内閣支持率の低下、党内求心力の低下等から菅総理の退陣若しくは解散総選挙かと、連日報道される中、沖縄県の仲井真知事は県議会2月定例会一般質問において、知事の掲げる普天間飛行場の県外移設方針について、次のように述べた。(琉球新報抜粋)

 「政権が代わったとしても公約は変わらない。(4年間、県外移設)実現に向けてしっかりやる」

 総選挙により政権が代わったとしても、知事の公約である普天間飛行場の県外移設は不変であると明言したのである。これだけ、県の姿勢で明確なのだから、変わるべきは政府の姿勢である。

 知事選に出馬した伊波洋一前宜野湾市長の後を受けて、市長に就任した安里猛宜野湾市長は、2011年施政方針説明の会見で、普天間飛行場の危険性を放置しているとして、国提訴へ向けて準備を進めていた伊波前市長の姿勢を踏襲する考えを示した、と報道されている。

 普天間基地爆音差止訴訟原告団も第2次訴訟の提訴に向けて準備を進めているという。

 政府の姿勢を変えるためには、今後も沖縄の民意を発信するとともに、告発していく姿勢を、沖縄が堅持し続けていくことが重要だ。

 去る2月25日(金)に、第3次嘉手納基地爆音差止訴訟の弁護団が県庁で記者会見を行い、同訴訟の概要を発表した。概要は以下のとおり(報道より抜粋)

  原告団数 22,058名

  相手方   国

  請求内容 

   (1)午後7時〜午前7時までの米軍機の飛行禁止、同時間帯の騒音を40デシベル以下に制限

   (2)午前7時〜午後7時までの騒音を65デシベル以下に制限

   (3)過去、将来分の損害賠償

     ①過去分約444億円の請求

     ②将来分の月一人あたり5万7500円請求

 2月上旬に発表された際には2万2063人(当HM記事はこちら嘉手納基地爆音訴訟原告数2万2063人に!!)とされたが、最終集計では5人少ない22,058名となる見込みのようだ。裁判は3月28日(月)に那覇地方裁判所沖縄支部に提訴される予定。

 2次訴訟の原告数5,540名。今回の第3次訴訟の原告数はその4倍の2万2063人。これだけの原告数に膨れ上がったのは、激化する爆音への付近住民の危機感の現れと言える。特に嘉手納町では爆音の激化だけでなく、エンジン調整の際の排気ガス被害、深夜を問わず繰り返される即応訓練等への非難の声がある。ちなみに、嘉手納町住民の原告数は全町民の約35%に上っている。正に、危機感の現れといえる。  

 新聞報道 沖縄タイムス

  ご質問のような息子がいる場合、親御さんの気持ちとして財産を相続させたくないと思われるかもしれません。その場合、その息子を相続人から排除する手続があります。これを推定相続人排除手続といいます。手続は生前に行う方法と遺言で行う方法があります。
(1)生前に行う場合
  親御さん自身が家庭裁判所に調停を申し立てます。調停での話合いがつかないときには審判に移行し、裁判所が審判することになります。
(2)遺言で行う場合
  遺言書に排除する旨を記載します。被相続人が亡くなって後に、遺言執行者が家庭裁判所に推定相続人排除審判の申立てを行い、裁判所が審判することになります。

 推定相続人排除は民法893条に規定されている手続です。
同条には、①被相続人に対して虐待をしたとき
            ②被相続人に対して重大な侮辱を加えたとき
            ③推定相続人にその他の著しい非行があったとき
 被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができるとされています。 

 岡本元首相補佐官の昨日(22日)の衆議院予算委員会の公聴会での発言は明快である。当時の民主党代表の鳩山氏が普天間飛行場の移設先について、「国外、最低でも県外」と発言して総理になった。当然に沖縄は民主党政権に期待した。このような沖縄の民意の中で、それでも辺野古移設を唱えることは沖縄への裏切りとなり、政治家として取るべき方途ではない。民主党政権誕生後の沖縄の動き観れば、(岡本氏の言葉を借りれば)辺野古移設は無理となったことは明らかである。

 普天間飛行場移設問題については、自民党をはじめ多くの政党が、未だに辺野古移設を当然視しているように見える。沖縄の民意に耳を向け、本当の意味での沖縄の基地負担の軽減策を考えてもらいたいと思う。

 昨日の衆議院予算委員会の公聴会で、元首相補佐官の岡本氏は、普天間飛行場の辺野古移設問題について、次のように述べた。(youtube11/02/22 予算委員会公聴会①(公述人質疑) より掲載)

 「日米合意に基づいた辺野古移設を強硬しようとすれば、沖縄県内において不測の事態を招きかねない。例え長期間にわたってでも、沖縄の海兵隊全体(たんに普天間基地だけでなく)をコンパクトな形にして、本土に移設するというエレメント(要素)が含まれていない解決策は成り立たないと思っている。日米合意が実現する可能性がますますなくなっている現在、普天間の継続使用が結果として起らざるを得ないわけであり、これもいつまで続くのか、薄氷を踏む思いでの時間との闘いであります。この点については政府が米国と話し合って、日本のこの問題に対する基本姿勢を再検討することが必要であると思っています。」

 「辺野古は無理だということではなく、無理になった。14年かけて実現可能であったが、国のトップが県外と言ったのだから、沖縄の政治家がそれでも辺野古と言えば、県民への裏切りとなる。そのため沖縄全体が県外となったのだから、辺野古移設は無理だと言った次第です。」

 これを受けて、民主党政権だけでなく、他の政党、官僚は、この問題をどう考えるのか。

 あらてめて問いたい。

 昨日(19日)の琉球新報の報道である。

 政府は18日、日米地位協定について「2009年9月の政権発足以降、日米間で改定交渉は行っていない」とする答弁書を閣議決定した。・・照屋寛徳・・議員の質問主意書への答弁。

 驚きである。一昨年9月の民主党政権発足時の民主党、社民党、国民新党の合意は「沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」として、沖縄の基地問題解決に向けて決意が示された。そして11月7日には沖縄県読谷村で米兵によるひき逃げ死亡事件発生し、同事件に抗議する読谷村総決起大会が12月13日に開催され、約1500人が集まった。集会では容疑者の身柄引き渡しや日米地位協定の見直しを求める抗議文が決議された。

 民主党・沖縄ビジョン(2008)詳細はこちらをクリック) では、在日米軍協定の見直しが掲げられている。だからこそ、鳩山前首相の「最低でも県外発言」とも相まって民主党政権が誕生したのである。

 ここへきて、鳩山前首相の「抑止力は方便」発言により、普天間の国外・県外移設に向けた取り組みが政府として行われなかったことが明白となったが、それに加えて、日米地位協定の改定交渉が行われてこなかったことも明らかになったのである。信じ難い事実である。沖縄の民意が日米地位協定の改定について、常に声を上げ続けてきたにもかかわらず、政府では改定のテーブルにさえ着いていなかった。ことの真相は国会審議で明らかになると思うが、信じ難い事実である。

 今年1月9,10日の両日に来沖した民主党の岡田幹事長は単独インタビュー(HM記事はこちら)で次のように述べている。 

 「日米地位協定は、日米合意をする過程でもさまざま議論をした。まずは環境面の問題について・・・協議するのがスタート。・・・全面的に改定するより、緊急度の高いものから着手する方向で考える。ただ、普天間の移転が進まない中で、・・・議論だけが先行するのは限界がある。ある意味で日米合意とパッケージだ」

 日米地位協定改定の議論は普天間飛行場の辺野古移設が実現しなければ行えないとの発言であるが、その真意が今回さらに明白となった。政権発足以降1年6カ月の間、沖縄の基地負担の軽減を唱えながらも日米地位協定改定への努力をしてこなかったことを政権自らが認めた。

 菅政権の沖縄問題に対する考え方がどこにあるのか、今週の国会の中で明らかになることを期待したい。 

 鳩山前首相の「(普天間飛行場移設問題に関する)抑止力発言は方便」の説明に、当初無関心だった大手メディアもここへ来て、何らかの反応を示してきた。しかし、その多くは鳩山前首相の発言の軽さであるとか、自らの責任を棚上げにして官僚に押しつけているとか、鳩山前首相の政治家としての資質を問うものに集中している。しかし、鳩山前首相の発言の問題点の核心はそのようなゴシップ的なものでは収まらない。

 問題の核心は、閣僚・官僚のいずれも沖縄の基地問題を本気で解決しようとしていないことが明らかになったことである。その意味において、鳩山前首相のあまりにも正直な発言に対して、評価する声が沖縄には存する。

「政権を取った後の難しさで、簡単じゃないとの思いから腰が引けた発想になった人も多かった。閣僚は今までの防衛、外務の発想があり、もともとの積み重ねの中で、国外は言うまでもなく県外も無理だという思いが政府内にまん延していたし、今でもしている。」
 鳩山前首相のいう腰が引けた防衛、外務閣僚が誰であるかは一目瞭然である。更に続く
「その発想に閣僚の考えが閉じ込められ、県外の主張は私を含め数人にとどまってしまった。」
 県外主張は鳩山前首相と福島社民党党首と他ほんの2,3人にすぎなかったということか。
 このような状況の中で、どうすれば日本の政治自体を動かすことができるのか。
 沖縄にとっての最大の課題である。
 国会では、鳩山前首相の参考人招致が実施される見通しであるが、単に、鳩山前首相の責任を問うのではなく、沖縄の基地問題の根幹を問う論戦を期待する。

 鳩山前首相の“抑止力は方便だった。”発言はその後の鳩山氏の釈明発言もあいまって大きな反響を呼んでいる。

 インタビューの中で、「最低でも県外」発言と民主党・沖縄ビジョン(2008)(詳細はこちらをクリック)について次のように述べている。「民主党は沖縄ビジョンの中で、過重な基地負担を強いられている沖縄の現実を考えた時に、・・党として『最低でも県外』と決めてきた。鳩山個人・・というより・・党代表として・・党の基本的考えを大いなる期待感を持って申し上げた。・・しなければならにないという使命感の中で申し上げた。しっかりと詰めがあったわけでなはい。」

 つまり、「最低でも県外」は党是であって、これを党代表として発言したものだと述べている。党全体として取り組むべき問題であるとの認識で述べたのである。

 2005年5月15日に実施された「普天間基地包囲行動集会」で普天間基地撤去を訴えたのが岡田幹事長である。ところが、昨年末に民主党が「民主党・沖縄ビジョン(2008)」を見直すという(HM内記事)ことが報道された。「最低でも県外」発言を抹殺するための見直しなのだろうか。

 沖縄の声に耳を傾け、沖縄の基地負担軽減の原点に、民主党が戻ることはできないのだろうか。

 鳩山前首相が新聞社とのインタビューの中で、沖縄の米軍基地について以下のように発言している(新聞報道より抜粋)。

  防衛省、外務省の沖縄の米軍基地への発想について

「防衛省、外務省の沖縄の米軍基地に対する存在の当然視があり、数十年の彼らの発想の中で、かなり凝り固まっている。動かそうとしたが、元に戻ってしまう。」

 抑止力発言について

「海兵隊自身が(沖縄に)存在することが戦争の抑止になると、直接そういうわけではないと思う。海兵隊が欠けると、(陸海空軍の)すべてが関連している中で米軍自身が十分な機能を果たせないという意味で抑止力という話になる。それを方便と言われれば方便だが。広い意味での抑止力という言葉は使えるなと思った。(周りからすると)何でいまさら『学べば学ぶほど』という話しで抑止力なのか、と思ったと思う。」 

米国が辺野古にこだわる理由について

「米国は沖縄にいることでパラダイスのような居心地の良さを感じている。戦略的なメリットも当然だが想いやり予算、県民の優しさも含めて。国内には沖縄より良い場所はないという発想があるのではないか。」

 今回の反省点は

「相手は沖縄といようりは米国だった。最初から私自身が乗り込んでいかなきゃいけなかった。これしかあり得ないという押しこんでいく努力が必要だった。オバマ氏も今のままで落ち着かせるしか答えがないというぐらいに多分、(周囲から)インプットされている。日米双方が政治主導になっていなかった。」

 鳩山前首相の「最低でも県外」発言の実現に向けて、実は、政府は何もしていなかった、ということか。結局、防衛・外務両省の意向に屈したと報道等で指摘されてきたが、そのことが鳩山前首相の口から明らかにされた。

 沖縄自身もあらたな戦略が必要である。

 新聞報道   琉球新報    沖縄タイムス    

          47ニュース鳩山由紀夫前首相のインタビューの一問一答

 2月17日に退任する宮城篤実嘉手納町長へのインタビューが、日本経済新聞WEB版に掲載された。その中で、今後の基地問題の行方について、次のように述べている。

 「正直誰も見通せないと思います。名護市では辺野古移設に反対する稲嶺市長が当選し、市議会も反対はが多数を占めて、移設は極めて困難な状況です。ただ、このままでは普天間基地は長期固定化してしまいます。やはり政府の決断でしょう。今の政権はリスクをかけて交渉する意思を持ちうるのか。米国と談判するには、よほどの覚悟と国民の支持がないと前に進まないでしょう。」普天間飛行場の辺野古移設は困難であり、普天間基地問題の解決には政府の決断が必要であると述べている。そして、昨年の知事選についても「私も仲井真知事に『(県内移設容認の姿勢を)転換した方がいい』と勧めました」と当時の状況を吐露している。仲井真知事の方針転換については翁長那覇市長の進言が大きく影響したとされているが、嘉手納基地を抱える宮城町長からの影響もあったと思われる。

 普天間飛行場の移設問題が大きく取り上げられる中で、沖縄の基地問題と普天間問題がイコールの関係にあるとの誤解が生じているとの声がある。極東最大の嘉手納米軍基地から発生する爆音・排ガス等の問題は、更に深刻であり、普天間問題が解決すれば沖縄の基地問題が解決するのではない。更にやんばるの森に広がる北部訓練場の問題もある。普天間問題の解決は、それ自体の重要性もさることながら、沖縄の基地問題解決の足掛かりとなる点において、更に重要である。

 原告数が22,000人を超える第3次嘉手納基地爆音差止訴訟が3月に提訴される。これも先の政治の動きと無縁とは言いきれない。沖縄が沖縄の本音を訴え始めたのである。

 永田町では3月危機説がまことしやかに囁かれている。来たる総選挙では沖縄の基地政策の大きな転換が、沖縄の地から求められているのである。

 平成23年の広報かでな1月号(詳細はこちらをクリック)は、宮城町長の年頭のあいさつが掲載されている。宮城町長はすでに勇退を表明し、去る1月30日の町長選挙では當山ひろし氏が当選し、次期町長へ就任する。

 さて、宮城町長の年頭のあいさつであるが、基地問題に関する宮城町長の基本姿勢が示されている。宮城町長は、「アメとムチ論」に対して、「アメとムチの理論を展開する人びとは、「アメを求めれば地域は衰退し、人々は意欲を失い、進むべき方向を見失うであろう」と嘆きます。果たしてそうなるものでしょうか。」と疑問を呈し、行政の長として住民生活に責任を負う立場にある首長として、「この理屈で現実に被害を受け続けている人びとは果たして救われるのでしょうか」と指摘する。そして「爆音訴訟が被害者としての権利獲得のため司法判断を求める行為であると同様、行政が正当な権利を主張し、施策として補償を勝ち取る事は何ら恥ずべきことではなく、むしろ権利だと確信しております。」として「アメとムチ論」を排斥する。  更に、嘉手納町の基地の歴史的経緯について、「(住民が)自ら基地を受入れた訳でもなく、戦争終結によって民間用地が米軍によって接収され、復帰と同時に国策によって施設を提供させられてきたのが我が町の実情」であると指摘し、このような理不尽な状況の中で、「基地被害を受けている者が問題解決を求めてその加害の根源を絶つべく関係者に要求することは当然の権利」と述べ「加害者は被害原因の除去のために努力し、責任を負うべきであります。」と指摘している。正論である。  そして、平成9年7月に、宮城町長自身が、それまでの基地の整理縮小から全面返還を打ち出した経緯に触れ「私が不退転の決意で全面返還を打ち出したのは、けっしてアメに甘んじないという信念であり」、「いかなる国策があっても町民を犠牲にする問題提起には断固反対する政治姿勢を貫き通すべきであると考えました。」としている。  このような基本的姿勢を持つ宮城町長の下で、嘉手納基地から発生する基地被害の状況はどうなっているのか。連日報道されているように基地被害(爆音や排気ガス等)は減少どころか、ますます酷くなっているのが現状である。  基地の整理縮小・基地被害の軽減は嘉手納町のみならず、沖縄全体の課題である。普天間飛行場移設問題にみる政府の姿勢は、沖縄無視の姿勢を維持し続けている。言葉では誠意ある対応と言いながらも。沖縄の民意である基地の整理縮小・基地被害の軽減に向けて誠意ある対応をしているとはとうてい言えない。ならば、現状打破のためにどうすればいいのか。
 そのヒントは宮城町長のあいさつの中の次の言葉にあるように思う。それは次のくだりである。
「基地被害を受けている者が問題解決を求めてその加害の根
源を絶つべく関係者に要求することは当然の権利だと考えております。被害の原因が国家間の条約によるものであろが何であろうが、加害者は被害原因の除去のために努力し、責任を負うべきであります。」
 政府が沖縄の声に耳を傾けない現状においては、沖縄が自らの行動に確信を持たなければならない。その意味において宮城町長の言葉は正に正論である。
 そして、このような状況下における嘉手納町長の責任は重大である。嘉手納飛行場に関する三連協(三市町連絡協議会)や軍転協(県軍用地転用促進・基地問題協議会軍転協)とも連携しながら、基地の整理縮小・被害除去に向けた取り組みを強化していく必要がある。

 當山新町長の手腕に期待したい。

 県と基地所在市町村でつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会は、昨日8日に、菅首相をはじめとする関係閣僚に、普天間飛行場の移設に関する日米共同発表を見直し、同飛行場の県外移設および早期返還に取り組むことなど7項目(こちらを参照)を要請した。

 要請先については以下のとおり(新聞報道による)

 ①菅首相、枝野官房長官 ②北沢防相 ③前原外相 ④民主党の岡田幹事長 ⑤ルース駐日大使 ⑥在日米軍司令官(9日に予定)

 要請に対しては、いずれも、沖縄の基地負担軽減に努める、と述べるに止まり、要請項目に対するコメントはなかったと報道されている。

 今回のオール沖縄の行動に政府はどう応えようとしているのか。

 要請行動についての新聞報道

   沖縄タイムス    琉球新報  

 第2次嘉手納基地爆音差止訴訟に対する最高裁決定が1月27日に出されました。内容は上告審として受理をしないという決定でした。つまり、最高裁での審理がなされないままに門前払いを受けた形になりました。これを受けて、最高裁に対する抗議声明を発したのが今回の記者会見です。声明では、今回の決定について「最高裁は、被告国による爆音発生の関与と被害の放置をあらためて容認した」ものと指摘し、「司法の役割と責務を放棄したものであって、断じて許すことができない。」と糾弾している。

 声明の末尾でも触れられているように、この怒りは第3次嘉手納基地爆音差止訴訟へと引き継がれていくに違いない。 

 

   声明発表(又吉副団長)             仲村団長              池宮城弁護団長

 

   声明文             955上告棄却決定           956上告棄却決定 

     記者会見を伝える新聞報道

         琉球新報   沖縄タイムス

 軍転協とは、県と基地所在市町村でつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会のことである(ただし、軍用地等の所在しない市町村の長であってもその申し出により構成員となることができる)。その目的は、県内に所在する米軍、自衛隊の跡地等の利用・転用の促進及び基地から発生する諸問題についてその解決を図ることとされている。 

 その軍転協で以下の7項目(抜粋)について、日米両政府に要請することを前回一致で承認し、2月7日から上京し、要請行動を行うという。要請団は仲井真知事を団長として、稲嶺名護市長、安里宜野湾市長ら10首長が参加し、菅首相及び枝野官房長官らに要請行動を行う。稲嶺名護市長は、先の単独での要請行動を断られた経緯があり、今回の面談でどのような要請を行うのか注目したい。

軍転協要請要旨(新聞報道より抜粋)

1 日米共同について

(1)普天間飛行場の県外移設および早期返還、危険性の除去について

 (ア)日米共同発表を見直し、同飛行場の県外移設および早期返還に取り組むこと

    (以下略)

(2)在沖海兵隊のグアム移転と嘉手納飛行場より南の施設・区域の返還などについて

 (ア)在沖海兵隊のグアム移転と嘉手納飛行場より南の施設・区域の返還などは、パッケージ論にとらわれることなく、実現可能なものから、一つ一つ確実に実行すること

    (以下略 )

2 駐留軍用地跡地利用に関するあらたな法律の制定について(以下項目のみ)

3 米軍人・軍属などによる事件などの抜本的防止対策について

4 米軍の演習などに伴う事故などの防止および安全管理の徹底について

5 嘉手納飛行場および普天間飛行場における航空機騒音などの軽減について

6 米軍の活動および基地運用による生活環境被害や自然環境破壊の防止対策の強化

7 日米地位協定の抜本的な見直しについて 

 第3次嘉手納基地爆音差止訴訟は、原告団数が2万2063人、7492世帯となり、国内最大の訴訟となることが、原告団準備会で公表された。

   原告数 世帯数  人 口

人口に占める

原告数の割合 

北谷町     3934   1321  27,275    14%
嘉手納町     4916   1618  14,004    35%
うるま市具志川     4970   1597 118,953    8.6% 
うるま市石川     5373   1913
沖縄市     2139     744 135,623    1.5%
読谷村       731     299  39,878    1.8%
合  計 22,063   7492    

※嘉手納町以外は原告となりうるコンター75Wに該当しない地域があるため「人口に占める原告数の割合」は小さくなっている。

 今回の訴訟の特徴は原告数が2万人超という大規模訴訟になることもさることながら、嘉手納町の原告数が約5000人にのぼり、3人に1人が原告となっていることにある。その理由については様々考えられるが、最大の理由は民主党の普天間飛行場移設問題についての対応にあるのではないだろうか。「最低でも県外」と言いながら、当時の岡田外相を中心とした普天間の嘉手納統合案は嘉手納町民の怒りに火をつけた。平成21年11月7日の普天間飛行場の嘉手納統合案に反対する嘉手納町民大会は、その怒りを町民全体が意思表示する機会となった。

 「何も言わなければ認めたことになる」という危機感がこれだけの原告数になった要因ではないだろうか。

 菅首相を始め、菅政権閣僚のすべてが、沖縄の基地負担が過重であり、「慙愧に堪えない」、「不条理」な状況であることを認めている。嘉手納基地の状況が周辺住民に過重な負担を与えていることを認め、北沢防相も負担軽減するための方策をできるところから進めていくと強弁している。

 このような状況下で訴えが提起された場合、国は、損害の発生について争うのだろうか。これまでの第1,2次訴訟では、損害の発生について国が争ったことから判決までに期間を要した。差止については別としても、損害の発生については首相を始めが全閣僚が謝罪しているのであるから、争う点は少ないはずである。であれば、比較的早い段階での判決も可能ではないかと思うのだが。

 訴訟は、3月28日に、那覇地方裁判所沖縄支部に提起される。国がどのような対応をするのか、注目である。

 第三次嘉手納基地爆音差止訴訟についての報道

 沖縄タイムス     同社説 

 大相撲の八百長問題が発覚した。野球賭博で逮捕された関係者の携帯電話に八百長の打ち合わせの内容が残っていたという。報道された内容を見る限りでも、生々しいやりとりが記録されている。力士の名前や、金のやり取りにまで及んでいる。

 警視庁からの報告を受けた文部省は「大相撲の存続に関わる」と指摘しているが、正にそのとおりである。

 これまで、幾度となく、八百長疑惑を指摘されてきたが、今回ほど、はっきりとした証拠を突きつけられたことはなかったように思う。

 しかも、近々のニュース報道によれば、八百長疑惑を指摘された力士自身がインタビューで八百長を否定しなかったという。

 暴力、薬物、野球賭博、そしてついに八百長まで発覚した大相撲。今後の動向に注視したい。

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