基地が集中する沖縄県内の市町村は基地関連の助成金・交付金等がその収入源となっている。基地交付金の現状等については沖縄の米軍基地の現状(5)〜基地の経済効果(基地交付金等)〜に記載したとおりである。
その具体的な内容は次のとおりである。
1.基地交付金(国有提供施設等所在市町村助成交付金)と調整交付金(施設等所在市町村調整交付金)(総務省所管)
基地交付金は米軍や自衛隊の施設が市町村の区域内に広大な面積を占め、かつ、これらの施設が所在することによって市町村の財政に著しい影響を及ぼしていることを考慮して、固定資産税の代替的性格を基本としながら、これらの施設が所在することによる市町村の財政需要に対処するために、使途の制限のない一般財源として、総務大臣が施設等所在市町村に対して、毎年度交付するものである。
調整交付金は、基地交付金の対象となる国有資産と対象外である米軍資産との均衡及び米軍に係る市町村民税の非課税措置等による税財政上の影響を考慮して、総務大臣が施設等所在市町村に対して、毎年度交付するものである。
両交付金の算出根拠となる資産については、以下のとおりである。
(1)基地交付金が国有財産のうち、
① 米軍に使用させている土地、建物及び工作物
② 自衛隊が使用する飛行場,演習場等の用に供する土地、建物及び工作物
(2)調整交付金
米軍資産(米軍が建設、設置した建物及び工作物)
2.施設周辺の生活環境の整備等に関する法律に基づく、障害工事の助成(3条)、民生安定施設の助成(8条)、特定防衛施設周辺整備調整交付金(9条)等がある。(防衛省所管)
これらの助成金等は、機甲車両その他重車両のひん繁な使用及び演習並びに騒音による被害等の防止及び軽減若しくはそのための公共施設整備に対して交付されるものである。基地周辺の学校の防音施設整備にもこれらがあてられる。
3. その他の基地関連収入としては、防音事業関連維持補助金、施設区域所得事務委託金、財産運用収入等がある。
沖縄県の平成19年度のこれらの基地関連収入の総計は約256億円、総収入が約5749億円だから、基地関連収入の総収入に占める割合は4.5%、決して高くはない。ところが市町村別に見ると依存率の割合は大きなばらつきがある。平成19年度の数字で、依存率が一番高いのは宜野座村の35.5%、続いて金武町の 26.5%、町の8割を基地が占める嘉手納町は17.1%である。
今後の基地返還にあたっては、返還後の土地の跡地利用、地場産業等の育成はもちろんであるが、市町村の財政収入の確保についても検討されなければならない。