普天間飛行場移設に関して米国内では様々な主張がなされている。新聞等で判明している主張は以下のとおりである。
①米国政府:日米合意に基づく辺野古移設を主張
②米国上院:辺野古移設を断念し嘉手納飛行場への統合案を主張
③マイク・モチヅキ米ジョージワシントン大教授とマイケル・オハンロン ブルッキングズ研究所上級研究員の共同寄稿「日本での米軍基地計画の再考を」:海兵隊移転先をグアムではなく米カリフォルニア州へとする主張(当HM記事「海兵隊はカルフォルニアへ」(モチヅキ・オハロン論文より)を参照)
④ジョセフ・ナイ元国防次官補:海兵隊をオーストラリアに移すことを主張(詳細は以下の報道記事を参照)
普天間移設「在沖海兵隊は豪に」 元米国防次官補、ナイ氏が論文(琉球新報)
①については、仲井真知事の沖縄クエスチョン(当HM記事参照①沖縄クエスチョンでの仲井真知事講演要旨(9.20琉球新報より抜粋)から ②米ワシントンDCにて開催された沖縄クエスチョン(2011/09/19)における知事スピーチ及び参考資料が沖縄県HMに掲載されました。)での講演によってその実現が不可能であることが明らかとなった。
②の主張については嘉手納基地を巡る情勢をみればその実現は不可能であることが理解できる。今年4月に提訴された第3次嘉手納基地爆音差止訴訟は原告数2万2058名である。嘉手納町民約1万4千名のうち4916名、実に町民の3人に1人が原告として参加している。普天間爆音訴訟控訴審判決では、これまで「司法判断が3度も示されているのに、抜本的な対策を講じていない上、自ら定めた環境基準も達成していない」として、国の姿勢を厳しく指摘された。このような状況下で更に嘉手納基地機能強化を行うことは許されない。
①②の状況を受けて主張されたのが③④の主張である。
③は主張の理由として既存の計画には二つの重大な問題があるとする。一つは沖縄の政治状況であり、もう一つはあまりにも予算額が高額過ぎるという点である。解決するには海兵隊をカリフォルニアに移設するとともに、日・米両国が海兵隊のために追加装備を購入し、日本の領海に事前集積している海兵隊の船舶に積載する等して東南アジアでの米国の能力を維持できる、としている。
④は「沖縄県内に海兵隊を移設する現在の公式計画が、沖縄の人々に受け入れられる余地はほとんどない」として現行計画の破綻を指摘している。その上で、海兵隊のオーストラリアへの移設を主張している。
米国内では、シンクタンクや政策に影響力を持つ政治家から多くの政策が発表されるのに対して、日本国内ではそれに呼応した主張さえも聞かれない。結局は米国の決定に従うことで解決を図ろうとしているのかと思えてくる。
いまだに「地元内『地元』」が受入れを表明しているとして、藁をもすがる思いで『地元』詣でを続けているような現状では自力での解決は望むべくもないのかと思えてくる。
問題解決のためには、県内移設不可の視点からの議論が日本で行われることが必要である。