4月12日付け沖縄タイムスに、普天間問題に関するラムズフェルド前米国防長官のインタビュー(詳録)が掲載された。ラムズフェルド氏といえば、普天間飛行場移設問題の交渉当事者である。インタビューの要旨は①この問題は日本政府の責任において解決すべきものであり、沖縄県と日本政府の問題である②沖縄の一般の人々と米軍の関係は良好であったが、政治家が集票のために米軍に関する問題を提起したことにより関係がこじれたの2点にまとめることができる。氏のインタビューから何が見えてくるのか。検討が必要だ。(続く)

 以下、インタビューの内容(抜粋)を紹介する。

【15年前に普天間問題等を手掛けたことについての質問の中で】

 「・・2005年、米軍再編について日米協議があり、・・その際、沖縄の政治家が抱いている懸案事項についても配慮していた。私自身は、沖縄の一般の人々と米軍の関係は良好だと感じていた。でも、政治家は米軍について頻繁に問題提起する」

 「米国政府は、沖縄県と日本政府との板挟みになりたくなかった。諸問題の検討は日本政府と沖縄県の間で行われるものであって、合意は内容通りに日本政府が遂行するものだと認識していた」

【合意の狙いは】

  「・・沖縄にとっての案件は三つ。普天間基地の返還と南部にある施設を最大限返還すること、在沖海兵隊を削減すること、そして、これらが日米安全保障条約を損なうことなく行われることだった。・・海兵隊兵力1万8000人を1万人に削減しても米軍の抑止力は損なわれないことを日米両政府は確認した」

【返還が実現しないままだ長い時間が過ぎた】

 「・・仮に何か問題があるとしても、沖縄県と米国政府の問題ではなく、沖縄県と日本政府の問題だ」

【2003年の沖縄訪問の際、海外への移設を考えたことは】

 「・・国外移設について当時どのような考えがあったのかということについては、推察することさえはばかられると思っている」

【当時、国外移設は提案すらなかったということか】

 「そうだ。なかった。」

【日本本土への移設はどうか】

 「そういう流れについては話せない。・・ただ、沖縄については長い時間を費やし、細かい配慮の行き渡った合意をなしえたと思っている。合意以外の内容については、私にではなく別の人に聞くべきだ。」

【質問は日本政府に向けるべきということか】

 「そうだ。これは日本政府と沖縄の問題だ。米国政府は沖縄県と協議の場を持つことはできない。沖縄県が話すべき相手は日本政府だ」

【日本政府が沖縄の声を代弁すべきだと思うか】

 「米国政府は日本政府に指示をする立場にない。日本政府がすべきことは日本政府が決めるべきだ・・」

【2003年の沖縄訪問の際、当時の稲嶺知事から県民の負担軽減を求められ時どう思ったか】

 「あの時は、先方から会談を要請してきた。彼は日本政府の代表ではないし、私もそもそも交渉しようというつもりはなかった。表敬の目的で面談に応じた。・・・」

【沖縄滞在中、空から辺野古沖も視察した。意見は】

 「日本の政治に干渉するつもりはない。これは沖縄県と日本政府との問題。彼らの間で問題を解決すべき、・・・」

【あなたは著書で、「米軍は、・・望まれていない所に置くべきでない」と指摘し、例として「沖縄では摩擦がある」とあげている】

 「沖縄住民との摩擦ではない。住民は米軍を親切に受入れ、米軍の駐留による経済的なメリットを得ていることは確かだ。・・政治家はトラブルを見つけ出しては物事をあおろうとする。・・票集めになるような問題を探して回る。私が知る得る限り、沖縄県民は米軍に対して親切だった」

 4月10日付け琉球新報に、佐藤優氏の特別評論「メア氏国務省退職」が掲載された。私が気になったのは「メア発言に対する防衛官僚の反応について、月刊誌『エルネオス』4月号に興味深い記事が掲載されていた」のくだりである。以下は同誌掲載内容として紹介されている。

 ・・当初、防衛省内では多くの官僚が『メア発言は真実だ』と喝采を叫んでいた。『沖縄県庁も普天間移設先の名護市も、こちら(防衛省)が移設の条件を提示すると拒否し、ではそちらから条件を出してほしいと依頼して出してきた条件をこちらが検討して、それを受託する旨通知すると、さらに追加条件を出してくる。メアが言ったことは本当ですよ」と苦々しく語るのは、沖縄防衛局で米軍基地対策や連絡調整業務にあたった現役官僚・・ 

 佐藤氏はメア氏発言について、「『メアが言ったことは本当ですよ』というよりも、防衛官僚の説明をメア氏がうのみにしたというのが真実と筆者は見ている。」と指摘している。この指摘は重要である。鳩山氏の「抑止力発言」にも通じることろがある。鳩山氏は「防衛省も外務省も沖縄の米軍基地に対する存在の当然視があり、数十年の彼らの発想の中で、かなり凝り固まっている。」と発言した。

 普天間飛行場移設問題をはじめとする沖縄の基地負担軽減問題の解決には、日本政府の側の意識が変わらなければならない。米国の言う「普天間問題は日本の国内問題である」との指摘は、その意味において正しい。日本政府の意識を変えるにはどうすればいいのか。沖縄が、喫緊に、自ら、解決しなければならない課題である。

 4月10日付け琉球新報に、メア氏が講義をした大学生の指導教官デービッド・バインアメリカ大准教授が寄せた論考要旨が掲載された。以下その内容をまとめてみた。

 私は、基地被害を学ぶ学生グループの学部指導教官で、昨年12月の沖縄ツアーを前にケビン・メア氏の講義を企画した。この講義の内容が明らかになって以降、メア氏と国務省関係者は・・メモの正確性に疑問を投げ掛けてきた・・。私のメモと照らし合わせてみても(「ゆすり」など)メア氏特有の言葉を含め、学生のメモの正確性や内容を証明できる。
 メア氏の沖縄や日本に対するステレオタイプを恥ずかしく思う。・・下記に彼の発言を紹介するが、これらはすべて事実だ。・・メア氏やその他国務省関係者が講義をオフレコとしたことは、講義前も最中もその後も一切ない。
 ・・沖縄の反基地運動について議論している間、彼は県民のことを「東京からお金をゆする名人だ」と確かに言った。そして、日本全体を「ゆすりの文化だ・・・[特に]沖縄人はその名人である・・・彼らは東京にゆすりをかけて経済発展してきた」と続けた。ほかにも県民を「怠け者」と説明した。アルコール中毒や泡盛が原因となり離婚率や飲酒運転、家庭内暴力が高いとし「この島の知性が分かるだろう」と述べた。・・また、「政治的には正しくないが、ある沖縄の男性が私に言ったように、沖縄は日本プエルトリコである」とも述べた。1898年に米領となり長い間米国人に差別されてきた島に言及しながら、沖縄人はプエルトリコ人のように「浅黒い肌で」「背が低く」「なまっている」と言った。
 ・・メア氏のような米交渉者らは、・・大きな貢献をするよ日本政府に強要してきた。最近では、在沖海兵隊のグアム移転では日本は60・9億ドルを支払うことになっている。「われわれは良い取引をした。何も経済的負担をしなくていい」とメア氏は言った。
 彼の不快な発言を一米市民として謝るが、このような見解が公になったことを歓迎している。・・この問題を機に日米が長い間基本としてきた沖縄の基地政策が研究され、基地と隣り合わせで生活する沖縄県民の言葉に真剣な関心が集まることを願う。 

 バイン氏の指摘する「沖縄県民の言葉に真剣な関心が集まる」ためには、更に沖縄の声をあげ続ることが必要だ。沖縄の基地政策を決定する重要ポストに位置した人間の認識がこの程度であった、ということだ。基地負担軽減の実現のためには更なる努力をしなければならないようだ。

 今年1月に沖縄市内で起きた交通死亡事故で、自動車運転過失致死罪で送検された在沖米空軍軍属の男性(23)が、日米地位協定に基づく「公務中」を理由に不起訴となった問題で、亡くなった男性の遺族が、不起訴を不服として那覇検察審査会に審査申し立てをすることが5日、分かった。早ければ今月中にも申し立てる。関係者によると、米軍関係者の不起訴処分に対して審査申し立てをするのは県内では初めてという。(詳細はこちら沖縄タイムスHM)
 同様な事故での検察審査会への申し立ては岩国検察審査会にあったが、今年3月19日に同審査会は「心情的には・・・納得できないが、・・・通勤途中の事故であると認められ、・・・検察官の裁定を覆すに足りる証拠はない」として、「不起訴処分は相当である」と議決している。(詳細はこちら山口新聞HM)

 検察審査会は「犯罪の被害にあった人や犯罪を告訴・告発した人から申立てがあったときに審査を始めます。申立てがなくても,新聞記事などをきっかけに審査を始めることもあります。」(最高裁HM)と説明されている。審査員は検察庁から取り寄せた事件の記録などを精査して検察官の判断の是非を審査する。法律上の問題点等については,審査補助員(弁護士)の助言を求めることもできるとされている。

 今回の手続きは那覇検察審査会で行われると思われるが、日米地位協定改正という大きな政治的課題がある環境下での判断となる。審査の行方を注視したい。

 東日本大震災による福島第1原発事故に関して、連日、テレビ、新聞、ネットで報道がなされているが若干の違和感を覚える。放射能の拡散に関する報道である。

 特に人体に影響はないとの専門家の認識が報道されているが、その中で、「1万人あるいは10万人に一人の割合で人体への影響が発症する恐れがある程度で、時に問題はない。」との表現が気なる。これまでの基準値は極めて厳しく設定されたもので、現段階の放射能数値は問題ないとしている。

 1万人に一人といえば、沖縄の人口130万人に対して130人ということになる。10万人に一人としても13人である。この人数にがん等の疾病が発症する可能性があるとすれば、決して看過できない数字ではないのか。

 特にテレビでのコメントでこのような発言が多くみられるようだが、ある程度ではなく、これだけの危険性があると指摘すべきではないのか。

 放射線測定機の緊急アラームが鳴り響く中で放水作業をしている消防・自衛隊職員の映像が流れる中で、特に心配はないとコメントする専門家の発言にも強い違和感を覚える。

 原発開発自体の相当性が、少なくとも福島原発を維持するのか否かの判断がなされるべき事態に陥っているのではないのか。そう思うのだが。

 昨日、11日午後はラジオで国会中継を聴いていた。午後3時を過ぎたころだろうか、突然番組が切り替わり、緊急地震速報が伝えられた。大きな地震が来る恐れがあります、という内容だったかと思う。ところが次の瞬間、放送しているNHKのスタジオ自体が地震に襲われた。周辺からは大きな揺れに驚いた悲鳴にも似た声が拡がる。何か倒れる音などスタジオがパニックになっているのが分かる。しかしさすがにアナウンサーの声は冷静に情報を伝えている。しかし、揺れがかなり大きくなってきた様子で、アナウンサーの声がうわずってくる。これはただごとじゃない。

 津波警報が、ここ沖縄にも出された。私の住んでいる嘉手納町の水釜は海岸線地域。避難指示が出された。昨年の地震(平成22年2月27日(土曜日) を思い出した。翌日のはチリでの地震による津波警報(平成22年2月28日(日曜日)が出され、この時にも水釜地域は非難することになった。

 ネットで地震状況を見て、また驚いた。自宅でのTV映像、今日の新聞、そして報道をみるととても考えられない、想像を絶する被害に、ただ驚くばかり。被災者のみなさんへの支援をしなければならないと思う。

 「メア氏、更迭。」沖縄蔑視発言を開陳したメア氏に対する米国の対応は極めて早く、メア氏を更迭すると同時に、米国政府は公式に謝罪した。日本政府のみならず、駐日大使が仲井真知事に直接謝罪した。

 更迭の意味を辞書で確認すると「ある地位・役目にある人を他の人と代えること。」とある。つまり、更迭には免職と降格など意味はない。あくまで人事権を有するものによる交代である。

 事実、仲井真氏に謝罪したルース駐日大使は会見の中で、(メア氏の人事は決まっているのか。それは降格に値するのか。との記者の質問に対し) 「国務省の決定なのでここでは話すことはできない」と述べている。現段階における、米国政府のメア氏に対する対応は不明である。

 ルース大使との会談に際に、仲井真知事が、文書で今回の発言について「米国政府の責任において事実関係を解明し公表するとともに、米国政府として適切な対応を行うよう強く求め」たのは心強い。 単に、メア氏の更迭でこの事件の幕引きを行わせてはならない。

 メア氏発言と鳩山氏の方便発言には共通項がある。それは、日米両政府の閣僚や官僚の意識の中にある沖縄観だ。

 メア氏発言の沖縄蔑視部分は置いておくとして、その根底には沖縄には基地があって当然であり、基地が無ければ沖縄の経済自体が成り立たない。基地に反対するなどとんでもないことだ、との意識が丸出しだ。基地の恩恵を受けておいて何が反対だと。

 鳩山氏の方便発言にみる、政府閣僚・官僚の意識も同じだ。鳩山氏の県外移設案が一笑に付されたというのは、正にこのことを意味する。鳩山氏は「防衛省も外務省も沖縄の米軍基地に対する存在の当然視があり、数十年の彼らの発想の中で、かなり凝り固まっている。」と発言した。

 鳩山前首相以降、来沖する政府首脳のあいさつは、ことごとく沖縄への謝罪の言葉から始まる。また、今回のメア氏発言についても米国政府の正式な謝罪がなされると報じられている。しかし、いずれの謝罪も沖縄の求める普天間飛行場の辺野古移設を実現するための手段でしかない。

 このような中、今月、3月28日には第3次嘉手納基地爆音訴訟が提訴される。報道によれば普天間基地爆音訴訟の準備も進んでいると聞く。宜野湾市の安里市長も、国提訴へ向けて準備を進めていた伊波前市長の姿勢を踏襲する考えを示している。

 沖縄の求める普天間飛行場の県外移設の実現に向けて、決して引くことなく、様々な方面から更に沖縄の声を発信していく必要がある。

 メア氏の発言について、枝野官房長官は「(発言内容を)確認する必要はない」とし、深入りしない姿勢を示した。しかし、本当にそれでいいのか、と問いたい。同氏は在日米大使館安全保障部長、駐福岡米領事などを経て駐沖縄米総領事。そして現在は国防省の日本部長である。同氏の発言は米政府の沖縄の見方を吐露してものであり、日本政府は正式に申しれをすべきである。毅然として、抗議し、メア氏の発言の真意を確認すべきである。

 沖縄県議会でも、クリントン長官とルース駐日大使らへの強い抗議と、メア氏本人に発言の撤回と謝罪を要求する決議を全会一致で可決し、那覇市議会では発言の撤回や謝罪、辞任を求める抗議決議を全会一致で可決した琉球新報報道はこちら)。

 このような沖縄の怒りの状況を受けてもなお、日本政府はだんまりを決め込むつもりなのか。日本政府は毅然として、抗議し、メア氏の真意を確認すべきである。

 昨日新聞報道された、メア氏の沖縄蔑視発言(当HM記事:メア氏(2006〜2009駐沖縄米総領事)の発言にみる、米国の沖縄蔑視!)は大きな波紋を呼んでいる。当然のことだ。

 メア氏は「発言録は正確でも完全でもない。」としているが、当の発言録を作成した学生たちは次のように発言している。(3月7日琉球新報より抜粋)

 「メア氏は間違いなくこのように言った」

 「米政府の地位ある人物の偏見に満ちた言葉にとても驚いた。」

 「人種差別発言と感じた。」

 この学生たちの発言にメア氏はどのように反論するのだろうか。メア氏の発言からは米国政府の沖縄基地政策がどのような基本姿勢から生み出されているのかが透けて見えてくる。昼夜を問わない飛行場の運用や米軍優先の日米地位協定など、沖縄を差別しているのではないかとの印象を多くの人が抱いていたのが、メア氏の発言で裏付けられた形だ。

 これにどう対抗していくのか、沖縄の大きな課題だ。

 今回公になったのは、メア米国務省日本部長が昨年末に米大学生らに国務省内で行った講義の内容だ。メア氏は「学生たちにはオフレコで講義を行った。」としているが、講義を受けた学生らがメモをもとに作成した「発言録(A4版3頁)」でその内容が明らかになったという。以下は沖縄タイムス3月7日新聞「メア氏発言要旨」からの抜粋である。

 ・・・私は(普天間飛行場移設について)現行案が実施されると確信している。日本政府は沖縄の知事に対して「もしお金が欲しいならサインしろ」と言う必要がある。・・・日本人は合意文化をゆすりの手段に使う。合意を追い求めるふりをし、できるだけ多くの金を得ようとする。沖縄の人は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人だ。・・・私が沖縄にいたとき、「普天間飛行場は特別に危険ではない」と言ったところ、沖縄の人は私のオフィスの前で抗議をした。沖縄の人はいつも普天間飛行場は世界で最も危険な基地だと言うが、彼らは、それが本当でないと知っている。(住宅地に近い)福岡空港や伊丹空港だって同じように危険だ。・・・沖縄の政治家は日本政府との交渉では合意しても沖縄に帰ると合意していないという。日本文化はあまりにも本年と建前を重視するので、駐日米国大使や担当者は真実を言うことによって批判され続けている。

 沖縄蔑視も甚だしい発言だ。メア氏は発言録の内容は正確でも完全でもないと話しているようだが、これだけ沖縄を侮辱した発言はない。

 このような認識が、米国の沖縄に対する見方であるとすれば、普天間飛行場移設問題をはじめとする沖縄の基地問題の解決に向けた今後の沖縄の取組にはその本気度が求められる。

    新聞報道 沖縄タイムス  琉球新報

 米軍普天間飛行場の辺野古への移設は無謀であるとの論文を、知日派として知られるジェラルド・カーティス米コロンビア大学教授が発表したと報じれました。論文の中で、同教授は、

 「沖縄に米軍基地が多すぎるのは否定できない事実だ。県民が辺野古移設を受け入れる可能性は極めて低い。新基地を建設するのではなく、米国は強制される前に迅速に沖縄の軍事プレゼンスを削減すべき」

と、主張しているとのこと。

 多くの人に読んでもらいたい記事です。  琉球新報

 内閣支持率の低下、党内求心力の低下等から菅総理の退陣若しくは解散総選挙かと、連日報道される中、沖縄県の仲井真知事は県議会2月定例会一般質問において、知事の掲げる普天間飛行場の県外移設方針について、次のように述べた。(琉球新報抜粋)

 「政権が代わったとしても公約は変わらない。(4年間、県外移設)実現に向けてしっかりやる」

 総選挙により政権が代わったとしても、知事の公約である普天間飛行場の県外移設は不変であると明言したのである。これだけ、県の姿勢で明確なのだから、変わるべきは政府の姿勢である。

 知事選に出馬した伊波洋一前宜野湾市長の後を受けて、市長に就任した安里猛宜野湾市長は、2011年施政方針説明の会見で、普天間飛行場の危険性を放置しているとして、国提訴へ向けて準備を進めていた伊波前市長の姿勢を踏襲する考えを示した、と報道されている。

 普天間基地爆音差止訴訟原告団も第2次訴訟の提訴に向けて準備を進めているという。

 政府の姿勢を変えるためには、今後も沖縄の民意を発信するとともに、告発していく姿勢を、沖縄が堅持し続けていくことが重要だ。

 岡本元首相補佐官の昨日(22日)の衆議院予算委員会の公聴会での発言は明快である。当時の民主党代表の鳩山氏が普天間飛行場の移設先について、「国外、最低でも県外」と発言して総理になった。当然に沖縄は民主党政権に期待した。このような沖縄の民意の中で、それでも辺野古移設を唱えることは沖縄への裏切りとなり、政治家として取るべき方途ではない。民主党政権誕生後の沖縄の動き観れば、(岡本氏の言葉を借りれば)辺野古移設は無理となったことは明らかである。

 普天間飛行場移設問題については、自民党をはじめ多くの政党が、未だに辺野古移設を当然視しているように見える。沖縄の民意に耳を向け、本当の意味での沖縄の基地負担の軽減策を考えてもらいたいと思う。

 昨日の衆議院予算委員会の公聴会で、元首相補佐官の岡本氏は、普天間飛行場の辺野古移設問題について、次のように述べた。(youtube11/02/22 予算委員会公聴会①(公述人質疑) より掲載)

 「日米合意に基づいた辺野古移設を強硬しようとすれば、沖縄県内において不測の事態を招きかねない。例え長期間にわたってでも、沖縄の海兵隊全体(たんに普天間基地だけでなく)をコンパクトな形にして、本土に移設するというエレメント(要素)が含まれていない解決策は成り立たないと思っている。日米合意が実現する可能性がますますなくなっている現在、普天間の継続使用が結果として起らざるを得ないわけであり、これもいつまで続くのか、薄氷を踏む思いでの時間との闘いであります。この点については政府が米国と話し合って、日本のこの問題に対する基本姿勢を再検討することが必要であると思っています。」

 「辺野古は無理だということではなく、無理になった。14年かけて実現可能であったが、国のトップが県外と言ったのだから、沖縄の政治家がそれでも辺野古と言えば、県民への裏切りとなる。そのため沖縄全体が県外となったのだから、辺野古移設は無理だと言った次第です。」

 これを受けて、民主党政権だけでなく、他の政党、官僚は、この問題をどう考えるのか。

 あらてめて問いたい。

 昨日(19日)の琉球新報の報道である。

 政府は18日、日米地位協定について「2009年9月の政権発足以降、日米間で改定交渉は行っていない」とする答弁書を閣議決定した。・・照屋寛徳・・議員の質問主意書への答弁。

 驚きである。一昨年9月の民主党政権発足時の民主党、社民党、国民新党の合意は「沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」として、沖縄の基地問題解決に向けて決意が示された。そして11月7日には沖縄県読谷村で米兵によるひき逃げ死亡事件発生し、同事件に抗議する読谷村総決起大会が12月13日に開催され、約1500人が集まった。集会では容疑者の身柄引き渡しや日米地位協定の見直しを求める抗議文が決議された。

 民主党・沖縄ビジョン(2008)詳細はこちらをクリック) では、在日米軍協定の見直しが掲げられている。だからこそ、鳩山前首相の「最低でも県外発言」とも相まって民主党政権が誕生したのである。

 ここへきて、鳩山前首相の「抑止力は方便」発言により、普天間の国外・県外移設に向けた取り組みが政府として行われなかったことが明白となったが、それに加えて、日米地位協定の改定交渉が行われてこなかったことも明らかになったのである。信じ難い事実である。沖縄の民意が日米地位協定の改定について、常に声を上げ続けてきたにもかかわらず、政府では改定のテーブルにさえ着いていなかった。ことの真相は国会審議で明らかになると思うが、信じ難い事実である。

 今年1月9,10日の両日に来沖した民主党の岡田幹事長は単独インタビュー(HM記事はこちら)で次のように述べている。 

 「日米地位協定は、日米合意をする過程でもさまざま議論をした。まずは環境面の問題について・・・協議するのがスタート。・・・全面的に改定するより、緊急度の高いものから着手する方向で考える。ただ、普天間の移転が進まない中で、・・・議論だけが先行するのは限界がある。ある意味で日米合意とパッケージだ」

 日米地位協定改定の議論は普天間飛行場の辺野古移設が実現しなければ行えないとの発言であるが、その真意が今回さらに明白となった。政権発足以降1年6カ月の間、沖縄の基地負担の軽減を唱えながらも日米地位協定改定への努力をしてこなかったことを政権自らが認めた。

 菅政権の沖縄問題に対する考え方がどこにあるのか、今週の国会の中で明らかになることを期待したい。 

 鳩山前首相の「(普天間飛行場移設問題に関する)抑止力発言は方便」の説明に、当初無関心だった大手メディアもここへ来て、何らかの反応を示してきた。しかし、その多くは鳩山前首相の発言の軽さであるとか、自らの責任を棚上げにして官僚に押しつけているとか、鳩山前首相の政治家としての資質を問うものに集中している。しかし、鳩山前首相の発言の問題点の核心はそのようなゴシップ的なものでは収まらない。

 問題の核心は、閣僚・官僚のいずれも沖縄の基地問題を本気で解決しようとしていないことが明らかになったことである。その意味において、鳩山前首相のあまりにも正直な発言に対して、評価する声が沖縄には存する。

「政権を取った後の難しさで、簡単じゃないとの思いから腰が引けた発想になった人も多かった。閣僚は今までの防衛、外務の発想があり、もともとの積み重ねの中で、国外は言うまでもなく県外も無理だという思いが政府内にまん延していたし、今でもしている。」
 鳩山前首相のいう腰が引けた防衛、外務閣僚が誰であるかは一目瞭然である。更に続く
「その発想に閣僚の考えが閉じ込められ、県外の主張は私を含め数人にとどまってしまった。」
 県外主張は鳩山前首相と福島社民党党首と他ほんの2,3人にすぎなかったということか。
 このような状況の中で、どうすれば日本の政治自体を動かすことができるのか。
 沖縄にとっての最大の課題である。
 国会では、鳩山前首相の参考人招致が実施される見通しであるが、単に、鳩山前首相の責任を問うのではなく、沖縄の基地問題の根幹を問う論戦を期待する。

 鳩山前首相の“抑止力は方便だった。”発言はその後の鳩山氏の釈明発言もあいまって大きな反響を呼んでいる。

 インタビューの中で、「最低でも県外」発言と民主党・沖縄ビジョン(2008)(詳細はこちらをクリック)について次のように述べている。「民主党は沖縄ビジョンの中で、過重な基地負担を強いられている沖縄の現実を考えた時に、・・党として『最低でも県外』と決めてきた。鳩山個人・・というより・・党代表として・・党の基本的考えを大いなる期待感を持って申し上げた。・・しなければならにないという使命感の中で申し上げた。しっかりと詰めがあったわけでなはい。」

 つまり、「最低でも県外」は党是であって、これを党代表として発言したものだと述べている。党全体として取り組むべき問題であるとの認識で述べたのである。

 2005年5月15日に実施された「普天間基地包囲行動集会」で普天間基地撤去を訴えたのが岡田幹事長である。ところが、昨年末に民主党が「民主党・沖縄ビジョン(2008)」を見直すという(HM内記事)ことが報道された。「最低でも県外」発言を抹殺するための見直しなのだろうか。

 沖縄の声に耳を傾け、沖縄の基地負担軽減の原点に、民主党が戻ることはできないのだろうか。

 鳩山前首相が新聞社とのインタビューの中で、沖縄の米軍基地について以下のように発言している(新聞報道より抜粋)。

  防衛省、外務省の沖縄の米軍基地への発想について

「防衛省、外務省の沖縄の米軍基地に対する存在の当然視があり、数十年の彼らの発想の中で、かなり凝り固まっている。動かそうとしたが、元に戻ってしまう。」

 抑止力発言について

「海兵隊自身が(沖縄に)存在することが戦争の抑止になると、直接そういうわけではないと思う。海兵隊が欠けると、(陸海空軍の)すべてが関連している中で米軍自身が十分な機能を果たせないという意味で抑止力という話になる。それを方便と言われれば方便だが。広い意味での抑止力という言葉は使えるなと思った。(周りからすると)何でいまさら『学べば学ぶほど』という話しで抑止力なのか、と思ったと思う。」 

米国が辺野古にこだわる理由について

「米国は沖縄にいることでパラダイスのような居心地の良さを感じている。戦略的なメリットも当然だが想いやり予算、県民の優しさも含めて。国内には沖縄より良い場所はないという発想があるのではないか。」

 今回の反省点は

「相手は沖縄といようりは米国だった。最初から私自身が乗り込んでいかなきゃいけなかった。これしかあり得ないという押しこんでいく努力が必要だった。オバマ氏も今のままで落ち着かせるしか答えがないというぐらいに多分、(周囲から)インプットされている。日米双方が政治主導になっていなかった。」

 鳩山前首相の「最低でも県外」発言の実現に向けて、実は、政府は何もしていなかった、ということか。結局、防衛・外務両省の意向に屈したと報道等で指摘されてきたが、そのことが鳩山前首相の口から明らかにされた。

 沖縄自身もあらたな戦略が必要である。

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          47ニュース鳩山由紀夫前首相のインタビューの一問一答

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集団的自衛権行使は憲法違反。安保関連法案を廃案にせよ。(17)
辺野古新基地建設阻止、高江ヘリパッド建設阻止行動(キャンプシュワーブ・高江等)(57)
名護市辺野古海域の埋立は人類に対する犯罪だ。美しい辺野古の海を守りましょう!!!(11)
普天間飛行場の辺野古移設阻止(127)
許すなオスプレイ配備(183)
許すなオスプレイ配備2(50)
沖縄の米軍基地(23)
夜間爆音被害の実態 嘉手納・普天間両米軍基地(26)
第4次、第3次嘉手納基地爆音差止訴訟等訴訟、爆音関連(281)
嘉手納米軍基地の爆音(115)
嘉手納町役場から入手した爆音データより(17)
米軍機(オスプレイ等)事故(56)
普天間基地の爆音の最新情報(16)

電子書籍

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