普天間基地返還と辺野古移設を改めて考える NDシンポジウムに参加しました
昨日、10日名護市民会館大ホールで開催された、新外交イニシアティブ(ND)シンポジウム“普天間基地返還と辺野古移設を改めて考える”に参加しました。館内は1,2階とも超満員。1月19日の名護市長選挙を控えて、関心の高さを示した。
参加者の発言要旨(私が聞き取れた分について)
(1.12)掲載
④稲嶺ススム名護市長
埋立は阻止できる。名護市長には市民の生命・財産を守る義務がある。埋立申請が許可されたが、今後の埋立調査等の工事実施にあたっては、管理権限を有する河川、護岸及び道路等の使用、埋立用土砂採取等は市長の許可・同意が必要となる。私は反対の先頭に立つ。
③前泊博盛氏(沖縄国際大学教授、元琉球新報論説委員長)
平成10年に大田氏と知事選を戦った稲嶺恵一氏を知事に当選させたときも、4年前に仲井真知事を選んだときも、辺野古埋立問題が、今日のような結果になることを承知しながら選んだ。選んだのはみなさんです。ここまで辺野古問題が続くのは、キャンプシュワーブがあるから。キャンプシュワーブを返還させなければ辺野古の問題は終わらない。辺野古が犠牲になって名護市内住民が利益を得ることは止めるべき。
②マイクモチヅキ氏(ビデオメッセージ)(ND理事、ジョージ・ワシントン大学教授)
辺野古埋め立てが容易でないことは政治状況のみではない。埋立土砂の調達・運搬等の技術上の問題も多く、不可能だと考える。今後米海兵隊はローテーション配備されることになり、沖縄から撤退する。なぜ、日本政府が辺野古埋立に拘るのか理解できない。
(1.11掲載)
①柳澤協二氏(ND理事、元内閣官房副長官、元防衛省防衛研究所所長、元防衛庁官房長)
普天間問題の本質は普天間基地の撤去である。それが、いつの間に移設問題にすり替えられ、移設先として名護市辺野古の問題となっている。日米両政府はアメトムチで沖縄に受け入れを迫り、そして、今では辺野古に移設できなければ普天間が固定化されると脅すまでになった。
沖縄の海兵隊が日本防衛の抑止力になっているとの議論は嘘だ。そもそも抑止力とは米ソ冷戦時の概念。相手を倒さなければこちらの生存が脅かされる。相互交流の術をもたない者同士が相手を倒すために開発した核兵器等の最終兵器を持ち、いずれかが攻撃すれば地球が滅亡する危機に陥る可能性を双方が認識することによって意味を持つ。
米ソ冷戦が終結した現在(いま)、米中関係を視るとき、かつての米ソ対立の構図とは大きく異なる。米中の貿易依存関係を見れば一目瞭然だ。米中は核兵器の打ち合いというかつての最終戦争にいたることを望んではいない。それどころか、米国は、小さな岩(尖閣列島のこと)のために、(日中)戦争に巻き込まれることを恐れている。
沖縄は中国のミサイル射程圏内にあり、沖縄の米海兵隊は3発のミサイルで全滅する、と言われている。抑止力とは呼べない。(右図は平成25年度防衛白書に掲載された中国(北京)を中心とした弾道ミサイル射程図だ。沖縄は攻撃されればひとたまりもない。)
防衛の専門家でもある、森本前防相は、軍事的には沖縄でなくても良いが、政治的に考えると、沖縄がつまり最適の地域であると発言している。(詳細は当HM記事普天間基地の辺野古移設「軍事的には沖縄でなくても良い・・」の真意〜退任直前(12.25)の森本防相発言〜)
日米防衛協力ガイドラインにおいても、離島は自衛隊が守ることになっている。
米海兵隊は抑止力とはならない。
戦後まもなく、本土の米軍基地が反対運動に見舞われた時、基地は、当時米国施政権下にあった沖縄に押し付けられた。今また、人口密集地にある普天間飛行場を、比較的人口の少ない辺野古へ押し付けようとしている。
大きな矛盾を、より抵抗の少ない地域へ押し付ける。
日本の民主主義が、沖縄で、また一つ消えていくのではないかと危惧する。
※以下順次掲載します。
⑤仲里利信氏(元自民党沖縄県連顧問、元県議会議長、元教科書検定意見撤回を求める県民大会実行委員長、元西銘恒三郎後援会長)
⑥司会:猿田佐世(ND事務局長、弁護士(日本・米国ニューヨーク州))