基地及び築城基地の緊急時の使用のための施設整備は、必要に応じ、実施。 ・普天間飛行場代替施設では確保されない長い滑走路を用いた活動のための緊急時における民間施設の使用の改善。 ・地元住民の生活の質を損じかねない交通渋滞及び関連する諸問題の発生の回避。 ・隣接する水域の必要な調整の実施。 ・施設の完全な運用上の能力の取得。 ・KC−130飛行隊による岩国飛行場の本拠地化。 |
(2)返還期限にみる本気度
3頁のⅡ留意事項には、期限について次のように記されている。
この統合計画に示された時期及び年は、日米両政府による必要な措置及び手続の完了後、特定の施設・区域が返還される時期に関する最善のケースの見込みである。これらの時期は、沖縄における移設を準備するための日本国政府の取組の進展、及び米海兵隊を日本国外の場所に移転するための米国政府の取組の進展といった要素に応じて遅延する場合がある。 |
つまり、(1)に記載した普天間飛行場の返還時期についても最善の場合を記載したものであり、返還が遅れることをすでに見込んでいる。ここでも固定化の危険性を指摘することができる。
(3) 「Ⅳ沖縄において代替施設が提供され次第、返還可能となる区域」に見る本気度
この部分は8〜20頁に記載されているが、普天間飛行場を含む6基地が対象とされている。代替施設にはキャンプフォスター、嘉手納弾薬庫、キャンプコートニー、トリイ通信施設、浦添ふ頭への代替施設建設等の県内米軍基地への移設がほとんどである。これは基地の県内たらい回しにすぎず、基地負担軽減とは程遠い内容となっている。普天間飛行場の辺野古移設と同様の問題であり、沖縄の理解を得ることはできない内容だ。
以上見たように、日米両政府が、普天間飛行場の危険性の除去や沖縄の基地負担軽減という意図を持って、今回の計画を作成したとは到底思えない。普天間の固定化を目論んでいるのではないかとさえ思えてくる。腹立たしい限りだ。
普天間の危険施除去は、沖縄の基地負担軽減は、沖縄が実力行使しなければ実現できないのではないか、とさえ思えてくる。