高江ヘリパッド建設差止仮処分申し立てを却下決定要旨(12月7日付琉球新報より転載) 【主文】 本件各申立てをいずれも却下する。 【裁判所の判断】 1 航空機騒音 債務者(国)は自主的に環境影響評価の手続きをとり、N4地区の着陸帯が完成して、米軍機が離発着した場合の航空機騒音エルデン56デジベルと予測していたところ、国による平成27年4月以降の航空機騒音の測定結果は、上記予測値内に収まっているので、環境影響評価には一定の合理性がある。債権者(住民)らはN4地区付近で平成28年6月20日にエルデン72.4デシベル、同21日にエルデン71.9デシベルが測定されたと指摘するが、航空機騒音は原則として連続した7日にわたって測定することとされているから、一日単位の騒音をもってうるささを比較することはできない。オスプレイが離発着するからといって環境影響評価の合理性が失われることにはならない。米軍機が運航を開始しても、環境影響評価の予測値を超える航空機騒音が発せられるとは考え難く、予測値は住宅環境整備法環境基準値を下回るので、違法な航空機騒音が発せられる恐れがあるとはいえない。 2 低周波音 測定結果は恒常的に強度の低周波音が発せられているとまで推認するには十分な測定結果が蓄積されていない。身体への影響が低周波音により一定程度憎悪させられることはあり得るにしても、低周波音そのものにより住民の生活を妨害し、健康被害をもたらす程度を的確に把握することは性質上困難を伴う。測定結果をもってしても、直ちに住民の生活妨害や健康被害をもたらすものであり、したがって人格権をしたがって人格権を侵害するものとして違法と評価することが可能なものであるとは言い難い。 3 まとめ 着陸帯が完成して米軍機による運航が開始されることにより、違法な程度に航空機騒音及び低周波音が発せられて債権者らに重大な健康被害が及ぼされるおそれがあるとは十分に疎明されているとは言い難い。よって、その余の点について判断するまでもなく、本件各申立てには理由がない。 |