「辺野古問題」を聞く
−承認手続きに法的瑕疵があったとする第三者委員会の報告書をどうみるか。
「一つ一つがもっともだなと思っている。法律論からすると取り消しが可能になる。ある意味で合法的に(取り消しを)やれる」
−国は新基地建設を進める考えを変えていない。
「日本がどう変わってしまうのか、大変危機感をも持っている。踏ん張るところはしっかり踏ん張らないといけない。日常が非日常に代わるのは紙一重だ。(新基地建設で)非日常に変わってしまえば、もう二度と日常には戻れない。辺野古新基地への政府の態度も安全保障関連法案の国会審議も非日常に変えてしまうとの危機感がある」
「辺野古新基地建設には10年間はかかる。安倍政権は10年も15年も持つものではなく、その間に衆参の選挙もある。長年政治の世界に漬かってきた人間からするとそう簡単にできるものではないと感じる。10年間、おじいちゃん、おばあちゃんたちが反対して集まっている中を、毎日何百台の10㌧ダンプがに走ることなど想像できない」
−今後も政府は厳しい態度で臨んでくることが予想される。
「私は基地はできないと思っている。だが、仮にできたとしても日本が失うものは大変大きい。強行することで世界から野蛮人と見られる。そんな中、自由と平等と人権と民主主義を共通して持っている国同士、一緒になって中国と対峙しましょうと言ってもアジアの人は誰も信用しない」
「中国がやっていることはとても認められないが、認めないことが戦争につながってはいけない。戦争で解決しようとすることをやめ、そして辺野古新基地建設を止めることで、日本が民主主義国家としてもう一歩前に進んでもらいたい」
−だが実際、菅義偉官房長官は事前協議書の取り下げ要求を拒否した。
「今の政府のやり方を容認する国民にも私はもの申したい。沖縄さん、国はもう埋め立てるんだから頑張ったってしょうがないですよ。そんな考えは建設を容認して指をくわえて見ておきなさいと言っているようなものだ。沖縄以外の都道府県で日米両政府という権力と戦ってきたところはありますか。ないでしょう。こんなにも長く戦ってきた沖縄県に対して、お前ら勝てるのか?という視点で見るから政治は何も変わらない。堕落の政治だ」
「(新基地建設問題は)みんな機関銃を持って戦うのではなく合法的にやっている。あらゆる手段を使っていいというのなら全ての手段を使うがそういう訳にはいかない。だから私たちは整然と自分たちの言葉で理不尽さを説いている。その状況で、合法的に全部押し込んでくる政府と対峙する難しさがある一方、『どうやったら勝てるのか』と第三者的に言う人もいる。大変不本意だ」
−(7月29日に都内で開かれた)シンポでは新基地建設の強行は日米安保体制の危機につながるとも語った。
「今の世界情勢を見れば確かに中国は脅威ではあるが、冷戦構造時代と比べれば大変穏やかな時代だ。だが、日本政府は平和外交ではなくいわゆる軍事力で対抗していっている。日米安保を維持するためにも米国としっかりとした盟友関係、対等な形でやってほしい。辺野古問題を通じて見えてくる日本の国の姿に国民が気づかなければならない」