沖縄防衛局長
井 上 一 徳 殿
嘉手納基地への米州空軍F16戦闘機等の暫定配備中止、嘉手納基地での自衛隊の訓練等中止及びCV-22オスプレイの沖縄での訓練中止等を要求する抗議要請書
2014年4月3日、小野寺防衛大臣は衆議院安全保障委員会において照屋寛徳議員の質問に対して、「嘉手納飛行場の航空機騒音につきましては、周辺住民の方々に多大な御負担をおかけし、大変深刻な問題であると認識をしております。」と答弁した。嘉手納米軍基地の爆音被害について、防衛大臣が「多大な御負担をおかけし、大変深刻な問題」との認識を示したのである。嘉手納基地における爆音被害の除去は緊急課題である。
ところが、嘉手納基地の爆音は軽減されるどころか増大している。常駐機に加え、今年1月にはウィンスコンシン州空軍州兵部隊が、6月にはバーモント州空軍州兵部隊が、さらに10月22日オクラホマ州空軍が期限不明のまま暫定配備された。さらにはCV-22オスプレイの沖縄での訓練実施までもが通告されている。嘉手納基地周辺住民の爆音被害等は増大するばかりだ。
CV-22オスプレイ配備について、中谷防衛大臣は「沖縄の訓練場におきましては、離発着訓練及び空対地射撃訓練の実施を想定している旨、米側から説明を受けております。これ以上の具体的な事項については、防衛省は承知をしておりません。」「現時点において沖縄における具体的な飛行運用について、米側から説明を受けているというわけではございません。」と発言する。緊急課題である沖縄の基地被害除去についての意識がまったく無く、ただただ米国に唯々諾々と付き従う、当事者意識の無い責任逃れの態度に終始している。このことは、基地被害除去を求める沖縄の民意に、さらには小野寺前防衛大臣の「多大な御負担をおかけし、大変深刻な問題」との指摘に背を向けるものであり、私たち国民の身体生命財産の保護を預かる大臣としては「失格」であることを、強く指摘する。
そして、さらに、爆音被害に輪をかける訓練を自衛隊が実施している。航空自衛隊は、嘉手納基地周辺自治体に対し、9月30日に小牧基地所属のKC−130空中給油機が習熟訓練のため嘉手納基地で訓練を実施すること。10月1日、8日、15日、22日には那覇基地所属の早期警戒機E-2Cが嘉手納基地で訓練をすると通告してきた。自衛隊機による嘉手納米軍基地での訓練は、連日実施される上空通過や緊急着陸等、これまでも繰り返し実施され、目撃されている。先の小野寺前防衛大臣の指摘を見れば明らかなとおり、米軍機の爆音被害にさらに輪をかける訓練を、自衛隊が実施することなど許されないはずである。
また、強行に進めようとしている辺野古新基地建設については、同基地が完成すれば嘉手納基地の機能はさらに強化され、訓練等により爆音被害等が増大し、住民の生活環境の破壊は明らかだ。翁長知事の承認を取り消しにより、埋立事業は違法事業となった。直ちに中止すべきであり、これ以上の基地被害の増大は許されない。
さらに、辺野古新基地建設に関しては貴局の不手際が次々に明らかになっている。翁長知事の埋立承認取消しに対する不服審査請求は、行政不服審査法の趣旨を逸脱する違法審査請求である。貴局が設置した普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会委員と同施工事業者との癒着が次々と明らかとなり、同委員会に求められる客観性・公平性・正確性等について疑義が生じている。同委員会において環境監視の職務がまっとうできるのか極めて疑問であり、解散すべきものと考える。
よって、平和運動センター、中部地区労働組合協議会及び第三次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団は、爆音被害除去を実現するために、米州空軍の嘉手納基地への暫定配備、自衛隊による嘉手納基地での訓練の実施及び辺野古新基地建設等に抗議し、下記事項の実現を要求する。
記
1. 米州空軍所属F16戦闘機等の暫定配備計画を止めること
2. CV-22オスプレイの配備を止めること
3. 自衛隊は、嘉手納基地での自衛隊航空機の飛行等を含むすべての訓練を止めること
4. 嘉手納基地の機能強化をやめ、「爆音防止協定」の遵守、爆音軽減を実行すること
5. 外来機の嘉手納基地への飛来を止めること
6. F35戦闘機等の常駐化をはかる整備計画を撤回し、嘉手納基地の具体的な負担軽減を実施すること
7. 米国に対し、オスプレイの即時撤去を要求すること
8. 辺野古新基地建設について
①辺野古新基地建設を直ちに中止すること
②翁長知事の埋立承認取消しに対する不服審査請求を撤回すること
③新基地建設事業者との癒着が明らかになった「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会」を解散すること
④想定されているCV・MVオスプレイ100機、F35B等の飛行計画はどうなっているのか。特に視界不良・夜間飛行時の計画を明らかにすること。
⑤国(国土交通大臣)は、沖縄の民意を尊重して、翁長知事の辺野古埋立承認取消しに対する代執行等の手続きを、直ちに止めよ。
2015年11月2日
平和運動センター
議 長 山 城 博 治
中部地区労働組合協議会
議 長 久 場 英 明
三次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団
団 長 新 川 秀 清