森本氏:政府は工事を進める意思を有す。
屋良氏:沖縄の基地をどうするかという実質論議がなされていない。あるのは日米同盟の基軸である基地の管理・維持の議論だけ。沖縄の民意を無視して推し進める現状について、基地問題の根底にあるのは差別だ。
日本の沖縄に対する差別は米国の認識でもある。1944年に米国が作成した民事ハンドブックの中に、日本本土の沖縄に対する構造的差別の中に、米国は軍を維持できると書いてある。構造的差別はその時代からずっと続いてるものだ。
神保氏:今後の裁判においても沖縄県の勝算はない。沖縄県は工事を長引かせることによって世論戦に持ち込もうとしている。
遠藤氏:沖縄の現状が日本国民に伝わっていない。沖縄の現状を知らされぬままに工事が強行されようとしている。日本の民主主義が問われている。
島田氏:屋良氏が指摘する差別の問題、日本政府は分かっているのか。
森本氏:差別というふうには考えていない。基地が集中しているのは事実、しかし、基地負担を減らすための策をとっているし、日米間でも協議している。
しかし、現在の日本の置かれている戦略的環境下において、基地が沖縄に置かれていることが、唯一の、最善の解決策である。国際的環境の中で避けることができないこと。差別ということで、沖縄を見てるということではない。
屋良氏:森本氏は防相時代に「軍事的には沖縄でなくても良いが、政治的に考えると、沖縄がつまり最適の地域である」と発言した。海兵隊は軍事的には沖縄でなくても抑止力が維持できる。その議論なくして、地理的要因だけで議論されるのは、誤りだ。
【参考】普天間基地の辺野古移設「軍事的には沖縄でなくても良い・・」の真意〜退任直前(12.25)の森本防相発言〜http://www.office-fukuchi.jp/article/14669018.html
島田氏:政治的押しつけであるとの指摘については
森本氏:日本の様々な地域について、普天間移設候補地として検討したが、軍事的にも、政治的にも、今の案がベストとなった。
(指摘つぶやき:森本氏も「軍事的には沖縄でなくても良い・・」発言を撤回。防衛省参与だかなんだか(正確には「防衛大臣政策参与」)の地位についたもんな?)
島田氏:沖繩と日本政府が裁判で辺野古問題を争うという現状、安全保障上はどうなのか。
遠藤氏:沖縄の民意を無視する政府の工事強硬は、沖縄の民意が政府から離れていく、という点で、安全保障上もマイナスだ。
神保氏:日米合意を進めることが必要。
島田氏:翁長知事は、仲井真前知事の埋立承認を取り消したが、これは沖縄の人たちのどこまでの総意なのか、という議論がありますが。
屋良氏:仲井真氏も選挙では「普天間の県外移設」を公約にしていた。それが、突然埋立承認してしまった。沖縄では衝撃が走りました。公約をひっくり返す政治の軽さ、信頼性のなさ、基地問題をよけいに混乱させてしまった。
(ここで島田氏は「地域政治の中でそういった転換があった」とちゃちを入れる。転換ではない。仲井真氏が沖縄を裏切ったのだ。この事実については屋良氏が説明する)
屋良氏:2008年以降、沖縄では、辺野古移設推進を(表立って)掲げた候補者が勝った選挙はない。ずっと、辺野古反対が世論です。したがって、仲井真前知事の承認をもって、地元も了解したじゃないかというのは曲解です。
島田氏:屋良氏の指摘の状況下で、翁長知事の取消しに対する日本政府の対応はこれでいいのか。
森本氏:もとを辿れば、普天間移設は沖縄県の要望であり、苦渋の決断とはいえ、名護市もこれを受け入れた。その後設計計画等が決まった。仲井真前知事の承認には一点の瑕疵もないと思っている。
遠藤氏:沖縄の民意は選挙を通して明らかになっている。県内移設は許さないという民意の中で、仲井真前知事が豹変した。その一点に政府は寄りかかっている。選挙で示された沖縄の民意を無視する政府のやり方は民主主義の否定だ。
島田氏:名護市を通さずに、直接地元辺野古・久志・豊原への財政支援を行うと政府が表明していることについて
屋良氏:この3区は行政区ではない。任意の自治組織、隣組と同じだ。任意の団体へ公金を渡すことになる。そうなると多くの問題が発生する。財政上の根拠は。金はどう使うのか。どう管理するのか。説明責任は誰が負うのか。地元3区への直接財政支援は、これまでの日本の財政システムのあり方を無視することになる。
国の施策への同意を得るために、公金をばらまく、しかも財政システムを無視して行うのは、日本の財政システムのモラルハザードにつながる。危険だ。
島田氏:政府としての検討は?
森本氏:名護市が反対し、交付金を受け取らないので。直接支援を行う。厳密にはこれは交付金ではありません。決まっていませんが、前向きに検討している。地方自治法も問題ない。私人でも防音工事などの支援は受け取れる。
(指摘つぶやき:なるほど、防音工事程度の支援か?)
島田氏:辺野古3区に法人格を取得してもらうということも検討しているのか。
森本氏:そうです。
島田氏:(辺野古3区への財政支援は)名護市の分断だとの指摘もあるが。
神保氏:名護市が交付金受取を拒否し、基地を受入れている地元への支援ができない。支援をしたいということでの策。
遠藤氏:分断だと見える。地方自治の崩壊にもつながる。辺野古だけの問題にとどまらない。危険だ。
屋良氏:辺野古強行は、かつて米軍が銃剣とブルドーザーで沖繩の土地を奪った同じ手法で、日本政府が埋立を強行しようとしている。そういう風にしか見えない。
森本氏:住民被害の手当をする。賛成者への生活支援、地域振興支援は地方自治法に沿う。辺野古3区への支援は防音工事支援と同じだ
島田氏:沖縄の基地負担軽減について
屋良氏:沖縄海兵隊の抑止力は創られた概念で具体性がない。その証左に 19000人の海兵隊員のうち9000人はグアム等に配置され。移動手段についても、沖縄にはなく佐世保の揚陸艦を使うしかない。海兵隊が沖縄にいなければならない必然性はない。
森本氏:米軍再編の中で、海兵隊を日本・沖縄・ハワイ・グアム等に配置して、抑止力を維持しようとしている。
遠藤氏:太平洋地域で海兵隊を分散配置して抑止力を維持するということであれば、沖縄へ海兵隊配置する必要性はますます低下する。海兵隊が直接抑止力になっているのではなくて、米国がこの地域に存在していることの象徴として海兵隊がある。具体的必要な抑止力は、むしろ、嘉手納基地。今沖縄県は嘉手納基地の問題をまったく提起していない。沖縄県民も提起していない。嘉手納基地を返せとは言っていない。ですから、沖縄県でも抑止力の維持はOKですよ。ただし、海兵隊はこの地域の抑止力には関係ないでしょ。ないのにこれが唯一の解決策として置き続けるのはおかしい。沖縄の声は日本政府の安全保障政策に反対しているのではなくて、実現の仕方がおかしいと言っていることを理解すべきだ。
(指摘つぶやき:遠藤氏の嘉手納基地に関する発言には事実誤認が多々ある。第三次嘉手納基地爆音差止訴訟の原告数は約2万2千人。これだけの地域住民が嘉手納基地からの基地被害に苦しんでいる状況をまったく理解していない暴論だ。そのことを指摘しておく。)
神保氏:海兵隊が抑止力にならない、というのは誤り。紛争が勃発し小規模から中規模へと拡大していく中で、陸海空部隊投入の前に海兵隊の役割は重要であり。重要な抑止力だ。
遠藤氏:海兵隊が抑止の最先端ではない。空軍支援があって初めて投入されるからだ。
屋良氏:海兵隊が現実に何をやっているのかという議論がないままに抑止力の議論が進むことには違和感がある。沖縄の海兵隊はアジア太平洋地域を巡回パトロールしている。年間のうち7ヶ月から9ヶ月沖縄にはいない。いない部隊を抑止力とは言わない。巡回しながら何をしているかというと、米国の存在を示すこと、同盟国との軍事演習を行っている。最近太平洋軍が注目しているのは人道支援活動。災害救援活動。近年は中国の人民解放軍とともに共同訓練を行っている。いったい何を抑止しているのかということです。
島田氏:佐賀空港へのオスプレイ訓練移転が中止された。これについて沖縄での受け止めは
屋良氏:差別そのものです。かつては北海道移転の話がありました。山口への移転の話も地元反対でだめになった。沖縄ではこれだけの反対があるのに強行される。差別以外の何ものでもない。
島田氏:反論は
森本氏:佐賀の件は、自衛隊のオスプレイ受入が主眼。したがって海兵隊のオスプレイについては今回は取り下げるということ。将来のことはわからない。
遠藤氏:屋良氏指摘に同意。差別と言われても仕方ない。
神保氏:訓練の分散地域をさがしていくことが大事。
島田氏:日米両政府であらためて議論すべきではないか、との視聴者からの指摘がありますが。
遠藤氏:この問題を日本全体の問題として考えることが大事。抑止力維持のためにはどうすべきか。常時駐留でない日米安保、海兵隊のあり方を模索すべき。
島田氏:日米両政府であらためて議論すべき、との指摘には。
神保氏:米国は沖縄の海兵隊について、中国の海洋進出等もあって、重要性を再定義しようとしている。沖縄の重要性は変わらない。
屋良氏:海兵隊は全世界を網羅する部隊。沖縄にいなければならない必然性はない。
島田氏:日米両政府であらためて議論すべき、との指摘には。
森本氏:議論はすでに終わった。あとは実行あるのみ。議論すべきはこれからどうするのか、ということだ。これからどうするかというのは、わずかしかない日本の基地や米国の基地を、英国のように相互に乗り入れたり使用したり、日米防衛協力を進める。場合によっては他の国の軍隊が入ってきた場合にどうやって受け入れるか。基地のあり方を議論することはこれからやろうとしていますが、日米間で合意したことは、予定通り実行する。これを元に戻すことは日米間にはありません。
島田氏:両政府間には(辺野古問題の再協議は)ないということかもしれませんが、国民がそれを良しとするかどうかの議論はこれからも続く。
屋良氏:南沙諸島問題は、沖縄の辺野古問題とからめて議論すべきではない。
(私的つぶやき:この主張には全体として反論はない。辺野古が作られないと中国が攻めてくるなどという議論は正しくないようだ。)