普天間基地の海兵隊移転の動きに連動し、北部訓練場の移設が検討されているという。今日(1月6日)付沖縄タイムス(クリックで同HMへ)は「米海兵隊がジャングル戦闘訓練センターの新設を検討していることが分かった。現在は北部訓練場を使用しているが、隊員の派遣費などのコスト削減を念頭に、米本土に近い場所への新設を模索しているとみられる。」と報道した。
国防費の削減という課題達成のための措置であるとされているが、これについては本HMでも紹介した「海兵隊はカルフォルニアへ」(モチヅキ・オハロン論文より)でも主張されている。同論文では、米国の緊縮財政の状況や沖縄の政治状況からしても辺野古新基地建設は困難であり、「海兵隊本拠地をカリフォルニアに戻すことで、(今後)避けられない広域的な海兵隊の縮小によって、既存基地に(沖縄から映る)海兵隊のためのスペースを造り出すこと」が必要だと指摘している。
北部訓練場の返還は沖縄にどんな利益をもたらすのか。
まず、沖縄の北部観光の拡大を阻んでいるのは北部訓練場の存在である。(基地の配置図はこちらをクリック 黒塗り部分が基地) をクリックしてもらえれば一目同然であるが、沖縄本島北部の半分を米軍基地北部訓練場が占めている。観光地域として利用されているのは東シナ海に面する西海岸部分のみである。北部訓練場が返還されれば観光資源としての活用が十分可能となる。
北谷町のハンビータウンや那覇市の新都心地区の発展は、基地返還がどれほど沖縄経済の自立に役立つのかを示している。さらに北谷町のハンビータウンに隣接する米軍基地キャンプ桑江や読谷村の米軍基地返還後の跡地利用が進んでいるが、各々当該地域の経済的発展につながると期待されている。
さらに、沖縄の総収入に占める、米軍基地関連による県内収入の割合は5%程度で、現状としては沖縄経済が米軍基地に依拠しなければ成り立たないという事実はない。逆にいえば、基地の存在そのものが沖縄経済の自立を阻害しているともいえる。
沖縄からの米軍の撤退は沖縄経済自立につながるものと考える。