6月5日に掲載した嘉手納基地の騒音被害の実態(2)に続くシリーズである。今回は、深夜・早朝(22時〜6時)騒音発生回数の年度毎の推移を示したい。基本資料は同じく嘉手納町役場基地渉外課騒音測定資料である。

2 年度別深夜・早朝(22時〜6時)騒音回数の推移

(1)嘉手納地域

種別 /年度 H8 H10  H15  H18  H19  H20  H21 
年間発生回数  1,120 1,065 1,745 1,813 2,194 4,231 4,992
1日平均発生回数 3 3 5 6 12  14
計測日数  358  361  354  355  358  356  359 

(2)屋良地域(滑走路進入路地域/道の駅かでながあるところ)

種別 /年度          H11  H15  H18  H19  H20  H21 
合計発生回数    2,750 3,376 3,912 2,801 3,271 3,250
1日平均発生回数   10 10  11
計測日数   270  355  356  357  357  353 

(3)兼久地域(西海岸埋立地域/国道58号線沿)

種別 /年度 H9 H10  H15  H18  H19  H20  H21
合計発生回数  921 1,194 1,072 935 601 614 677
1日平均発生回数 3 3 2 2 2 2
計測日数  342  360  351  354  356  363  356 

  昼間の爆音ではなく、夜間(午後10時から翌朝午前6時)までの騒音発生状況である。嘉手納町に住んでいる私自信、こんなに酷い状況になあるとは思わなかった。特に、平成20,21年度の夜間爆音発生状況は異常である。屋良地域(滑走路進入路地域)よりも嘉手納地域の爆音数が上回っているのはエンジン調整音であろうと考えられる。スクランブル(緊急発進)でもないのに、何のために夜中にエンジン調整を行うのだろうか。しかもエンジン調整を行う場所は、嘉手納住民地域のすぐ傍にあるエリアで実施される。植民地支配意識丸出しであると言われても、米国は反論のしようがないのではないか。米本国では絶対に許されないはずである。

 沖縄の基地負担軽減は喫緊の課題であり、菅新内閣には率先して取り組んでもらいたい。

 6月6日(日)の琉球新報に興味深い記事が掲載された。琉球新報が実施した衆参両院の国会議員に対して行った普天間飛行場の返還問題に関するアンケートである。賛否両論の結果が出ているが、私の目を引いたのはアンケート結果ではなく、このアンケートに回答を寄せた数である。同紙の記事を引用する。

 「調査は、5月20日ごろにアンケート用紙を東京・永田町の各議員会館事務所に届け、衆参の全国会議員の11%に当たる78人が同月末までにファクスで回答した。」(詳細はこちらをクリック)

 驚きの数字である。国家議員の10人に1人しか回答していないのである。回答しなかった理由には様々あるだろうが、この数字は普天間問題への関心の薄さを示している。

 沖縄の各首長がそれぞれの立場で、全国の地方公共団体の首長や議会議長に問題提起をし、議論の必要性を訴えているのに、国会議員の関心度がこれほど低いのは看過してはならない。

 政治と金の問題での集中審議が必要だとの声が聞かれるが、沖縄の基地問題に関する集中審議の方がよっぽど必要のようだ。

 菅総理は、今、沖縄の歴史に関する本を読み始めたと語った。アンケートに現れた無関心度を加味して考えると、総理になって初めて沖縄問題に関心を持ち、勉強を始めたとも受け取れる。

 沖縄がなすべきことは沖縄の声を発信し続けることであるが、そのあて先として国権の最高機関の構成者である国会議員に向けることが必要のようだ。

 5月19日に掲載した嘉手納基地の騒音被害の実態(平成22年4月沖縄防衛局測定資料から)では、爆音被害の現状について示したが、今回は、年度毎の推移を示したい。基本資料は嘉手納町役場基地渉外課騒音測定資料である。

1 航空機騒音発生回数の推移

(1)嘉手納地域

種別 /年度 H5 H10  H15  H18  H19  H20  H21 
年間発生回数  19,069 20,393 23,463 21,315 18,786 23,074 25,170 
1日平均発生回数 55 56 66  60 53  65  70 
年平均WECPNL  76.3 75.7  77.5  77.8  76.4  77.5  78.3 
年間最高値(dB)  107  101.9  101.7  102.9  103.3  100.7  101.5 

(2)屋良地域(滑走路進入路地域/道の駅かでながあるところ)

種別 /年度   H12  H15  H18  H19  H20  H21 
年間発生回数    34,153 41,425 38,731 32,549 39,357 39,785
1日平均発生回数   98  116  109  91  110  113 
年平均WECPNL    81.2  83.8  84.4  81.4  82.3  83.1 
年間最高値(dB)    104.9  107.4  107.0  105.7  106.7  108.0 

(3)兼久地域(西海岸埋立地域/国道58号線沿)

種別 /年度   H10  H15  H18  H19  H20  H21 
年間発生回数    16,794 19,595 18,204 16,779 16,605 17,484 
1日平均発生回数   47  56  51  47  46  49 
年平均WECPNL    73.8  75.1  75.2  73.4  73.1  74.2 
年間最高値(dB)    101.0  101.0  101.3  102.5  99.9  102.5 

  過去10年間の騒音に関する資料である。嘉手納町では町内のどこにいても、嘉手納基地の爆音被害に晒されている。表に示されているとおりである。

 WECPNLは国の定める航空機騒音に係る環境基準(詳細はこちらをクリック)である。専ら住居の用に供される地域では70以下、住居以外の地域であつて通常の生活を保全する必要がある地域では75以下となるように規定されている。

 嘉手納町はすべてが住居用地域であり、国の環境基準を満たしている地域はない。それどころか屋良地域にあっては、年平均WECPNLが80を超えており、しかも、年間騒音最高値(dB)は、兼久地域平成20年度を除いて、100dBを越えている。国の騒音に係る環境基準(詳細はこちらをクリック)では主として住居の用に供される地域では昼間55dB以下、相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域でも昼間60dB以下とされている。健康被害等の発生も懸念される状況になっている。

騒音レベル(詳細はここをクリック)

100dB:列車が通過する時の高架下地下鉄車内、電車の駅 

80dB(会話困難) :交差点、マーケット、国道

 沖縄の民意が、何故あらたな基地建設を許さないのか、この状況を見ていただければ理解できるのでないだろか。 

 鳩山首相辞任後の首相に菅氏が就任した。市民運動出身者でもある菅氏の登場に若干の期待もしたが、普天間問題については先の日米共同声明を踏襲すると明言した。失望させられた。

 今回の交代劇が7月の参議院選挙対策であることは、誰がみても明らかだ。普天間問題に関して、辺野古現行案への回帰により、日本本土への基地移転の途が閉ざされたことに、有権者が安堵しているとすれば(基地被害が沖縄、徳之島以外には及ばないことに安堵するということ)、党首交代は成功し、民主党が勝利することもあるだろう。

 確かに、菅氏も沖縄の基地負担軽減に取り組むと述べ、日米共同声明にもその旨は記載され、米国首脳もその旨を発言している。しかし、それは辺野古現行案の受入れが前提である。

 嘉手納基地の外来機による演習は激化し、基地負担の軽減どころではない。米国のスタンスは軍の十分な演習等が満たされた後に、基地負担の軽減を考えるところにあるのだ。日米共同声明の内容も、米国が気が向けば基地負担軽減に取り組むとしかなっていない。

 いったい誰が、どこが政権を取れば沖縄の基地負担軽減を実現できるのか。

 鳩山首相辞任後に、翁長那覇市長がコメントしている。

 「首相が辞めても、日米共同声明が残されている。」

 「今後も沖縄から県内移設の反対の声を上げ続けなければならない。」

 その通りであると思う。決して引いてはならないのだ。

 昨日の鳩山首相の突然の辞任表明。しかも、小沢幹事長を道連れにである。幹事長自らが辞任表明したわけではない。任命権者である党の代表が辞任を促し了承を得たというが、内実は解任である。福島大臣の罷免に続いてである。

 昨日夜の記者会見で、鳩山首相は辞任の腹をかためた時期については、1週間から10日前と述べている。普天間飛行場を辺野古に移設すると日米共同声明が発表されたのが、5月28日。日米共同声明が発表される以前に鳩山首相の辞任が決まっていたのである。

 最低でも県外との公約を反故にした挙句に辺野古移設の共同声明発表直後の辞任劇。

 普天間問題の責任を取って辞任というならば、決着前に辞任し、後任にその解決を委ねるべきではないのか。

 無責任極まりないとしか言いようがない。

 罷免された福島党首は言葉に責任を持つ政治を実現したいと述べていたが、今に至っては行動にも責任を持つ政治の実現が求められる。

  普天間問題については、多くの識者・論者が論評し、様々なシンポジウムも開催され議論されている。それらを見ていると、鳩山首相が辺野古現行案回帰の理由とした沖縄の海兵隊の抑止論は完全に否定されている。抑止力そのものの否定はもちろん、抑止力を肯定する論者からも、必ずしも沖縄に配備すべき必然性はないと指摘されている。
 それでは、何故、辺野古なのか。
 辺野古回帰を決断した鳩山首相に対しては、支持率低下による辞任の憶測も飛び交う現状であるが、功績も指摘されている。それは、沖縄が基地の移転ではなく基地の撤去、閉鎖を求めていることを全国に認知させたことだという。ある記事では「沖縄には基地が必要で、基地がなければ沖縄も食っていけない、と(日本)国民が思いこまされている。」と指摘し、また「(沖縄の基地が)あまりにも長期間、制度化されたため、人々は今までどおりにするのが自然だと思い込んでしまっている。」との指摘もある。
 あらためて、何故、辺野古なのか。
 その方が、日米両政府にとって都合がいいから、である。
 沖縄の基地問題の根本的解決には、日本政府、日本国民の抱く米国神話からの脱却が必要であるが、これには時間がかかる。
 それでは、今、沖縄はどうすべきか、である。
 沖縄にはこれ以上の基地は不要であること。その意思を全国民に発信し続けることである。
 同時に、米国あてにも発信する必要がありそうだ。どうもこの問題、米国政府には沖縄の意思が伝わっていないようである。沖縄の現状がどれほど、オバマ政権中枢まで伝わっているのか疑問なのである。
 鳩山首相来沖で、沖縄が荒れていた日に、辺野古では組運動会が開催され、海兵隊と楽しむ住民の姿が報道された。その報道を根拠に辺野古反対派は一部ですよと報告されれば、真に受けてしまうかもしれない。
 沖縄の進む道は、あきらめずに前に進むことである。そのたえめには1人1人ができる範囲のことを、できる限り実践することに尽きる。あきらめてはいけない。私はそう思う。

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