10月8日付琉球新報に掲載された佐藤優氏のウチナー評論「2つの民意〜国会議員の主張は危険〜」は、普天間問題の行方、沖縄の進むべき方向性について指摘しており、極めて興味深い。
佐藤氏は、「東京とワシントンから見ると(沖縄には)2つの民意がある。」と指摘する。一つは普天間飛行場の辺野古移設はもちろん、県内移設のすべてを否定する民意である。もう一つは「(沖縄の)地理的要因を考えた場合、辺野古を断念し、普天間の固定化も嫌で、県内移設も認めないというわがまま」は許されず、「沖縄でも海兵隊基地を受入れてもいいという自治体がある」ことから、県内移設を受託すべき(若しくは受託せざるを得ない)という民意である。
普天間問題の今後の展開について、佐藤氏は「辺野古移設の可否について、そう遠くない将来に米国政府から日本政府が決断を迫られる可能性が排除されない。沖縄が中央政府から離反し、国家統合を揺るがすような事態を生じさせてはならないと日本政府が真剣に考えるならば、答えは『NO!』しかない。」と予測し、「今後、沖縄選出の国会議員が、地域振興と抱き合わせで普天間飛行場の県内誘致を主張すれば、東京の政治エリート、米国の国務省、国防総省のジャパンハンドラーは全力をあげて、その国会議員によって体現された「沖縄の民意」を活用する。」と指摘する。
そして、「辺野古移設の非現実性に関する認識を東京の政治エリートが強く持つようになると、官僚たちは辺野古以外の県内移設(嘉手納統合、安波区など)を主張する国会議員の体現する民意が大きく見えてくる。そして、そこから非現実的な突破口を開こうとする。この危険を過小評価してはならない。」と結論づける。
普天間問題についての沖縄の民意がは、先の仲井真知事の訪米によって、米国に確実に示された。それに、米国の財政問題も加わり、米議会が独自の動きを見せ始めている。
2010.4.25県民大会in読谷」(クリックで当HM記事へ)当時、仲井真知事も「県外・国外」をなかなか口にできなかった。しかし、1年半後の現在、状況は大きく変わった。沖縄はもちろん、米国議会にもあらたな動きが見えてきた。変わらないのは日本政府のみである。
佐藤氏は言う「沖縄は名誉と尊厳を持った立派な大人である。それだから異議申し立てをしているのである。」
沖縄は、沖縄の民意を、更に、主張し続けるのだ!!!