12月7日午前の緑ヶ丘保育園(宜野湾市野田)に、訓練中のCH53大型ヘリがプラスチック製円筒を落下させた事故。
事故の責任は誰が負うのか。パイロットか? 訓練を命じた上司か? 司令官か? 米国か? それとも小野寺防相か?
今回の事故。不幸中の幸とはこのことだろう。園児たちや保育士、近隣住民等への人身被害はなかった。
自分で安全を守ることが難しい子どもたちだからこそ、保育園は安心・安全に過ごせることが大前提の場所だ。そこへのCH53大型ヘリからの落下物事故である。正に身の毛がよだつ事故だ。この事故が全国ネットで報道されていること自体が事故の重大さを示している。
今回の事故、人身への被害はなかったものの、園施設の損害は発生していると思われるが、その損害の責任は誰が負うか。仮に人身に被害が発生している場合も同じだ。いったい、誰が責任を負うのか。
今年(2017年)2月9日に判決が言い渡された第三次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団が米国を被告として、夜間飛行差し止めや損害賠償を求めた訴えた対米訴訟判決。那覇地方裁判所沖縄支部(藤倉徹也裁判長)は「受入国の同意に基づき同国に駐留する外国の軍隊の主観的な行為につき裁判権免除を与えるという限度で国際慣習法が存在する」として訴えを却下した。
この裁判、米国に訴状を送達することなく訴えを却下した。原告の訴えた内容を記載した訴状さえも米国に送られていないので、米国は裁判に訴えられていることを(正式には)知らないのだ。裁判が起こされれば被告に訴状を送るのが通常手続きだ。まるで米国の代理人のような裁判所の振る舞いは非難されなければならない。
この判決からすれば、私たちは、どんな被害を受けようとも、日本の同意により駐留する米軍の主権行為(米軍のすべての演習、訓練、戦闘行為、それに付随するもの等)について、米国を裁判に訴えることはできないことになる。
だから、仮に米軍機からの落下物により私たちが犠牲になっても、米国を相手に裁判を起こすことはできない。事故の絶えない米軍戦闘機やオスプレイ等の事故により犠牲者が出ても手も足もでないのである。
ところでこの事態、沖縄だけの問題ではない。ことは日米安保条約が発端であり、日本全体の問題だ。ところが日本人、特に米軍基地の無い地域住民にとっては関係ないことのように思われている、に違いないのだ。
日本全土の0.6%の面積の沖縄県に、約70%の米軍専用施設が集中し、沖縄県以外の都道府県の米軍専用施設の負担割合は、最も大きい青森県が全体の7.8%。沖縄県以外で10%以上を負担する都道府県はない。この沖縄への基地集中の事実が最大の問題だ。正に沖縄差別である。
今年(2017年)2月23日に判決が言い渡された第三次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団が国を被告として、夜間飛行差し止めや損害賠償を求めた訴えた対日訴訟判決。那覇地方裁判所沖縄支部(藤倉徹也裁判長)は「国民全体が(国防上の)利益を受ける一方で、原告らを含む一部少数者に特別の犠牲が強いられていると言わざるを得ず、ここには看過することのできない不公平が存する。」と指摘する。
だからこそ、沖縄は、辺野古新基地建設阻止、高江ヘリパッド反対、米軍基地撤去の声を挙げ続けているのだ。
この沖縄差別の実態を日本国民及び日本政府が真正面から受け止めない限り、沖縄差別を解消する途はない。
そのためにも、沖縄は沖縄の声を挙げ続ける!!!