「“当て逃げ米兵不起訴” 那覇地検『公務中』理由に」(クリックすると沖縄タイムスHMへ)

 今日(7月26日)沖縄タイムス紙の記事である。

 事件は今年5月。米軍の大型トラックが乗用車に追突して逃走した。捜査の結果キャンプハンセン所属の米兵が被疑者と特定されたものの、米軍から公務中を理由に第1次裁判権行使が伝えられ、那覇地検は「不起訴」と判断。

 このような状況下では、事件・事故を起こした米兵が基地内逃げれば、逃げ得だと考えてもおかしくない。

 これでは、沖縄で生活する日本人の生命・身体の安全は守れない。

 日米地位協定の改正は喫緊の課題である。 

 先月30日(平成23年5月30日)に、“日の丸・君が代訴訟上告審判決”が最高裁判所で言い渡された。

 この判決は最高裁第二小法廷(須藤正彦裁判長)によるものである。判決では、問題となった高等学校での校長による国家斉唱の際の起立斉唱命令は憲法には違反しないと結論付けている。

 しかし、以下の判決要旨(報道からの抜粋)を見ると、合憲判断にはいたったものの、国家斉唱の際の起立斉唱命令についての問題点が指摘されている。それは、同命令が「個人の思想、良心の自由を直ちに制約するとは認められない。」としながらも、「歴史観や世界観に基づかない行動を求められる点で、思想、良心の自由を間接的に制約する。 」とし、命令の態様によって違憲となる可能性があることを指摘している点である。

 その上で注目すべきは、5人の裁判官中2人が補足意見の中で、「思想、良心の自由の重みに照らし、命令に踏み切る前に、・・可能な限りの工夫と慎重な配慮が望まれる」と指摘し、「司法が職務命令を合憲、有効として・・もこの問題を社会的にも最終的に解決に導くことになるとはいえない」としている点である。

 この判決が、直ちに、国家斉唱の際の起立斉唱命令にお墨付きを与えたわけではない、ことが確認できる。

 【憲法19条違反の主張について】

 公立学校での卒業式などの式典で・・国家斉唱の際の起立斉唱は、一般的式典における慣例上の儀礼的な行為としての性質を持つ。

 起立斉唱はその性質上、元教諭の歴史観や世界観を否定することと不可欠に結びつくとはいえず、起立斉唱を求める職務命令は、歴史観や世界観自体を否定するとはいえない。

 客観的にみても、特定の思想を持つことを強制したり、・・禁止したりするものではなく、特定の思想の有無の告白を強要するともいえない。

 起立斉唱の職務命令は、個人の思想、良心の自由を直ちに制約するとは認められない。

 もっとも、日の丸、君が代に対して敬意を表明できないとかんがえる者が、歴史観や世界観に基づかない行動を求められる点で、思想、良心の自由を間接的に制約する。

 間接的な制約が許容されるかどうかは、職務命令の目的や内容、制約の態様などを総合的に比較して、許容できる程度の必要性と合理性がみとめられるかどうかという観点から判断するべきだ。

 学校教育法は・・国家の現状と伝統についての正しい理解などを掲げ、学習指導要領も・・国旗国家条項を定めている。

 地方公務員の地位や性質、職務の公共性に鑑み、元教諭は法令や職務上の命令に従わなければならない立場にあり、・・、校長からの本件の職命令を受けた。

 (職務命令は)元教諭に対して卒業式での慣例上の儀礼的な行為として国家斉唱の際の起立斉唱を求める内容で、・・生徒への配慮も含めた秩序の確保や式典の円滑な進行を図るものだ。

 職務命令は、思想、良心の自由について間接的な制約となる面はあるが、・・総合的に判断すれば、制約を許容できる程度の必要性と合理性が認められる。憲法19条に違反するとはいえない。

【須藤正彦裁判長の補足意見】

 本件の職務命令のような不利益処分を伴う強制が、無用な混乱を生じさせ、教育現場を萎縮させるのであれば、教育の生命が失われることにもなりかねない。思想、良心の自由の重みに照らし、命令に踏み切る前に、寛容の精神の下に可能な限りの工夫と慎重な配慮が望まれる。

【千葉勝美裁判官の補足意見】

 司法が職務命令を合憲、有効として決着されることが、必ずしもこの問題を社会的にも最終的に解決に導くことになるとはいえない。国旗国家に対する姿勢は思想信条に関連する微妙な領域の問題だ。国旗国家が、強制的にではなく、自発的な敬愛の対象となるような環境を整えることが何よりも重要である。

 以下では平成23年5月30日から6月中旬にかけて出された判決をまとめてみた。これらを見ても最高裁判決が、直ちに、国家斉唱の際の起立斉唱命令にお墨付きを与えたわけではない、ことが確認できる。

日の丸・君が代訴訟上告審判決について

日の丸・君が代訴訟上告審判決について②

 判決に付された補足意見及び反対意見の主要な部分についてまとめてみた。
 補足意見等の内容を見ると、今回の判断が合憲とされたものの、この判断が直ちに教育現場の混乱を回避するものではなく、現場の自助努力を求めていることがわかる。処分の妥当性の判断等、教育現場の混乱回避に向けた努力を求めている。これらの合憲判決が、直ちに、国家斉唱の際の起立斉唱命令にお墨付きを与えたわけではない、ことが確認できる。
 23.5.30第2小法廷補足意見については当HM記事:日の丸・君が代訴訟上告審判決(平成23年5月30日)についてを参照。

    補 足 意 見 

23.6.6判決(第1小法廷)

金築裁判官の補足意見:もっとも、教職員に対する職務命令に起因する対立であっても、これが教育環境の悪化を招くなどした場合には、児童・生徒も影響を受けざるを得ない・・。・・全ての教育関係者の慎重かつ賢明な配慮が必要とされることはいうまでもない。

23.6.14判決(第3小法廷)

那須裁判官の補足意見:上告人らの思想及び良心の自由についての間接的な制約があるとしても、・・入学式ないし卒業式等という・・重要な教育活動を効果的に実施し、その成果を教育の受け手である生徒らに十分に享受させるという公共の利益に沿うものである。その目的と効果を比較考慮しても、その制約に合理性がないとはいえず、上告人らはこれを甘受すべき・・である・・

岡部裁判官の補足意見: 思想及び良心の自由が憲法上の保障であるところからすると、その命令が憲法に違反するとまではいえないとしても、その命令の不履行に対して不利益処分を課すにあたっては慎重な衡量が求められる・・。


大谷裁判官の補足意見:・・過度の不利益処分をもってする強制や、他方で殊更に恣意的な拒否拒否行動があって教育関係者に対立が深まれば、教育現場は混乱し、生徒への悪影響も懸念されよう。・・教育関係者の相互の理解と慎重な対応が期待される・・。

   反 対 意 見 
 23.6.6(第1小法廷)宮川裁判官反対意見憲法は少数者の思想及び良心を多数者のそれと等しく尊重し、その思想及び良心の核心に反する行為を行うことを強制することは許容していないと考えられる。・・上告人らに起立斉唱行為を命ずる本件各職務命令は憲法審査の対象となる。・・その審査は厳格な基準によってなされるべきである・・原判決を破棄し差し戻すことを相当とする。
23.6.14(第3小法廷)田原裁判官反対意見本件各職務命令と憲法19条との関係を検討するにあたっては、「起立行為」と「斉唱行為」とを分けてそれぞれにつき検討すべきものと考える・・「起立命令」に限っていえば、・・間接的な制約となる面はあるものの、職務命令の目的及び内容並びにその制約の態様等を総合的に較量すれば、・・必要性及び合理性を有することを是認できる・・。国家を「唱う」ことを職務命令をもって強制することは、・・思想、信条に係る内心の核心的部分を侵害するものであると評価されうるということができる。・・原判決を破棄し差し戻すことを相当とする。 

  いわゆる日の丸・君が代訴訟についての最高裁判断が出された。平成23年5月30日の最高裁第2小法廷の判断を皮切りに、第1,3小法廷においても判断が出され、いずれも合憲判断を示した。
 裁判で問題となったのは、入学式や卒業式等の式典での国旗掲揚下での起立斉唱行為(式典における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立し国歌を斉唱すること)である。学校長の起立斉唱命令に従わなかった教職員に対する処分の違法性が争われた。
 最高裁すべての小法廷において合憲判断が出されたが、いずれの小法廷においても補足意見が示され、第1,3小法廷においては反対意見が示された。

【判決一覧表】(判決日等をクリックすると(最高裁HMへ飛びます)判決全文を閲覧することができます。 

判決日等  判断 補足意見裁判官 反対意見裁判官

H23.5.30

第2小法廷 

合憲 竹内、須藤、千葉  なし 

H23.6.6

第1小法廷

合憲 金築  宮川 

H23.6.14

第3小法廷 

合憲 那須、岡部、大谷  田原 

H23.6.21

第3小法廷 

合憲  那須、岡部、大谷  田原 

 合憲判断の内容については、当HM記事:日の丸・君が代訴訟上告審判決(平成23年5月30日)についてに要旨が掲載されているので参考にしていただきたい。
 ここで議論したいのは、判決に付された補足意見及び反対意見についてである
(②へ続くこちらをクリック)

 昨日、25日、沖縄県北中城村で、「不平等な日米地位協定を許さない抗議集会」が開催された。この集会は、今年1月に沖縄市内の交通死亡事故で、自動車運転過失致死罪で送検された在沖米空軍軍属の男性(23)が「公務中」を理由に不起訴となった事件に抗議して開催された。

 不起訴に対しては遺族から検察審査会へ審査が申立てられ(当HM記事米軍属不起訴事件、4月25日、遺族が検察審査会へ審査申立!参照)、5月27日に検察審査会は起訴相当の判断を下した(当HM記事米軍属不起訴事件、那覇検察審査会「起訴相当」!!!参照)。現在は検察官の判断待ちの状態である。

 沖縄県民の命よりも米軍の「公務(飲酒中でも)」が優先される。しかも、被疑者米軍属への処分は「運転免許停止5年」である。この処分が裁判権の行使といえるのか。那覇地検は5月26日の会見で、米国が第1次裁判権を行使していないのであれば、日本の裁判権を行使する可能性を示唆したという(当HM記事米軍属不起訴事件にあらたな展開参照)

 諸悪の根源である日米地位協定の改定は喫緊の課題である。しかし、去る6月21日のスモール2(日本)+ラージ2(米国)でも日米地位協定の改定については触れられていない。

 沖縄の基地負担の軽減とともに、日米地位協定の改定を求める沖縄の声を上げ続けていかなければならない。

 今年1月に沖縄市内の交通死亡事故で、自動車運転過失致死罪で送検された在沖米空軍軍属の男性(23)が「公務中」を理由に不起訴となった事件。亡くなった男性の遺族が不起訴を不服として那覇検察審査会に審査申し立てていた事件。

 那覇検察審査会は、27日、「起訴相当」と議決した。

 検察審査会の「起訴相当」の議決を受けて、検察官は3カ月以内に起訴するか否かの判断をすることになる。再度検察官が起訴しないときは、検察審査会は再度の審査を行うことになり、起訴相当の判断が再度出された時は、裁判所の選任する指定弁護士が起訴することになる。

【起訴議決制度のイメージ図(最高裁判所HM)はこちらをクリック】

 この事件については、那覇地検は26日の会見で、米国が第1次裁判権を行使していないのであれば、日本の裁判権を行使する可能性を示唆したという。 今回の検察審査会の議決も相まって、今後の那覇地検の動向に注目である。

【報 道】

不起訴の米軍職員「起訴相当」〜那覇検審(日テレ)

米軍属を「起訴相当」議決 交通死亡事故めぐり那覇検審(産経ニュース)

公務中理由に不起訴の米軍属「起訴相当」 那覇検察審(asahi.com)

米軍属不起訴「公務中の認定が不十分」(沖縄タイムス)

米軍属は起訴相当 検審、異例言及 地位協定改定を(琉球新報)

米軍属を「起訴相当」と議決 死亡事故めぐり那覇検審(河北新報)

公務中の不起訴問題 検察審査会が「起訴相当」と議決(QAB)

 「米軍属の死亡事故 那覇地検 裁判権行使の可能性示唆」(OTV)昨日26日の報道である。那覇地検は26日の会見で、米国が第1次裁判権を行使していないのであれば、日本の裁判権を行使する可能性を示唆したという。

 昨日の衆議院安全保障委員会で、米軍関係者の事件・事故について米側が第1次刑事裁判権行使後の処分結果通知について「懲戒(処分)という形になると(容疑者)本人の承諾が要る」と外務副大臣が回答している。

 今年1月の米軍属死亡事故では、米側が「公務中」を理由として第1次裁判権の行使を行うと通知したため、那覇地検は米軍属を不起訴にした。ところが、米軍属への処分は「運転免許停止5年」である。この処分が裁判権の行使といえるのか。米側の裁判権が行使されていなければ、当然、日本が裁判権を行使できることになる。

 ウチナーンチュの命よりも、米軍の「公務」が優先される現状は極めて異常である。

 法に則った適正な処置を、検察に期待したい。

 なお、この米軍属不起訴事件は、4月25日、遺族が検察審査会へ審査を申立(当HM記事)てている。

 那覇検察審査会の起訴相当の議決を受けて、検察官が中国人船長を起訴する場合の一番の問題は被告人(起訴すると呼称が被疑者から被告人となる)が日本にいないことである。

 検察官が被告人を起訴すると、真っ先に執られる手続きが起訴状の送達である。刑事訴訟法第271条は、公訴提起から2カ月以内に起訴状が被告人に送達されないと、「公訴の提起は、さかのぼつてその効力を失う。 」と規定している。したがって、中国人船長を起訴しても起訴状送達の方法が確保されなければ「公訴の提起は、さかのぼつてその効力を失」い、そうなれば、裁判所は、「決定で公訴を棄却しなければならない(刑事訴訟法339条)」のである。

 ちなみに民事事件においては司法共助によって、送達等に関して条約締結国に関しては大使館や領事館等を経由しての送達手続きが可能である。

 今回の尖閣沖中国漁船衝突事件についは、中国当局の協力が得られる見込みは薄く、仮に起訴したとしても裁判できるかどうかは分からない。しかし、裁判の見込みがないからと言って起訴しないでは済まされない。那覇検察審査会はその議決書において「民意を表明するために上記趣旨のとおり議決する」としており、司法においても民意に立脚した適正な手続きが求められる。今度こそ、法にしたがい、粛々と手続きを進めるべきではないだろうか。

 12月7日に福岡高等裁判所那覇支部が解雇無効判決を言い渡した、沖縄の米海兵隊キャンプ瑞慶覧の解雇無効事件についいて、国は上告を断念する方針を発表した。21日の記者会見で北沢防相が述べた。(琉球新報報道はこちらをクリック)

 今後は、原告の復職が焦点となる「米軍に判決拒否権」詳細はここをクリック)という言葉のとおり、 解雇無効の判決が確定した場合でも、米軍側が日米間で定めた諸機関労務協約をたてに復職を拒むことができるという。これは控訴審の和解協議の席で国側が述べたものであるが、裁判が確定しても米軍の恣意により、正当な権利の実現が妨げられるとなれば、正に治外法権と言わざるを得ない。原告の復職が認められるのは当然のことである。原告の復職に向けた日米の交渉を注視したい。 

  昨日(12月7日)沖縄の米海兵隊キャンプ瑞慶覧で不当解雇されたとして解雇無効を訴える裁判の控訴審で、福岡高等裁判所那覇支部は、1審に続いて解雇無効の判決を下した。

 控訴審の和解協議の中で、国が、解雇無効の判決が確定した場合でも、米軍側が日米間で定めた諸機関労務協約をたてに復職を拒むことができるという見解を示したことについて、福岡高等裁判所那覇支部は判決理由の中で「米軍が復職を拒むことができる『安全上の理由による解雇事案』に該当しないことは明らか」と指摘したという。

 裁判所が、単に解雇の有効・無効の判断だけでなく、判決内容の実現に向けて判断したことは重い。

 諸機関労務協約が裁判所の判断についても、治外法権、あるいは治外法権的取り扱いをを認めたと解されるのあれば、沖縄における米軍の在り方について見直す必要性が更に強まったことを意味する。

 現在見直しの機運が高まっている日米地位協定のみならず、様々な日米の取り決めについても見直し、検討が必要になる。

参考:「米軍に判決拒否権」って何?

  沖縄の米軍基地キャンプ瑞慶覧で不当解雇されたとして解雇無効を訴える裁判の控訴審で、福岡高等裁判所那覇支部は、1審に続いて解雇無効の判決を下した。

 同時に、裁判所で解雇無効の判決が確定した場合でも、日米協議の結果で安全上の理由による解雇と認定できれば復職を拒むことができるとした国の主張に対しても、「安全上の理由による解雇と認定できなことは明らか」と述べたという。(正午のNHKラジオ第1ニュースより)

 明日の朝刊が楽しみです。

 沖縄の米軍基地キャンプ瑞慶覧で不当解雇されたとして解雇無効を訴える裁判が進行中であるが、その控訴審の和解協議の際に、解雇無効の判決が確定した場合でも、米軍側が日米間で定めた諸機関労務協約をたてに復職を拒むことができるということが分かったという。(沖縄タイムス報道詳細はこちらをクリック)
 解雇無効判決が確定しても、米軍側が復職を拒むことができるとはどういうことなのか調べてみた。
 (1)基地従業員の雇用形態
  日米両国は、日米地位協定により、日本国が労働者を雇用し、在日米軍に提供するいわゆる「間接雇用方式」を採用している。そして、その労務提供を円滑に実施するため、防衛省と在日米軍は、3つの労務提供契約(①基本労務契約②船員契約③諸機関労務協約)を締結し、提供する駐留軍等労働者の資格要件、労務管理の実施方法、給与その他の勤務条件の内容、労務経費の日米負担の区分等在日米軍への労務提供に関する具体的諸条件を細かく取り決めている(駐留軍等労働者の労務管理に関する検討会報告書平成22年8月より)。
 つまり、基地従業員は日本国が採用して米軍に提供しており、提供する際の労務契約の中身が今回の問題の発端ということになる。
 (2)報道によれば、その労務提供契約には、日本の裁判所で解雇無効の判決が確定した場合、「安全上の理由による解雇」を除く訴訟事案については復職義務を負うものの、日米協議の結果「安全上の理由によると解雇」と判断された場合は、米軍が復職を拒むことが可能になるという。
 (3)日本の裁判所の解雇無効判決が確定しても、日米協議でその解雇が「安全上の理由による解雇」と判断することができるのか。解雇に至った事実関係はすでに裁判所によって無効と判断され、雇用主である日本国を拘束する。にもかかわらず、日本国と米軍が協議して、「安全上の理由による解雇」として認定することができるのか。仮にそのように判断するとなれば裁判所の判断に反する行政行為であり、憲法の基本原則である三権分立の基本理念にも抵触する恐れがあるのではないか。
 裁判所で解雇無効の判決が確定した場合でも、日米協議の結果「安全上の理由による解雇」と認定できるのか。極めて疑問である。

 裁判員制度で、初めて死刑求刑された「耳かき店員ら殺害事件」の判決が昨日(11月1日)出された。判決は無期懲役。

 刑事裁判への市民感覚の導入を大義名分として導入された裁判員制度では死刑判決が多くのなるのではないかと思われたが、現実に初めて死刑求刑された事件では無期懲役の判決が下された。過去の判例からすれば、今回の事件は、その流れに沿ったものと言える。

 裁判員の評議においては、本件が「極刑をもって望むしかない」場合にあたるか否かが争点となったと思われる。犯行の残忍性や遺族の被害感情とともに、事件に至った被害者と被告人との関係、被告人のこれまでの生活態度や被告人の反省情等が考慮され、議論がなされたのであろう。

 刑事裁判への市民感覚の導入を大義とする裁判員制度では、裁判員自身へ秘匿義務が課されている。そのため、どの程度に市民感覚の導入が図られているのか検証が難しい。誰もが裁判員となる可能性がある。裁判手続きの現場の情報をもっと開示すべき方向に行くべきではないかと思う。情報開示は、裁判員制度を定着させるためにも必要不可決である。

 尖閣列島付近で違法操業の疑いで逮捕された中国人船長が釈放された事件と無罪判決が出た後に証拠物の偽造が発覚した村木さんの事件は、これまで抱いていた検察への信頼を大きく揺るがす事件だ。

 村木さんの事件は、結局、検察のでっち上げであることが判明し、村木さんも復職を果たした。その後に発覚した証拠物の偽造は検察への信頼を失墜させ、その影響は偽造により逮捕された前田検事が担当した他の事件にも波及している。何が何でも起訴しなければならないという検察の姿勢が生んだ冤罪事件である。

 これに対して、中国人船長の事件は、領海侵犯の疑いで事情聴取しよとした海上保安官の停戦命令を無視して逃走したあげくに、海上保安庁の船に自らの漁船を2度も衝突させて逃走を図ろうとした、と報道されている。領海侵犯、公務執行妨害、器物損壊の犯罪行為であり、しかも、容疑については否認しており、裁判所の勾留延長が決定された。報道のとおりであれば、通常、この時点で釈放はあり得ない。法に則って粛々と手続きを進めるのなら、なおさらである。ところが、突然の処分保留による釈放。

 証拠物を偽造してまで起訴に踏み切った村木さんの事件と、容疑が明らかであるのに突然処分保留にした中国人船長の事件。いずれの事件についても、これまでの検察への信頼が大きく揺らいだことは間違いない。

 10月の臨時国会では、検察に関する議論が期待されるが、どこまで、真実が語られ、その姿が明らかになるのか、注目したい。

 厚生労働省の村木元局長に対する無罪判決が昨日9月10日に出された。郵便制度悪用に絡む虚偽有印公文書作成・同行使罪での起訴だった。検察が立証する事実がことごとく翻される裁判状況が報道される中、無罪判決が予想されたが、その通りになった。

 無罪判決を受けて笑顔で答える村上さんではあるが、その表情には逮捕から判決までの労苦がにじみ出ている。捜査段階から起訴を受けて保釈までの約5ヵ月の拘留があったという。厚生労働省局長の身分を突然奪われたのだから、その間の精神的・肉体的苦痛は想像を絶する。

 長妻厚生労働大臣は、ただちに、村上さんの名誉回復を行うべきである。

 本来なら、判決直後に村上さん受入れを表明すべきではないのか。検察の完全敗北である。部下を守るのは上司の義務である。早々に村上さんの厚生労働省への復帰、そして名誉回復が行われるべきである。

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