飛行場には管制空域が設定されている。管制空域は 、飛行機の安全のために指定されるもので、管制区に指定された空域においては、一定の規制が掛けられ、飛行場による管制業務が提供され、航空交通の安全と秩序ある流れが維持されている。つまり、当該管制空域では、管理する飛行場管制官の指示がなければ飛行できないし、飛行場での離発着もできないことになる。
嘉手納・普天間・那覇の3飛行場(以下単に嘉手納、普天間、那覇という)も同様だ。管制空域は飛行場から半径9㎞の円だ。左図のとおりだ。
嘉手納・普天間の距離は約10km、そして普天間・那覇の距離も約10km。普天間の管制空域は嘉手納・普天間と重なりあう。
普天間は、嘉手納・那覇の管制空域に挟まれている。そのため普天間飛行場の空域は円ではなくいびつな形になる。同時に、嘉手納・那覇も普天間の管制空域のために制限を受けている。
現在、普天間周辺では嘉手納基地所属機の飛行はあまり見られない。それはこの空域制限のためだ。その証左に嘉手納・普天間両空域が重なる宜野湾市漁港周辺では普天間のヘリが飛んだかと思うと、嘉手納基地所属戦闘機等が上空を通過する。
在沖海兵隊にとって、普天間は十分に空域が確保できない、極めて使い勝手が悪い飛行場であり、嘉手納・那覇にとっても迷惑な存在だ。
沖縄の米軍基地再編の意味は、この使い勝手の悪い空域問題の解決にある。使い勝手が悪い普天間を辺野古に移し、十分な空域を確保することだ。
沖縄の基地負担軽減などではないことは、右図の辺野古新基地建設後に設定されると予想される管制空域図(下図)を見れば明白だ。嘉手納・普天間・那覇の3飛行場がそれぞれ空域を確保する。
さらに、北部は辺野古・高江・伊江島を結ぶ北部全土は、米軍訓練地帯と化す。
沖縄の米軍基地再編の目的は沖縄の基地負担軽減などではない。沖縄をして日米同盟の発進基地として、米軍の訓練基地として、不沈空母化しようとする目論見がそこにはある。
沖縄は騙されてはならないし、そのためには基地の全面撤去の闘いを強化しなければならないのだ。

米軍の在沖米軍基地編計画に、沖縄の基地負担軽減の文言などないはずだ。
誰が、沖縄の基地負担軽減などと言い出したのか。本来の目的を隠すために画策し、沖縄を騙し、200年の耐用年数を持つ米軍基地を辺野古に作り、そこに普天間を移設させようと目論むのは誰なのか。
辺野古新基地建設阻止。沖縄は二度と騙されてはならないのだ。