平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書      令和4年5月 沖縄県

1 復帰時における沖縄と「復帰措置に関する建議書」 沖縄県は、本土復帰から50年の節目を迎えようとしています。

 沖縄は、77年前の先の大戦において、我が国で唯一の住民を巻き込んだ地上戦の場となり、焦土と化し、多くの尊い人命や文化財等が失われました。1945年3月26日、慶良間諸島に上陸した米軍は、ただちにニミッツ布告(米国海軍軍政府布告)第1号を公布し、これにより、南西諸島における日本政府のすべての行政権が停止され、沖縄が米軍の支配下に置かれ、27年にわたり、日本国の施政権から分離されました。

 日本国から分離され軍事優先の政策が採られた後、沖縄では、土地の強制接収に反対する「島ぐるみ闘争」などが起こり、県民は日本の平和憲法の下での基本的人権の保障を願い、長きにわたる復帰運動を経て、1972年5月15日に日本本土への復帰を果たしました。

 本土復帰までの27年もの間、米軍の施政権下にあった沖縄においては、肥沃な田畑や市街地等を含め膨大な面積の土地が米軍基地として接収され、その周辺に無秩序に市街地が形成されるなど、都市計画がなされないまま、まちがつくられました。この間、日本本土は、1955年頃から高度成長期に突入し、東京オリンピックや大阪万博が開催され、高速道路や東海道新幹線が開通するなど、めざましい発展と社会資本の急速な整備が進められましたが、沖縄においては、日本政府から十分な支援を受けることができず、空港や港湾、道路等の産業基盤や、医療施設、教育施設等の生活基盤の整備が大きく立ち後れておりました。 産業基盤整備の絶対的な後れと、米国が大規模な基地建設や軍人等の消費活動を通じて沖縄に外貨(ドル)を獲得させ、輸入に有利な為替レートを設定し、基地建設資材や消費材などあらゆる物資を輸入により調達させたことで、沖縄は、基地依存型輸入経済と言われる脆弱な産業構造を余儀なくされ、農林水産業や製造業など移輸出により外貨を獲得する生産部門がほとんど育たず、サービス業など域内産業に偏った産業構造となっておりました。

 さらに、基地があるがゆえに様々な事件・事故が多発しました。6歳の女の子が米兵に暴行・殺害された事件、宮森小学校にジェット戦闘機が墜落し、児童11人を含む17人の死者、210人の重軽傷者を出した事故、落下傘を取り付けた米軍のトレーラーが民家の庭先に落下し、小学5年生の女の子が亡くなった事故などでは幼い命が奪われました。そのほか、米兵による交通事故や殺人、暴行事件についても、補償問題や犯人の処罰など、必ずしも十分なものではありませんでした。このような基地があるがゆえの筆舌に尽くしがたい被害を経験した県民は、戦後27年間実現されなかった県民の切なる思いとして、平和憲法の下での基本的人権の保障、地方自治権の確立、「基地のない平和の島」としての復帰を強く望んでおりました。

 1969年11月、日米首脳会談において、長年県民が求めてきた本土復帰が正式に決定されましたが、1971年6月に日米政府間で調印された沖縄返還協定は、沖縄の米軍基地を復帰後も米国が継続して使用することを認めたものであり、復帰の際に多くの県民が望んだ「基地のない形での復帰」とはほど遠いものでした。

 このため、琉球政府は、1971年11月の返還協定の国会承認を前に、返還協定、復帰に係る対沖縄施策等を取りまとめた復帰対策要綱や国内関連法案等に県民の要求が十分反映されていないとし、将来に悔いを残さないよう、沖縄県民の要求や考え方等を集約した「復帰措置に関する建議書」を作成し、日本政府・国会に提出しました。

 「復帰措置に関する建議書」においては、県民の福祉を最優先に考え、「地方自治権の確立」、「反戦平和の理念をつらぬく」、「基本的人権の確立」、「県民本位の経済開発」等を骨組みとするあるべき沖縄の姿を求めた新生沖縄像が描かれております。

 同建議書においては、沖縄の米軍基地は、「民主主義の原理に違反して、県民の意思を抑圧ないし無視して構築、形成されてきたものであり」、「その基地の存在が県民の人権を侵害し、生活を圧迫し、平和を脅かし、経済の発展を阻害している」と指摘し、基地の島としてではなく、「基地のない平和の島」としての復帰を強く望むことが明確に記されております。

 また、本土復帰に当たり日本政府が発表した声明には、「沖縄を平和の島とし、わが国とアジア大陸、東南アジア、さらにひろく太平洋圏諸国との経済的、文化的交流の新たな舞台とすることこそ、この地に尊い生命を捧げられた多くの方々の霊を慰める道であり、沖縄の祖国復帰を祝うわれわれ国民の誓いでなければならない」と記されており、50年前の本土復帰当時は、沖縄県も日本政府も「沖縄を平和の島とする」という目標を共有していたと認識しております。

2 本土復帰後50年の振り返り

 沖縄県においては、本土復帰後、5次にわたる振興計画等に基づき、社会資本整備や各種振興施策が講じられてきました。・・・

3 いまだ残る課題

 沖縄県は、歴史的、地理的、自然的な特殊事情を有しており、これらに起因する行政課題は他都道府県とは性質を異にしているため、全国一律の政策によっては十分な効果が得られないなどの問題があります。・・・

4 沖縄の未来に向かって この復帰50年の節目に生きる私たちは、平和を希求する先人達の思いを引き継ぐとともに、子や孫たちのためによりよい未来を創造する架け橋となるため、日本及び世界における沖縄の役割をあらためて認識し、自らの手で沖縄の進化・発展を志向していかなければなりません。・・・

5 平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議 これまで述べた復帰当時の先人達の願い、今を生きる私達県民の思いを踏まえ、政府においても、「平和で豊かな沖縄」の実現に向けて積極的に取り組んでいただきたく以下のとおり建議します。

 1 沖縄の本土復帰において「沖縄を平和の島とする」ことが沖縄県と政府の共通の目標であることを改めて確認し、これを含めた沖縄の本土復帰の意義と重要性について国民全体の認識の共有を図るとともに、50年前の「復帰措置に関する建議書」に掲げられた「地方自治権の確立」、「反戦平和の理念をつらぬく」、「基本的人権の確立」、「県民本位の経済開発」等の考え方を尊重し、自立型経済の構築及び「基地のない平和の島」の実現に一層取り組むこと。

 2 「沖縄県民総意の米軍基地からの『負担軽減』を実行」するよう求めた建白書の趣旨も踏まえ、在沖米軍基地の更なる整理・縮小、日米地位協定の抜本的な見直し、基地の県外・国外移設、事件・事故等の基地負担の軽減、普天間飛行場の速やかな運用停止を含む一日も早い危険性の除去、辺野古新基地建設の断念等、構造的、差別的ともいわれている沖縄の基地問題の早期の解決を図ること。

 3 日本国憲法が保障する「民主主義」や「地方自治」について、正当な手続により示された民意や、地方公共団体が自らの判断と責任で行政を運営するという原則を尊重し、日本国憲法に掲げる理念の追求に向け不断に取り組むこと。

 4 我が国を取り巻く国際情勢を踏まえ、アジア太平洋地域において、武力による抑止が国・地域間の緊張を過度に高め、不測の事態が起こることのないよう最大限の努力を払うとともに、平和的な外交・対話により緊張緩和と信頼醸成を図ることで同地域の平和の構築に寄与するなど、我が国が国際社会において名誉ある地位を占めるべく積極的な役割を果たすこと。その際、独自の歴史や多様性を持つ沖縄を最大限活用すること。                  沖縄県知事 玉城デニー

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