2019年9月19日、福岡高裁那覇支部控訴審判決(9月11日)を受けて、第三次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団は防衛大臣(沖縄防衛局)と外務大臣(外務省沖縄事務所)に要請行動を行った。
要請については、沖縄防衛局が城間企画次長、外務省沖縄事務所が官澤副所長が対応した。対応した次長・副所長のいずれも、嘉手納基地の爆音が周辺住民へ多大な被害を発生させ、重大な問題であることは認識していると、発言するものの具体策についての言及はない。最後は要請内容については本省へ伝え検討するとの回答で具体的成果は無かった。

2019年9月19日 防衛大臣 河 野 太 郎 殿 爆音被害除去等に関する要請書 第三次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団 団 長 新 川 秀 清 弁護団長 池 宮 城 紀 夫 当原告団は、嘉手納基地から派生する爆音等基地被害の除去に向けて行動している団体です。 当原告団は、2011年4月28日に、原告数22,058名で第三次嘉手納基地爆音差止等訴訟(以下「対日訴訟」という)を提訴し、2012年11月30日には米国を相手とする飛行差止等訴訟(以下「対米訴訟」という)を提訴し、同訴訟については2016年6月16日には原告2名を追加提訴し、両訴訟について2019年9月11日に控訴審判決(福岡高裁那覇支部)が言い渡されました。 対日訴訟では、米軍機飛行の夜間差止は認めなかったものの、 75WECPNL以上のすべての地域において発生する米軍機爆音について違法性を認め約261億2577万円の損害賠償金の支払いを、国に命じました。判決では私たちの爆音被害の状況について「W75以上の区域に居住する一審原告らはかなり厳しい航空機騒音に曝露されている」と認定しました。この裁判所の判断は原告のみならず周辺住民35万人に爆音被害が及んでいることを示しています。 さらに、このような違法な爆音に対する国の対応については、①国の定めた環境基準が達成されていないこと②国民全体が日本の防衛・外交政策上の利益を享受する一方で一審原告らを含む一部少数者に特別の犠牲が強いられていること③爆音の音源対策としての騒音防止協定も十分に履行されているとは言えず、さらに、日本政府が米国に対しその履行をもとめる実効的な措置を執った事もないこと④第1次、第2次嘉手納基地爆音訴訟において、2度に渡り受忍限度を超える違法が被害生じているとの判決が確定しているにもかかわらず、嘉手納基地周辺住民は爆音に曝されている等と指摘しました。 対米訴訟では、米国は我が国の民事裁判権から免除されるとの国際慣習法が存在するとの理由で、訴状さえ米国に送達されずに訴えを却下されました。 今や、嘉手納基地周辺住民の爆音被害は激化の一途をたどっており、住民の健康を守るための手立ては、何一つなされていないのが現状です。 8月27日の米軍ヘリの窓落下事件に際しても、防衛大臣は、実害が無かったとして同型機の飛行中止さえも要請せず、沖縄の基地被害は放置されたままです。米軍による事件事故が発生し、その解決策も示されないままに次の事件事故が発生する。沖縄の怒りは頂点に達しています。 さらに、爆音が激化の一途を辿っているにもかかわらず、沖縄防衛局においては嘉手納基地周辺地域における騒音コンター改訂作業を進めています。これは嘉手納基地周辺の爆音被害を矮小化しようとするものであり、断じて許されない。直ちに作業を中止し、白紙撤回すべきです。 このような嘉手納基地周辺住民の爆音被害を除去するためには、根本的な解決としての航空機騒音規制対策が強く求められています。 以上から、当原告団としては、防衛大臣に対し、下記の要請を行うものです。 記 1 米国に対し,夜間早朝の時間帯に飛行音・地上音を発生させる活動を直ちに中止するよう要請すること ウ 航空機の安全,騒音による障害防止にかかる航空法の条項を米軍機にも適用すること 4 米国に対し,第3次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団が提起した,いわゆる「対米訴訟」に応訴するよう要請すること 5 米軍機騒音に起因する住民の被害に対し,日本政府が民事特別法に基づき米国に肩代わりして支払った賠償金について,日米地位協定18条5項(e)の定めにより,米国に求償すること 6 米国に対し、嘉手納基地周辺住民の生命身体財産を守るため、米軍及び米軍人・軍属などによる事件・事故に対しては毅然とした態度で、綱紀粛正・米軍機体の飛行禁止等を求めること 7 嘉手納基地周辺地域における騒音コンター改訂作業を中止し、白紙撤回すること |

2019年9月19日 外務大臣 茂 木 敏 充 殿 爆音被害除去等に関する要請書 第三次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団 団 長 新 川 秀 清 弁護団長 池 宮 城 紀 夫 当原告団は、嘉手納基地から派生する爆音等基地被害の除去に向けて行動している団体です。 当原告団は、2011年4月28日に、原告数22,058名で第三次嘉手納基地爆音差止等訴訟(以下「対日訴訟」という)を提訴し、2012年11月30日には米国を相手とする飛行差止等訴訟(以下「対米訴訟」という)を提訴し、同訴訟については2016年6月16日には原告2名を追加提訴し、両訴訟について2019年9月11日に控訴審判決(福岡高裁那覇支部)が言い渡されました。 対日訴訟では、米軍機飛行の夜間差止は認めなかったものの、75WECPNL以上のすべての地域において発生する米軍機爆音について違法性を認め約261億2577万円の損害賠償金の支払いを、国に命じました。 判決では私たちの爆音被害の状況について「W75以上の区域に居住する一審原告らはかなり厳しい航空機騒音に曝露されている」と認定しました。この裁判所の判断は原告のみならず周辺住民35万人に爆音被害が及んでいることを示しています。 さらに、このような違法な爆音に対する国の対応については、①国の定めた環境基準が達成されていないこと②国民全体が日本の防衛・外交政策上の利益を享受する一方で一審原告らを含む一部少数者に特別の犠牲が強いられていること③爆音の音源対策としての騒音防止協定も十分に履行されているとは言えず、さらに、日本政府が米国に対しその履行をもとめる実効的な措置を執った事もないこと④第1次、第2次嘉手納基地爆音訴訟において、2度に渡り受忍限度を超える違法が被害生じているとの判決が確定しているにもかかわらず、嘉手納基地周辺住民は爆音に曝されている等と指摘しました。 対米訴訟では、米国は我が国の民事裁判権から免除されるとの国際慣習法が存在するとの理由で、訴状さえ米国に送達されずに訴えを却下されました。 今や、嘉手納基地周辺住民の爆音被害は激化の一途をたどっており、住民の健康を守るための手立ては、何一つなされていないのが現状です。 このような嘉手納基地周辺住民の爆音被害を除去するためには、根本的な解決としての航空機騒音規制対策が強く求められています。 以上から、当原告団としては、外務大臣に対し、下記の要請を行うものです。 記 1 米国に対し,夜間早朝の時間帯に飛行音・地上音を発生させる活動を直ちに中止するよう要請すること ウ 航空機の安全,騒音による障害防止にかかる航空法の条項を米軍機にも適用すること 4 米国に対し,第3次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団が提起した,いわゆる「対米訴訟」に応訴するよう要請すること 6 米国に対し、嘉手納基地周辺住民の生命身体財産を守るため、米軍及び米軍人・軍属などによる事件・事故に対しては毅然とした態度で、綱紀粛正・米軍機体の飛行禁止等を求めること |