SACO合意から20年以上も経過して、しかも日本が約157億円の費用負担して、やっと移転が完了した嘉手納基地の海軍駐機場。
【移転後の経過】
駐機場移転により嘉手納町屋良地区住民の深夜早朝を問わずまき散らされる充電音・エンジン調整音・排気ガス等の爆音禍から若干開放された。(当HM記事基地周辺住民の爆音被害除去の闘いは、行政・議会をも巻き込んだ大きなうねりへ〜嘉手納米軍基地の海軍駐機場移転問題より〜参照)
ところが、5月31日、米軍はSACO合意を無視し、韓国の烏山基地所属のU2偵察機を嘉手地旧海軍駐機場に強行配備した。一時配備とはいえ、SACO合意を無視する暴挙であり、基地周辺自治体はもちろん、沖縄県も約束が違うと、直ちに抗議した。
【SACO最終合意】
外務省HMから抜粋したSACO最終報告にも、騒音軽減のための措置として移転が実施されることが明記されている。移転後の使用については明記されていない。
SACO最終報告(仮訳) 平成8年12月2日から抜粋(クリックで外務省HMへ)から抜粋 騒音軽減イニシアティヴの実施
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【米軍が海軍駐機場使用を通告】
これについて、6月8日嘉手納基地のオルダム司令官が「2009年の日米合同委員会で運用の必要性に応じて使用することに同意している」と発言したと報じられた。
またか、日本が約157億円の費用を負担して移転したのに、結局は米軍の運用だけが優先されるというのだ。(当HM記事なんともお粗末、米国隷従国家日本〜SACO合意を無視の海軍駐機場へU2配備。稲田防相は抗議すらしない〜参照)
【旧海軍駐機場跡使用に関する県、国、米軍の認識】
この問題について、県、国、米軍の認識は大きく異なっている。6月6日付沖縄タイムスに掲載された移転後の海軍駐機場をめぐる見解の一覧表を参考に考えると、結果として、日本国民の税金を使って米軍の使い勝手のいいように環境整備されただけだった。なんともお粗末な話。またもや、米国隷従国家日本の姿をさらけ出した。
(航空機の旧海軍駐機場の使用について の比較表 6月6日付沖縄タイムスより抜粋)
県 | 国 | 米 軍 | |
航空機の旧海軍駐機場の使用について | SACO合意違反で認められない | 騒音を出さなければ使用を認める | 必要に応じて使用する |
・駐機場の機能全の移転により騒音などの軽減を図った | ・米側へ駐機場内での自走はせず牽引での移動を要請 ・米側から騒音を最小限にするための努力をするとの説明を受けている | ・一時使用は日米間の取り決めに合致 ・駐機場使用は上級司令部の指示に基づいている |
【旧海軍駐機場使用に関する當山嘉手納町長の発言】
この問題について、當山宏嘉手納町長は次のように発言している。(6月7日付琉球新報より抜粋)
「ここはもう駐機場ではない。音を出さない倉庫や整備工場としか聞いていない。・・・米軍の都合で旧駐機場を使うことを認めたら恒常的に使われかねない。・・・」 「・・・付近住民は安堵感を持ったが、覆された時の無念や悔しさ、裏切られたことへの憤りは今まで以上のものが出ている」 「騒音はなくなったわけではない。相変わらず離着陸で激しい騒音を発生させている。少なくとも旧駐機場の騒音からは開放してもらいたい」 「(基地の一部撤去を求める声も上がっている)まだ感情的になってはいけないと思っている。ただそういう声がもう付近からは出ているということだ。反発はますます高まってくる」 「日米で合意したものをまた使うことはあり得ないと答弁してきたが、見事に裏切られた。おわびする以外にない。私の常識からするとあり得なかった」 「(住民大会開催も視野との発言について)今の段階では前に回答した域はまだ出ていない。これはいったん打ち出すと途中でやめるわけにはいかない。町民の心情がどうなのか、各種団体の思いはどうなのか、特に基地対策協議会や議会がどういった考え方を持っているのかを測りながら判断する」 |
私たち基地周辺住民の爆音被害除去の闘いは、行政・議会をも巻き込んだ大きなうねりへと変わった。
嘉手納町及び嘉手納基地周辺住民は、住民の声を挙げ続ける。闘い続ける!!!