裁判所も匙を投げた、米軍機による爆音等基地被害からの住民救済〜第四次厚木控訴審判決 米軍機の夜間飛行差止認めず。被害救済の途は、安保条約破棄以外にない〜
昨日、7月30日に言い渡された第四次厚木爆音訴訟の控訴審判決。東京高裁は、自衛隊機の夜間飛行差し止め及び将来にわたる損害賠償請求等について認容した。軍用機による爆音の甚大な被害を認めたもので、その点で評価できあるが、米軍機の夜間飛行差し止めについては認めなかった。
東京高裁は、米軍の厚木飛行場使用は、国の「使用許可という行政処分は存在せず」、防衛大臣も、米軍の厚木飛行場使用についての「統括権限」を持たないと判断し、したがって、国に「存在しない行政処分の差止めを求める」ことはできない、とした。
つまり、米軍による厚木飛行場の使用は、日本国の支配が及ばない、いわば野放し状態だ、ということだ。戦後の戦勝国米国(軍)の駐留がいまだに続いているのだ。非主権国家たる日本の姿が、また、浮き彫りになった。
日本が主権を回復する方法はある。日米安全保障条約第10条に基づき、同条約を終了させ、日本が主権を持つ条約へと改定することだ。ちなみに同条は、日米いずれかの国から「条約を終了させる意思」が通告されてから1年が経過すれば条約は終了する。
裁判所も匙を投げた、米軍機による爆音等基地被害からの被害住民の救済。安保条約の破棄以外に途はない。
以下は判決要旨からの抜粋だ。
・・・米軍は、日米安保条約6条、日米地位協定2条1項、4項(b)、昭和46年6月30日の日米政府間協定に基づき、厚木飛行場を一時使用することができるが、このような厚木飛行場の使用につき、それが駐留目的に沿って運航上の必要性に基づいて行われている限り、第1審被告ないし防衛大臣において、米軍機の使用を制限することは想定されていない。また、防衛大臣は、自衛隊法107条5項に基づき、航行の安全及びこれに起因する障害の防止を図るために規制を行う権限を与えられ、そのために生ずる災害の防止等の措置を講ずべきものとされているが、防衛大臣が義務を負うのは専ら自己が運航統括権限を有する自衛隊機の運航についてのみであると解され、米軍機の運航について統括権限を与えたとみることはできない。 したがって、防衛大臣において厚木飛行場の使用に関し、その使用を許可するといった行政処分は存在せず、本件米軍機差止めの訴えは、存在しない行政処分の差止めを求めるものとして不適法であり、却下を免れない。 |
判決要旨に記載された条文
日米安全保障条約第六条 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。 日米地位協定第2条 1(a) 合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される。個個の施設及び区域に関する協定は、第二十五条に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない。「施設及び区域」には、当該施設及び区域の運営に必要な現存の設備、備品及び定着物を含む。 ・・・ |
安保条約廃棄
日米安全保障条約第十条 この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。 もつとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。 |