11月4日の衆議院予算委員会において、岡田外相は普天間基地の嘉手納統合案が普天間基地問題の解決策の一つであるとあらためて主張し、同時に、県外移設はマニフェストには記載がないから公約ではないとも述べた。鳩山首相も県内移転を含めて検討中であると述べている。
県外移設が公約ではないという岡田外相の主張は明らかに国民、特に沖縄県民を愚弄するものである。民主党候補者の応援演説での鳩山首相の発言は公約以外のなにものでもない。辺野古基地反対派住民の手をとって県内移設を認めないと約束した候補者の姿は何だったのか。辺野古移転を主張する候補者が落選し、県外移転を主張する候補者が当選した結果を真摯に受け止めなければならないのは民主党政権であり、ここにきての方向転換は認められない。
また、統合案の条件として下地議員の提示する15年期限もまた実効性はない。現時点で解決できない問題がどうして15年後に解決できるというのか。稲嶺県政下における辺野古基地期限15年案がいつの間にか反故にされている現状下においては、問題の単なる先送りに過ぎず、これをまともにとりあう沖縄県民はいない。
新政権がこのような状況では、沖縄の基地問題の解決は程遠いとしかいいようがなく、現状維持が関の山かと失望感を持つ。岡田外相は、沖縄の負担を軽くするものがないのか真剣に検討し、嘉手納統合案もその中の一つであると述べている。しかし、基地負担を、基地被害を一地域に集中することで他地域の負担を軽減することは許されない。嘉手納、普天間両基地爆音訴訟にも示されるように基地被害が一向に改善されない中において、普天間基地の負担を、嘉手納基地周辺住民に負担させようという発想は、沖縄の現状を無視し、政治的解決を優先させたとしかいいようがない。嘉手納統合案は検討に値しない。