嘉手納基地の騒音被害が拡大している。外来機の相次ぐ飛来などで、嘉手納基地から発生する騒音が増加し、エンジン調整時には飛行機から排出される排気ガスによる悪臭も後を絶たない。

 参議院選のさなか、いづれの候補者、党も沖縄の基地負担の軽減を訴えるが、嘉手納基地から発生する基地被害は縮小するどころか拡大しているのが現状である。

 嘉手納基地の被害を伝える報道 沖縄タイムス

 嘉手納町議会が日米合意撤回を求める意見書を採択伝える報道

                        琉球朝日放送琉球放送

   沖縄の基地負担については、戦後の米軍占領下の中で米軍基地が建設されたことがよく知られているが、実は、戦中にも日本軍の飛行場が多数建設された。例えば、現在の嘉手納空軍基地は、沖縄に上陸した米軍により占領された陸軍沖縄中飛行場跡に建設された。
 日本軍による戦線拡大の中、軍事基地を持たなかった沖縄にも、南方の基地を結ぶ中継地としての重要性が意識されるようになり、基地建設がおこなわれた。
平成15年度沖縄県受託事業 旧軍飛行場用地問題調査・検討報告書をもとにして、戦中における沖縄における飛行場建設状況について明らかにしたい。

1、戦中に沖縄県内に建設された飛行場

①伊江島飛行場

②陸軍沖縄北飛行場(読谷飛行場)

③陸軍沖縄中飛行場(嘉手納飛行場等)

④陸軍沖縄南飛行場(仲西飛行場等 現浦添市)

⑤陸軍沖縄東飛行場(西原飛行場等)

⑥陸軍首里秘密飛行場

⑦海軍小録飛行場(海軍那覇飛行場)

⑧海軍糸満秘密飛行場

⑨海軍南大東島飛行場

⑩海軍宮古島飛行場(平良・現宮古空港)

⑪陸軍宮古島中飛行場(上野)

⑫陸軍宮古島西飛行場(下地)

⑬海軍石垣島南飛行場(平得飛行場・大浜飛行場)

⑭海軍石垣島北飛行場(平喜名飛行場・ヘーギナ飛行場)

⑮陸軍石垣島飛行場(白保飛行場)

 2、各飛行場の建設経緯等

①伊江島飛行場

  昭18〜19:陸軍航空本部等による新設工事

  昭19.5〜昭20.2:拡大工事等

  昭20.3:日本軍守備軍により破壊

②陸軍沖縄北飛行場(読谷飛行場)

  昭18:村内6字、1956筆、約266万㎡の土地を軍が接収

  昭19.9:航空作戦基地といて利用できるまでに完成

  昭19.10.10:米軍による空襲(10.10空襲)

  昭20.3:米軍上陸直前、部隊は飛行場を破壊し、撤退

  昭20.4.1:北谷海岸に上陸した米軍により占領 

③陸軍沖縄中飛行場(嘉手納飛行場等)

  昭19.5:約47万㎡を軍が接収し、着工

  昭19.9:完成

  昭20.4.1:北谷海岸に上陸した米軍により占領

④その他の沖縄の本当内の飛行場は米軍上陸により戦況が悪化するなく、建設途中で中断あるいは使用されることなく米軍に占領された。

⑤宮古島の飛行場

 昭18.5〜19:海軍宮古島飛行場、陸軍宮古島中飛行場、陸軍宮古島西飛行場建設 3飛行場とも空襲を受けるたびに決死の補修工事を行ったが、作戦計画の変更で宮古の飛行場が本格的な航空作戦に利用されることなく終戦を迎えた。

⑥石垣島の飛行場

 昭19.1:ヘーギナ飛行場の拡張工事 平得飛行場の新設工事着工昭19.6:白保飛行場建設 

 昭19.10.12:石垣で初めての空襲

 昭20.4〜6:空襲が続き、石垣島の飛行場が航空作戦に活用される機会はなくなっていった

 普天間飛行場移設問題で、地元沖縄の民意を無視して、辺野古移設を強行しようとする菅首相には危うさを感じながらも、これまでの政治経歴から若干の期待も持っていたが、消費税増税論議の必要性を唱えてからは、その発言に危機感を持つ。

 自民党の消費税増税の主張に対して、それに乗っかるかのように、増税論議の必要性を訴えた菅首相。昨年8月の衆議院選挙では、増税なしでも財政の立て直しは可能であり、当時の鳩山首相は在任中の4年間は増税しないと明言した。その鳩山首相が辞任し、自民党が増税の必要性を主張した途端に菅首相は増税論議の必要性を説き始めた。掌を返す変貌ぶりに国民は困惑するのは当然である。ここで必要なのは、先の衆議院選挙での公約を破ってまで増税論議の必要性を主張するに至った経緯の説明である。その意味において、自民党谷垣総裁の公約の撤回を謝罪してからでなければ、増税論議には応じられないというのは正しい。

 ところがここへ来て、菅首相の発言が揺れている。増税するにしても、低所得者へ配慮するために食料品や教育費に関しては税率を低く抑えると言ったかと思うと、低所得者については消費税相当分の還付行うと言い始めた。しかも、還付する際の低所得者の範囲については、当初は年収200万円以下としていたのが、話すたびに金額が変わり、近々の演説では400万円以下と述べたという。確かに、菅首相の言い回しはこのようは方法もあるというもので、そうするとは言っていないので、公約とはならないのかもしれない。

 しかし、本来菅首相が説明すべきは、増税論議の必要性を主張するに至った経緯であり、選挙目当ての耳触りの良い話ではないはずである。増税論議の必要性についても決着がついていない段階で低所得者への配慮を謳うなどは本末転倒ではないのか。

 鳩山前首相の普天間飛行場移設問題における「最低でも県外」発言は、当時の党代表の発言にもかかわらず、最後は公約ではなく、個人的意見であったと述べて辞任した。

 今回の菅首相の消費税増税に関する発言は、現総理大臣の発言である。日ごとどころか、発言するたびに変わる発言には、鳩山前首相以上の危機感を抱く。 

 新聞報道によれば、27日、オバマ大統領と初めて会談した菅首相は、普天間飛行場の名護市辺野古への移設を目指すと約束したという。そして、両者は県内移設を進めるために、沖縄の基地負担の軽減に努力することで一致したという。

 これより先に、米国下院では、基地負担を担ってきた沖縄に対して感謝決議をしたという。

 名護市の稲嶺市長をはじめ、仲井真県知事、間近に迫る参議院選の県内候補者すべてが県内移設に反対しているにもかかわらずである。

 国政レベルの動きと、地元の意向との不安定さは救いようがない。

 移設に関し、「代替施設の位置、配置及び工法に関する専門家による検討を速やかに(いかなる場合でも10年8月)完了させ」るとしている。 7月の参院選後に検討を開始すると報道されているが、こんな短期間では検討はおろか、もっとも大切な地元への説明、同意を得ることは到底不可能である、ことは誰が考えても明白である。

 やるとすれば、施設の位置、配置及び工法は自民党の現行案通り、知事の公有水面埋立許認可権を特措法で奪い、機動隊を導入して工事を強行する。最悪のシナリオである。

 菅首相がここまで腹を括っているとは思えないが、沖縄の極めて不安定な状況は続く。

 菅首相がオバマ大統領と約束した内容が「移設を目指すと約束」したのであり、「移設を約束」したわけではない、とすれば、移設を目指したけれどダメだった、との選択肢が残されているかである。 

  昨日、慰霊の日に行われた沖縄全戦没者追悼式に菅首相が参列しあいさつした。あいさつの途中に「帰れ!」とのヤジが飛んだ。政府の姿勢に対する沖縄の本音を垣間見た瞬間だった。

 この状況については、今朝の「めざましテレビ」が初めて報道した。鳩山前首相の「最低でも県外」発言以降の状況からすれば、沖縄の菅首相来沖への反応がいかなるものか、極めて重要なはずである。にもかかわらず、多くのマスコミはこの状況を無視しているかのようである。

 普天間飛行場移設先問題に関する報道の在り方については、その偏向性が指摘されてきた。当初、普天間飛行場問題は日米関係を危うくするとの危機感を煽る報道が目立っていたものの、現在は影も形も無くなった。

 昨日の仲井真知事と菅首相との会談においては、現状での辺野古案の実現は困難であることが確認され、今後も継続して議論していくことが確認されたという。何を議論しようというのかまったく不透明であるが、ひとまず、参議院選挙まで、問題は先送りされた。

 7月の参議院選挙後の国会の勢力図によって、普天間飛行場移設問題の方向性が決まってくる。

 選挙民の懸命な選択が必要だ。

 式典での菅首相発言への県民の反応についての地元紙の報道はこちらをクリック

 今日、慰霊の日の正午前から行われた沖縄全戦没者追悼式に菅首相が参列しあいさつした。あいさつの途中に「帰れ!」とのヤジが飛んだ。政府の姿勢に対する沖縄の本音を垣間見た瞬間だった。

 あいさつの中で、菅首相は、これまでの沖縄の苦悩の歴史に対し、全国民を代表して謝罪し、アジアの平和・安全の維持への貢献に対しては感謝すると述べた。今後は、基地負担軽減に努めるとともに、沖縄の自立、経済の持続的発展のために努力することも強調した。

 しかし、普天間基地移設問題については一切触れなかった。先の所信表明演説では、「(沖縄の)長年の過重な負担に対する感謝の念を深めることから始めたいと思います。」と述べた菅首相。

 菅首相は、これまでの沖縄の負担に対して謝罪し、アジアにおける平和維持の貢献については感謝した。戦後60余年に渡る沖縄の負担が過重であり、その状況は改善されていない。このような状況で更に、新基地建設の負担を強いるのか。

 菅新首相には懸命な選択を期待したい。

  DEAR President OBAMA

  オバマ大統領へ二度目の手紙を書きます。 
  大統領もご存知のとおり、沖縄は、第2次世界大戦中には、日本で唯一の地上戦を経験し多くの犠牲者を出しました。これは時の日本政府が、米軍の本土上陸を許さないために沖縄を防波堤として選んだが故の結果でした。戦後は、日米講和条約の締結にあたり、日本の独立を守るために沖縄を米国に差出し、沖縄は米軍の施政権下に置かれ、米軍による住民の意思を無視した基地建設が行われました。そして、本土復帰を果たした後も基地負担の状況は変わりません。沖縄は戦中、戦後、そして復帰後も日米両政府の施策により基地負担を強いられ続けてきたのです。
 それ故、昨年8月の衆議院選挙での鳩山民主党代表の、普天間飛行場移転先に関する「最低でも県外」発言は、当然のことであり、正しい選択であったのです。政権交代により、沖縄はその将来に明るい展望を抱きました。
 しかし、その約束は1年も経たないうちに破たんし、鳩山首相は責任を取って辞任しました。しかも、あろうことか、辞任直前に辺野古現行案回帰の日米合意を取り付けました。
 普天間基地移設問題に関する先の日米合意等の状況をみると沖縄の民意が正確に大統領に伝えられていないのではないかとの懸念を抱き、この手紙を書きました。
 6月21日、来沖中のルース駐日大使が沖縄県議会の高嶺議長と面談しました。その際に、大統領あての親書が、ルース大使に託されました。近日中には大統領の元へ届くことでしょう。
 普天間基地移設問題に関する沖縄の民意は親書に記載されているとおりです。日米両政府が行うべきは沖縄の基地負担の軽減であり、新たな基地建設ではありません。沖縄の民意が新たな基地建設を認めないと言っているのです。沖縄は米国の植民地ではありません。
 将来に渡る日米の協力関係の重要性を担保するためにも、米国政府は懸命な方途を選択すべきです。

  大統領の英断に期待します。

 7月11日投票の参議院議員選挙に向けて、沖縄選挙区候補者3名が、ともに普天間飛行場の県外・国外移設を求めた。新聞報道によれば、3氏ともに先の日米共同声明に反対を表明し、普天間飛行場の県外・国外先については、伊集唯行氏が「無条件撤去」、島尻安伊子氏と山城博行氏が「県外・国外移設」を求めたとされる。

 菅首相は、自民党の消費税増税案に呼応するなどして、普天間飛行場移設問題の選挙での争点化を避けるかのような動きを見せているが、争点隠しなどできるはずもない。

 18日には、仲井真知事との会談のためにルース大使が来沖した。来沖の目的は今後の沖縄と米国との教育交流や大学院大学を中心とした交流促進の確認とされていたが、仲井真知事は普天間飛行場の県内移設の困難性を指摘し、知事と大使との意見交換する機会があれば意見交換したい旨を伝えたという。

 この間の菅政権の動きは、先の日米共同声明を踏襲し、名護市辺野古に普天間飛行場を移設することが沖縄の基地負担軽減の出発点になると確信しているとの発言を繰り返すだけである。菅首相をはじめとした閣僚発言は「確信している」と述べるのみで、負担軽減の具体的な中身はない。具体的な中身はどうするのか。米国の理解を得ながら、これから考えていくという話である。

 これでは、沖縄の民意が納得するはずはない。

 これからも、沖縄の声を発信し続けることが重要である。

 【ここまでの沖縄の動き】

 ①自民党沖縄県連は、米軍普天間飛行場移設問題について「一日も早い危険性除去と、県外・国外移設を強く求める」と明記した参院選の独自公約を発表(詳細はこちらをクリック)

 ②名護市では、辺野古、豊原、久志の久辺3区の住民らが「久辺3区 稲嶺市長を支える会」を発足(詳細はこちらをクリック)

 沖縄慰霊の日(6月23日)特集

 慰霊の日は、去る大戦において失われた多くの御霊を慰めるために、昭和49年10月21日に、沖縄県が制定しました。(沖縄県慰霊の日を定める条例はこちらをクリック)

 慰霊の日には、毎年、糸満市摩文仁の平和祈念公園で沖縄全戦没者追悼式が行われます。

 唯一の地上戦を経験した沖縄の中でも、平和公園のある南部地域は特に戦火が酷く、戦後は平和への想いをこめた記念碑や慰霊塔が建てられました。その中でも、平和の礎(いしじ)は、終戦50周年を記念して造られたもので、戦火で亡くなった24万人余の人々の名前が、国籍に関係なく刻まれています。亡くなった方の名前の刻銘は現在も続けられており、今年もうるま市内の事業所で行われています。(刻銘の新聞報道はこちらをクリック)

 6月23日の沖縄全戦没者追悼式は官新首相が参列する予定になっています。菅首相は、普天間基地移設問題について、沖縄の、長年の過重な負担に対する感謝の念を深めることから始めたい、と述べながらも先の日米共同声明を踏襲することを示し、沖縄の民意に応えようとはしていません。沖縄全戦没者追悼式で、菅首相が沖縄に対して、何を伝えるのか、沖縄全体が注目しています。

 映像で振り返る沖縄戦:アメリカ軍が撮影した貴重なフィルムによる沖縄戦の様子や南部戦跡の様子等も見ることができます。(こちらをクリック)              

沖縄慰霊の日 関連書籍・DVD等はこちらをクリック

 沖縄の米軍基地(HM内記事) 

  ①基地被害の実態 

  ②沖縄が抱える米軍基地に関する課題とその克服に向けて

  ③基地関連書籍(広告リンク)

 驚きである。新聞報道によれば、民主党は7月の参議院選マニフェストに(普天間基地の辺野古移設が主目的の)日米合意の履行を盛り込むという。

 1年前の衆議院選挙では、鳩山党首が「最低でも県外」と公約して大勝利を納め、公約が果たせずに辞任した後の選挙で、正反対の政策を公約として掲げようというのである。

 正に舌の根も乾かぬうちに、である。

 マニフェスト選挙を掲げ、公約の重要性を訴えてきたはずが、ここにきてなりふり構ず走りだした感じである。

 政治状況が変化する中で、公約の修正は当然であるとの意見は正しい。しかし、修正するからには、投票した選挙民への十分な説明をするべきである。鳩山前首相も菅新首相も言い訳するのは、日本防衛のために抑止力であり、アジア太平洋地域の抑止力の一点張りで、抑止論を否定する論拠に対し、十分に反論しているとは、とうてい思えない。

 マニフェスト選挙は、選挙民がマニフェストを信頼しているからがこそ成立する。1年もたたぬうちに完全に方向転換し、その十分な説明もなしえない政党にマニフェスト選挙を戦う資格はない。私はそう思う。

  昨日、新内閣発足後、仲井真知事と菅首相との初めての会談が行われた。新聞報道によれば、菅首相は「日米合意を踏襲する」といい、仲井真知事は辺野古移設は極めて厳しいとして、日米合意の履行は困難との認識を示したという。菅首相は沖縄の基地負担軽減に一生懸命に取り組みたい」とも述べたと言うが、辺野古移設を前提として基地負担軽減に一生懸命に取り組むと言われても、沖縄の民意は納得しない。

 岡田外相は、 2005年5月15日に実施された「普天間基地包囲行動集会」では普天間基地の沖縄県外への早期移転を求めたが、政権を取るや否や県内移設を唱え始めた。菅首相も同じである。野党時代は普天間の県外移設を唱えていたはずであるが、首相になるまでは普天間問題に口をつぐみ、首相になるや否や辺野古移設を唱え始めた。

 鳩山氏、岡田氏、菅氏と民主党の重鎮が、こと沖縄問題に関しては簡単にその政治姿勢を変える状況に極めて違和感を覚える。しかも、政治姿勢を変えたことについては十分な説明もなく、それどころか、沖縄の民意を無視し、闇雲(やみくも)に、まっしぐらに進んでいくようにさえ見える。

 6月23日慰霊の日には菅首相が来沖する。沖縄の、平和を祈る思いに、菅首相は何を見出し、何を語るのか。注視しなければならない。

 先週の金曜日に菅首相の所信表明演説が行われた。

 国政のあり方について、冒頭部分では「国民が積極的に参加し、国民の統治による国政を実現する」とし、二の改革の続行では「住民参加による行政を実現するためには、地域主権の徹底が不可欠です。」と述べている。つまり、国政の基本は国民であり、地域主権の確立が必要であるとしているのである。

 これを普天間飛行場移設問題にあてはめるとどうなるのか。

 沖縄の民意が新たな基地建設を許さない、基地の整理縮小を求めていることは明らかである。先の日米合意が菅首相の所信表明の内容と相いれないことは明白である。 

 菅首相は、普天間飛行場移設問題については、その移設・返還の実現と沖縄の基地負担軽減が必要であることに言及しながらも、先の日米合意の踏襲がその前提であるとしている。正に沖縄の思いとは正反対である。しかし、同時に、その末尾で、「(沖縄の)長年の過重な負担に対する感謝の念を深めることから始めたいと思います。」と述べ、慰霊の日に式典に参加することを表明した。「感謝の念を深めること」ができたのなら、沖縄の民意に応える方途はひとつである。今回の来沖が選挙前の単なるポーズに終わらないことを期待する。 

 普天間飛行場移設先問題について、菅総理は先の日米合意を踏襲すると述べているが、その後のこの問題の担当閣僚である岡田外相、北沢防相の発言には危機感を抱く。

 新聞報道によれば、

 岡田外相は「沖縄が受入れ難いというときは、前に進めなくなる。現在の状況が固定化されるといことでもある。」と述べ、8月末までの検討作業については「沖縄の理解を得る努力をしなければならないが、理解を得なければ前に進まないということではない」と発言し、

 北沢防相は、地元辺野古の「合意」が得られなくとも、「理解」にとどまる段階でも代替基地建設作業に着手する可能性を示唆しているという。

 この問題の担当閣僚二人は、何としてでも、辺野古に基地を建設しなければならないと考えているようだ。岡田外相は「現状の固定化」という脅し文句を用いてでも、日米合意を推し進める決意を示している。

 民主党マニフェストには地域主権が謳われている。外交・防衛は国の管轄であろうが、一部地域に外交・防衛のための負担を求めるのであれば、当該地域の同意は大前提である。ここに地域主権の本質があるのではないのか。

 沖縄の基地負担軽減のための「最低でも県外」の公約を守れずに首相が辞任したのであれば、当該担当閣僚も当然辞任に値する責任がある。

 沖縄の民意に耳を向ける姿勢を備えた人物が、問題解決に当たらなければ、解決し得ないと思う。

 菅新内閣に関する世論調査が実施されているが、どの調査結果を見ても60%を越える支持率が示されている。参議院議員選挙を控え、民主党にとっては思わぬ、好結果であると評価されている。この余勢をかって、一気に選挙に突入したい民主党と郵政法案の成立に拘る国民新党と間で国会の会期延長が議論されている。

 菅内閣の高支持率とともに、沖縄にとって気になる調査結果も出ている。普天間飛行場移設問題について、菅首相が先の日米合意を踏襲することを表明したことを受けての質問であるが、合意通りに進めるべきであるとの回答が51%を越えたというのである。

 菅新首相への期待が、普天間問題についても新首相を支持するかたちで現れたのであろうと解説する向きもあるが、この数字は、沖縄にとっては不安な数字である。

 沖縄の基地問題について、まだまだ理解が得られていないことを示す数字と言えるだろう。

 沖縄は、沖縄の民意を、沖縄の声を、これからも発信しつづけなければならない。

 今日8日の夕方に行われた記者会見で、普天間飛行場移設先問題については、先の日米共同声明の内容を踏襲すると述べながらも、沖縄の了解が得られていないことについては認識しており、8月までに工程表を作成するという約束は、約束されたから、必ずしもこれに拘束されるということではなく、(基地負担軽減を含めた)沖縄の理解を得るための努力と、行程表の策定を同時に進めていくと述べた。

 先の日米共同声明では、「代替施設の位置、配置及び工法に関する専門家による検討を速やかに(いかなる場合でも10年8月)完了させ」るとしている。

 沖縄の民意が辺野古受入れに傾く可能性は極めて低い。

 検討と沖縄の同意を得る努力を同時に進めるようだが、これが成就する可能性は極めて低い。単なる選挙対策のための内閣とならないか、危惧する。

 菅内閣の全閣僚が内定したと報じられた。「脱小沢」だの、「選挙暫定」だの、いろいろな評価がなされているが、普天間飛行場移設に関して言えば変わり映えのしない布陣だ。

 当初から嘉手納統合を主張してきた岡田外相や辺野古現行案回帰を主張してきた北沢防相は再任された。菅首相は日米共同声明に明記された辺野古案の踏襲を表明し、その上で現在沖縄の歴史に関する本を読んで、沖縄のことを勉強中と述べた。枝野新幹事長は日米共同声明の実行が沖縄の基地問題解決の近道だと述べ、菅新体制は鳩山首相が辞任間際にまとめた日米共同声明を実行することが明らかとなっている。前原国交相は鳩山首相の辞任劇の経過について沖縄の怒りはもっともであると述べ、沖縄の痛みに理解を示したものの日米共同声明の実行は政府の責任であると述べている。

 これで、夏の参議院選挙で民主党が勝利すれば、普天間飛行場移設問題は、ますます混迷を深めることになる。民主党政権は、地元の理解を得ることなく強行するつもりなのだろうか。

 北沢防相は世論調査の結果について、質問事項のあり方を変えれば結果は変わると述べたが、4.25県民大会in読谷に結集した9万人余りの行動や、豪雨の中の5.16普天間基地包囲行動に結集した1万8千人の行動を知らないのだろうか。それとも知らんぷりすることに決めたのだろうか。

 夏の参議院選挙は候補者の公約(口約ともいう)を見極め、マニュフェストに書いてなくても口約は公約であることを踏まえて、賢明な候補者選択をしなければならない。

 6月5日に掲載した嘉手納基地の騒音被害の実態(2)に続くシリーズである。今回は、深夜・早朝(22時〜6時)騒音発生回数の年度毎の推移を示したい。基本資料は同じく嘉手納町役場基地渉外課騒音測定資料である。

2 年度別深夜・早朝(22時〜6時)騒音回数の推移

(1)嘉手納地域

種別 /年度 H8 H10  H15  H18  H19  H20  H21 
年間発生回数  1,120 1,065 1,745 1,813 2,194 4,231 4,992
1日平均発生回数 3 3 5 6 12  14
計測日数  358  361  354  355  358  356  359 

(2)屋良地域(滑走路進入路地域/道の駅かでながあるところ)

種別 /年度          H11  H15  H18  H19  H20  H21 
合計発生回数    2,750 3,376 3,912 2,801 3,271 3,250
1日平均発生回数   10 10  11
計測日数   270  355  356  357  357  353 

(3)兼久地域(西海岸埋立地域/国道58号線沿)

種別 /年度 H9 H10  H15  H18  H19  H20  H21
合計発生回数  921 1,194 1,072 935 601 614 677
1日平均発生回数 3 3 2 2 2 2
計測日数  342  360  351  354  356  363  356 

  昼間の爆音ではなく、夜間(午後10時から翌朝午前6時)までの騒音発生状況である。嘉手納町に住んでいる私自信、こんなに酷い状況になあるとは思わなかった。特に、平成20,21年度の夜間爆音発生状況は異常である。屋良地域(滑走路進入路地域)よりも嘉手納地域の爆音数が上回っているのはエンジン調整音であろうと考えられる。スクランブル(緊急発進)でもないのに、何のために夜中にエンジン調整を行うのだろうか。しかもエンジン調整を行う場所は、嘉手納住民地域のすぐ傍にあるエリアで実施される。植民地支配意識丸出しであると言われても、米国は反論のしようがないのではないか。米本国では絶対に許されないはずである。

 沖縄の基地負担軽減は喫緊の課題であり、菅新内閣には率先して取り組んでもらいたい。

 6月6日(日)の琉球新報に興味深い記事が掲載された。琉球新報が実施した衆参両院の国会議員に対して行った普天間飛行場の返還問題に関するアンケートである。賛否両論の結果が出ているが、私の目を引いたのはアンケート結果ではなく、このアンケートに回答を寄せた数である。同紙の記事を引用する。

 「調査は、5月20日ごろにアンケート用紙を東京・永田町の各議員会館事務所に届け、衆参の全国会議員の11%に当たる78人が同月末までにファクスで回答した。」(詳細はこちらをクリック)

 驚きの数字である。国家議員の10人に1人しか回答していないのである。回答しなかった理由には様々あるだろうが、この数字は普天間問題への関心の薄さを示している。

 沖縄の各首長がそれぞれの立場で、全国の地方公共団体の首長や議会議長に問題提起をし、議論の必要性を訴えているのに、国会議員の関心度がこれほど低いのは看過してはならない。

 政治と金の問題での集中審議が必要だとの声が聞かれるが、沖縄の基地問題に関する集中審議の方がよっぽど必要のようだ。

 菅総理は、今、沖縄の歴史に関する本を読み始めたと語った。アンケートに現れた無関心度を加味して考えると、総理になって初めて沖縄問題に関心を持ち、勉強を始めたとも受け取れる。

 沖縄がなすべきことは沖縄の声を発信し続けることであるが、そのあて先として国権の最高機関の構成者である国会議員に向けることが必要のようだ。

 5月19日に掲載した嘉手納基地の騒音被害の実態(平成22年4月沖縄防衛局測定資料から)では、爆音被害の現状について示したが、今回は、年度毎の推移を示したい。基本資料は嘉手納町役場基地渉外課騒音測定資料である。

1 航空機騒音発生回数の推移

(1)嘉手納地域

種別 /年度 H5 H10  H15  H18  H19  H20  H21 
年間発生回数  19,069 20,393 23,463 21,315 18,786 23,074 25,170 
1日平均発生回数 55 56 66  60 53  65  70 
年平均WECPNL  76.3 75.7  77.5  77.8  76.4  77.5  78.3 
年間最高値(dB)  107  101.9  101.7  102.9  103.3  100.7  101.5 

(2)屋良地域(滑走路進入路地域/道の駅かでながあるところ)

種別 /年度   H12  H15  H18  H19  H20  H21 
年間発生回数    34,153 41,425 38,731 32,549 39,357 39,785
1日平均発生回数   98  116  109  91  110  113 
年平均WECPNL    81.2  83.8  84.4  81.4  82.3  83.1 
年間最高値(dB)    104.9  107.4  107.0  105.7  106.7  108.0 

(3)兼久地域(西海岸埋立地域/国道58号線沿)

種別 /年度   H10  H15  H18  H19  H20  H21 
年間発生回数    16,794 19,595 18,204 16,779 16,605 17,484 
1日平均発生回数   47  56  51  47  46  49 
年平均WECPNL    73.8  75.1  75.2  73.4  73.1  74.2 
年間最高値(dB)    101.0  101.0  101.3  102.5  99.9  102.5 

  過去10年間の騒音に関する資料である。嘉手納町では町内のどこにいても、嘉手納基地の爆音被害に晒されている。表に示されているとおりである。

 WECPNLは国の定める航空機騒音に係る環境基準(詳細はこちらをクリック)である。専ら住居の用に供される地域では70以下、住居以外の地域であつて通常の生活を保全する必要がある地域では75以下となるように規定されている。

 嘉手納町はすべてが住居用地域であり、国の環境基準を満たしている地域はない。それどころか屋良地域にあっては、年平均WECPNLが80を超えており、しかも、年間騒音最高値(dB)は、兼久地域平成20年度を除いて、100dBを越えている。国の騒音に係る環境基準(詳細はこちらをクリック)では主として住居の用に供される地域では昼間55dB以下、相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域でも昼間60dB以下とされている。健康被害等の発生も懸念される状況になっている。

騒音レベル(詳細はここをクリック)

100dB:列車が通過する時の高架下地下鉄車内、電車の駅 

80dB(会話困難) :交差点、マーケット、国道

 沖縄の民意が、何故あらたな基地建設を許さないのか、この状況を見ていただければ理解できるのでないだろか。 

 鳩山首相辞任後の首相に菅氏が就任した。市民運動出身者でもある菅氏の登場に若干の期待もしたが、普天間問題については先の日米共同声明を踏襲すると明言した。失望させられた。

 今回の交代劇が7月の参議院選挙対策であることは、誰がみても明らかだ。普天間問題に関して、辺野古現行案への回帰により、日本本土への基地移転の途が閉ざされたことに、有権者が安堵しているとすれば(基地被害が沖縄、徳之島以外には及ばないことに安堵するということ)、党首交代は成功し、民主党が勝利することもあるだろう。

 確かに、菅氏も沖縄の基地負担軽減に取り組むと述べ、日米共同声明にもその旨は記載され、米国首脳もその旨を発言している。しかし、それは辺野古現行案の受入れが前提である。

 嘉手納基地の外来機による演習は激化し、基地負担の軽減どころではない。米国のスタンスは軍の十分な演習等が満たされた後に、基地負担の軽減を考えるところにあるのだ。日米共同声明の内容も、米国が気が向けば基地負担軽減に取り組むとしかなっていない。

 いったい誰が、どこが政権を取れば沖縄の基地負担軽減を実現できるのか。

 鳩山首相辞任後に、翁長那覇市長がコメントしている。

 「首相が辞めても、日米共同声明が残されている。」

 「今後も沖縄から県内移設の反対の声を上げ続けなければならない。」

 その通りであると思う。決して引いてはならないのだ。

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