6月30日付沖縄タイムス紙に掲載された記事米軍実弾訓練も沖縄だけに集中(クリックすると同紙HMへ)は極めて興味深い。内容は以下のとおり(抜粋)である。
「実弾訓練地、沖縄に限定」 日本国内で実弾演習が可能な米軍の射爆撃場5カ所のうち、唯沖縄県外にある三沢対地射爆撃場(青森県)で実弾さ使用されていないことが29日、分かった。実弾訓練地が事実上沖縄県内に限られているため、外来機が多く飛来する要因の一つになっている。・・・ ・・実弾演習が通年実施できる鳥島は米軍にとって貴重な存在で、代替地なしの返還に米側が応じない要因になっているとの見方もある。 |
つまり、鳥島(久米島町)だけは何らの規制もなく実弾訓練が可能であり、事実、連日実弾訓練が行われているのである。
今年4月、沖縄防衛局は嘉手納飛行場における運用実態目視調査(平成22年4月1日〜平成23年3月31日)クリックすると同局HMへ)を公表した。その中の戦闘機に関する調査を見ると、飛来した戦闘機のうち常駐機はF15のみ、外来機がFA18外4機種となっている。戦闘機の常駐機・外来機別の月別離着陸等回数を見ると、例えば平成22年6月は常駐機2062・外来機778(計2840)、平成23年3月常駐機562・外来機1462(計2024)となっている。これを見ると、嘉手納飛行場の常駐機F15の訓練を岩国基地等に移転しても、それに見合うだけの外来機が飛来して訓練を実施していることがわかる。訓練が移転されても全体の離着陸回数は変わらない。これが嘉手納飛行場の実態である。
外来機の度重なる飛来の理由について、鳥島実弾射爆場の存在があげられていたが、今回の記事はそれを裏付けた。嘉手納・普天間基地の爆音被害を減らすためには訓練、常駐機の移転だけでは不可能である。鳥島実弾射爆場の返還こそが重要なのである。
ところで、鳥島実弾射爆場については、先月26日付沖縄タイムス紙で「鳥島射爆撃場・・で行われている米軍の実弾射撃訓練について、・・硫黄鳥島・・への移転を検討している。北沢俊美防衛相が23日に開かれた沖縄政策協議会で説明した。」と報道された。平良久米島町長は即時にあらたな訓練場の提供を拒否し、強い不快感を示した(詳細は当HM記事:北沢防相の無神経さが垣間見える「鳥島射爆場の訓練の硫黄鳥島移転」参照)。北沢防相はわずか0.04平方キロの鳥島から2.5平方キロの硫黄鳥島に実弾射爆撃訓練場を移転しようとした。米軍への配慮以外の何ものでもなく、強い危機感を覚える。
管政権閣僚らの、沖縄の基地負担の軽減に尽力する、という言葉は大いに疑問である。仮にそれが真実だとしても、“米軍の訓練に支障のない範囲で”という大前提が垣間見える。
このような状況下での嘉手納統合案。常駐機の訓練を移転させるなどして基地負担を軽減するというが、誰が信用するだろうか。
“嘉手納統合案粉砕”に向けて、すでに町民集会を開催した嘉手納町をはじめ、三連協、そして周辺自治体も含めた行動が提起される予定である。
多くの住民参加で、嘉手納統合案を粉砕まで闘いつづけよう。