2018年4月27日板門店で行われた、韓国文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長の首脳会談。朝鮮半島の平和構築に向けた双方の意思が確認された。
しかしながら、和平構築に向けた工程への参加者について日本は蚊帳の外に置かれた。板門店宣言の以下のくだりだ「③休戦協定締結65年になる今年に終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換し、恒久的で強固な平和体制構築のため南・北・米3者または南・北・米・中4者会談の開催を積極的に推進」。
「日本は蚊帳の外ではない」とうそぶくよりも、何故、日本が蚊帳の外に置かれたのかについて考える必要がある。さらに、朝鮮半島の平和構築に何ができるのか。何をすべきなのかを考える必要がある。
米国追従で何とかなる時代は終わり。朝鮮半島の平和構築が視野に入れば、次は在日米軍撤退が焦点になる。さらには、在沖米軍撤退の沖縄の民意が実現するのも近い。
さて、安倍首相は「日本は蚊帳の外ではない 」と述べ、朝鮮半島の平和構築への参加を主張する。以下、その安倍首相の発言を追った。
残念ながら、日本は何ができるのか、何をすべきなのかについては言及されていない。「緊密に連携する。協議する。」を連発するだけで、中身はない。
【平成30年4月27日 南北首脳会談を受けての安倍首相会見】
平成30年4月27日 安倍総理の総理大臣官邸会見 ・・・・・記者からの、日本が蚊帳(かや)の外に置かれてしまうという懸念について問われたのに対し、次のように述べ・・た。 「それは全くありません。先般もトランプ大統領と11時間以上にわたってゆっくりと話をし、完全に対応については、今後の取組、基本的な方針については一致しているところであります。 また、それを受けて文在寅大統領ともお話をし、日米で話したこと、基本的な方向について、文在寅大統領とも一致しているところであります。 こうした声明等については今までの経緯もよく見ていく必要もあるんだろうと、こう思うところであります。」 |
【平成30年4月28日トランプ米国大統領との電話会談】
平成30年4月28日 安倍総理の総理大臣公邸会見 総理は、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領との電話会談について次のように述べました。 「南北首脳会談を受けてトランプ大統領と電話で首脳会談を行いました。 私とトランプ大統領が電話で会談を行う前に、トランプ大統領は文在寅(ムン・ジェイン)大統領から電話を受け、そして南北首脳会談の詳細な中身について話を聞いたということであります。その上で、日米で首脳電話会談を行いました。トランプ大統領からも詳細な説明がございましたが、詳細については控えさせていただきたいと思います。 昨日の会談は、非核化など北朝鮮をめぐる諸懸案の包括的な解決に向けた前向きな動きであり、北東アジアの平和と安定に向けた歴史的な一歩として歓迎すべきものであるとの認識で一致いたしました。 大切なことは、具体的な行動を今後北朝鮮が取っていくかどうか、ということであると思います。そのことについても一致したところでございますし、今後日米においてもしっかりと北朝鮮の動向を注視していくということでも一致したところでございます。日米が正に主導する形で、日米韓で協力しながら最大限の圧力をかけてきたからこそ、こうした大きな変化につながっていく、前向きな動きにつながってきた、ということだろうと、このように思います。基本的な日米の方針には変わりはない、ということでございます。そして明日、文在寅大統領から、会談結果について電話で直接説明を受ける予定であります。 いずれにせよ、今日トランプ大統領とは具体的な動きを北朝鮮側に強く求めていく、ということで一致をしておりますので、今後とも日米、日米韓でしっかりと連携しながら良い結果が出ていくように、力を尽くしていきたいと、こう思っています。今後とも日米、日米韓で協力をしながら、米朝の首脳会談が成功するように協力をしていきたいと思いますし、さらには中国、ロシア、国際社会と連携をしながら、北朝鮮をめぐる諸懸案が解決するように力を尽くしていく考えであります。」 |
【平成30年4月29日韓国文在寅大統領との電話会談】
平成30年4月29日、安倍総理の総理大臣官邸会見 総理は、大韓民国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との電話会談について、次のように述べました。 「先ほど、文在寅大統領と電話首脳会談を行いました。南北の首脳会談について説明をしていただきました。詳しくはこの後、現在この南北の首脳会談の説明のために訪日している徐薫(ソ・フン)国情院長とお目にかかって、お伺いすることになっています。 北朝鮮をめぐる問題については、日韓で、そして日米、日米韓において詳細な打ち合わせを行い、対応方針を決め、実行してきたところであります。そして南北首脳会談においても、日韓で、日米で、日米韓で話し合ってきたところでありますが、今回の南北首脳会談においても、これで我々が方針を決めてきたラインにのっとって南北の首脳会談が行われたということが確認されたわけでありまして、お互いにそれを確認しあったということであります。 そしてまた、私の方からは、板門店宣言に朝鮮半島の完全な非核化が明記されたことを評価いたしました。具体的に北朝鮮が行動を取るよう、我々も努力をしていこうということで一致をしたところでございます。米朝の首脳会談に向けて、今後、更に日韓においても連携をしながら、日韓米で、核兵器を含む大量破壊兵器、あるいはあらゆる弾道ミサイルの廃棄に向けて日本も連携しながら努力していきたいと、このように思います。 そして文在寅大統領から、拉致問題について、そして日朝関係について金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に話をした、私の考えを伝えた、というお話がございました。詳細については現段階では申し上げることはできませんが、私から要請したことについてしっかりと提案していただいた文在寅大統領の誠意に対し、感謝申し上げたいとこのように思います。 そしてまた今後、日韓中の首脳会談の際に、文在寅大統領が来日をされるわけでございますが、米朝首脳会談の前に行われるこの日韓の首脳会談において、しっかりと今後の我々が今まで話し合ってきたラインにのっとって、北東アジアの平和と安定を実現するために、有意義な会談にしたいということでも一致したところでございます。また拉致問題についても、文在寅大統領から先方に私の考え方を伝えていただいた。この重要性については伝えていただいたわけでございますが、この米朝首脳会談の機会をいかして、この問題が前進するように、これからも全力を尽くしていきたいと、こう思っております。 この後、徐薫国情院長から詳細についてお話を伺うことになります。」 また、記者からの、日本人拉致問題について具体的にどのような言葉があったかについて問われたのに対し、次のように述べました。 「詳細については、この場で紹介することは控えさせていただきたいと思います。」 |
【徐薫韓国国家情報院長との会談-平成30年4月29日】
徐薫(ソ・フン)国家情報院長発言抜粋(政府インターネット動画ヨリ録取) 今回の南北首脳会談の中核的成果は、金正恩委員長が自分の言葉で、完全な韓半島の非核化について意思を明らかにし、そして目標を確認し、その文書に署名をしたことだと考えております。 したがってこれからは、国際社会の協力、中でも韓国日本、米国、三か国の協力が非常に重要であると認識しております。(このくだりで、「どうだ蚊帳の外ではないだろう」との表情で安倍首相は記者団に視線を移す) こういう段階においては、完全な韓半島の非核化を一日でも早く実践に、移行の段階へと移すことを国際社会のルールとすべきことだと思います。 この問題については、これから、安倍総理、日本と緊密に協議をしていきたいと思います。 |