嘉手納基地周辺住民への基地被害は、単に爆音だけに留まらず大気汚染にまで拡大している
11月15日の衆議院安全保障委員会。沖縄選出の照屋寛徳議員が、嘉手納米軍基地から発生している発がん性物質を有していると言われる「黒色粒子」が排出されている問題について、稲田防相を追求した。
稲田防相は「・・・悪臭については、これまでも嘉手納町や周辺住民から、嘉手納飛行場の米軍航空機が原因である可能性が高い、そして多くの要請、苦情が寄せられており、防衛省としても、重要な問題であるというふうに認識をいたしております。 」として高い関心を示した。
来年3月には最終報告が示される。次に必要なのは「黒色粒子」の成分の分析調査である。分析調査は沖縄防衛局に任せてはならない。
また、今年9月28日付で沖縄県が示した「嘉手納飛行場周辺悪臭実態調査 結果報告(クリックで同報告書を見ることができます)」によれば、環境基準値を超える有害大気汚染物質のベンゼン、1,3−ブタジエンが測定された。
嘉手納基地周辺住民への基地被害は、単に爆音だけに留まらず大気汚染にまで拡がっている。
日米両国の無策ぶりをこのまま放置してはならない。
第192回国会安全保障委員会第2号(平成28年11月15日)議事録からの抜粋クリックで同HMへ ○照屋委員 ・・・ 極東最大の米空軍嘉手納基地を擁する嘉手納町で発生している悪臭問題について、風向き、風速、騒音を同時に計測した調査で、嘉手納基地から排出される排ガスの中に、発がん性を含む可能性がある黒色粒子が含まれていることが判明いたしました。同時に、爆音発生時に黒色粒子の量がふえたことも確認され、多くの町民が健康被害への強い不安を抱いております。調査結果は、北海道大学の松井利仁教授のグループが発表したものです。かかる調査公表に対する防衛省の受けとめを伺います。 ○深山政府参考人 お答え申し上げます。 嘉手納町が実施している嘉手納基地由来の大気汚染物質調査につきましては、十一月十一日に中間報告会が行われたところであり、防衛省としては、嘉手納町から、その説明内容に係る情報提供をいただいておるところでございます。 嘉手納町から提供された情報によれば、嘉手納町内での悪臭物質の発生源等に係る調査におきまして、排ガスの中に含まれるとされるすす等の黒色の粒子状物質と考えられる黒色粒子の量は騒音レベルの上昇に伴い増加している、臭気レベルの調査では、飛行場西側あるいは南側に悪臭発生源のある可能性がある等の結果が得られていると承知しております。 また、同調査については、より多くのデータを収集することで分析の信頼性を向上させること、特に臭気レベルについては測定日数が短いため、さらにデータを蓄積する必要があるとされており、今年度末まで引き続き調査が継続されるものと承知しております。 防衛省といたしましては、引き続き、本調査の動向に注視をいたしまして、関係機関と協力しながら適切に対応してまいりたい、そのように考えておるところでございます。 ○照屋委員 大臣、嘉手納基地周辺では、殺人的爆音被害だけではなく、深刻な悪臭被害も相次いでおります。米軍機からの排ガスが悪臭の原因となっている可能性が高いことが判明いたしました。 防衛省は、嘉手納基地周辺の大気汚染、悪臭被害の実態解明に向け、嘉手納全町域で継続的な調査を行うべきだと考えますが、大臣の見解をお聞かせください。 ○稲田国務大臣 御指摘の嘉手納飛行場周辺での悪臭については、これまでも嘉手納町や周辺住民から、嘉手納飛行場の米軍航空機が原因である可能性が高い、そして多くの要請、苦情が寄せられており、防衛省としても、重要な問題であるというふうに認識をいたしております。 そのため、嘉手納町からの要請等を受け、これまで防衛省及び環境省は、嘉手納飛行場周辺地域における大気質等の現況を把握するための調査を実施してきておりますが、環境基準を超える大気汚染や米軍航空機と悪臭の関連を明確に示す結果は得られなかったところでございます。 今般、嘉手納町が実施している嘉手納基地由来の大気汚染物質調査については、今年度末までデータを収集するとのことであり、防衛省としては、引き続き、本調査の動向を注視し、関係機関と協力をしながら適切に対応してまいりたいと考えております。 |
(11月13日付沖縄タイムスより転載) 騒音時に「黒色粒子」増 沖縄・嘉手納基地周辺 悪臭は米軍機の可能性 沖縄県嘉手納町で長年問題となっている悪臭問題を巡り、風向、風速と騒音を同時に計測した町の初めての調査で、排ガスの中に含まれ、発がん性を含む可能性がある「黒色粒子」が米軍嘉手納基地の方向から流れていることが12日までに分かった。騒音発生時に黒色粒子の量が増えたことも確認された。また、航空機の燃料などに含まれる揮発性有機化合物の濃度が、同町屋良の観測地点で計測した臭気レベルの測定結果に連動していることも判明し、風向などから同基地の米軍機からの排ガスが悪臭の原因となっている可能性が高いことが裏付けられた。 北海道大学の松井利仁教授のグループが嘉手納町屋良のニライ消防本部屋上で測定した。観測地点は嘉手納基地内の海軍の哨戒機駐機場の北西に位置する。 黒色粒子の量や粒子の個数、揮発性有機化合物の濃度、臭気レベルを測定し、騒音レベルと風向、風速と併せて分析した。 町基地渉外課は11日、自治会長などを対象に嘉手納基地由来の大気汚染物質調査の中間報告会を開催し、松井教授が分析結果について説明した。 黒色粒子は細かなすすなどの微粒子で、発がん性物質を有している可能性があるが、今回の調査では成分まで分析していない。 調査では、P3C哨戒機、P8哨戒機などが駐機する嘉手納基地の海軍駐機場などから、ニライ消防本部に流れる風向き(北東から東南東)で高濃度が測定された。 嘉手納町では、長年にわたり町民から悪臭についての苦情が多く寄せられているが、原因は特定されていなかった。町は本年度から独自で松井教授らに調査を委託していた。 揮発性有機化合物の調査は2016年9月から、黒色粒子量の調査は15年9月に開始された。来年3月に本年度の調査報告書が提出される。松井教授は「嘉手納町は航空機騒音による被害が大きいが、国は睡眠障害などの疾患も引き起こす『公害』を放置している。今回の調査で、風向・風速・昼夜・騒音など複数の要因を同時に分析することで、悪臭の発生源をより明確にしたい」としている。 |