
2019年10月25日午後2時、岩国爆音訴訟控訴審判決(広島高裁)に参加しました。
判決は、米軍機の夜間飛行差し止めは棄却、損害賠償についてその違法性を認め賠償金の支払いを認めました。判決の内容は以下のとおり(10月26日中國新聞掲載の判決要旨を参考にした)
今回の裁判でも、裁判所は違法な爆音による被害が発生していることは認めながら、第三者行為論により、根本的な解決法である飛行差し止めを認めなかった。
岩国爆音訴訟原告団は、飛行差し止め、賠償金の将来請求等について上告した。
基地被害から、住民を守る闘いが、全国で続く。
【MV22オスプレイや空母艦載機を含む米軍機の夜間・早朝の飛行差し止め】 岩国基地に関し、国と米軍との法律関係は日米安全保障条約に基づく日米地位協定による。(原告の請求は)国の支配の及ばない第三者の飛行差し止めを請求するものであり、主張自体が失当であるからいずれも棄却。 【自衛隊機の飛行差し止め】 防衛大臣に委ねられた自衛隊機の運航に関する権限の行使や取消変更の発動を求める請求を含んでおり、行政訴訟であればともかく、民事上の請求としては不適法 【基地の公共性と違法性、被害防止措置】 岩国基地は公共性が認められるものの、航空機騒音が原告にとって違法となりえない程度の高度の公共性があるとはいえない。また、滑走路の沖合移設は、国による被害防止措置として違法性を減少させると評価できるが、騒音を一定程度減少させたにとどまる。他に違法性を減少させるというべきものは認められない。 【過去発成分の損害賠償請求】 違法な権利侵害や法益侵害がある限り、国は損害賠償の責任がある。新滑走路移設前は遅くとも1974年ごろ以降、うるささ指数(W値)75以上の指定区域に居住する一審原告たちは騒音によって看過することのできないさまざまな被害を受けた。また、滑走路移設後もW値80以上の区域とW値75区域住む原告のうち、東、通津、由宇地区の住民は、騒音が軽減されたとはいえ、被害をもたらし得る騒音にさらされている。 【艦載機移転の影響】 (2017年8月から18年3月にかけて)厚木基地から岩国基地へ艦載機が移転し、岩国基地の米軍機の数が大きく増加し、飛行回数も増加していると認められる。しかし、指摘区域における騒音状況を証するに足りる資料は提出されておらず、影響を考慮した慰謝料額は認められない。 【将来分の損害賠償請求】 将来の損害賠償額をあらかじめ明確に認定することができず、将来の給付については請求権の適格を有しない。 |
【基準となる賠償額】(2009年3月に提訴) | ||
コンター区分 | 滑走路移設前(月額) | 滑走路移設後(月額)※2010年5月29日運用開始 |
W75 | 4000円 | (東、通津、由宇地区) 4000円 |
W80 | 8000円 | 4000円 |
W85 | 1万2000円 | 8000円 |
W90 | 1万6000円 | 1万2000円 |
W95 | 2万円 | 1万6000円 |
・国助成の防音工事をした人は一律10%減額 | ||
・賠償総額約7億3540万円 |