学校現場の卒業式、入学式への配慮もなく嘉手納・普天間両基地での演習は続く。厳粛な式典を遮るかのように鳴り響く爆音。嘉手納・普天間基地周辺の小中高からの抗議の声があがっている。

 4.9琉球新報 「入学式時米機騒音に抗議 嘉手納高校長ら教育庁に対応要求!」

 4.8琉球新報 「嘉手納基地 爆音、入学式も妨害 卒業式同様 地元配慮なし!」

 昨年12.14沖縄タイムス 「爆音、学力テスト遅らす 嘉手納中(異臭も発生 説明中断)」 

 4.9沖縄タイムスより抜粋(4.8に実施された嘉手納・普天間両基地周辺の小学校入学式の状況)

 普天間第二小学校校長先生のコメント

  「児童の合唱中など、少なくとも4回は騒音が鳴り響いた。」

 北谷第二小学校教頭先生のコメント

  「式のあいさつの時に騒音が響いた。昨日の始業式に続き連日の騒音だ。」

 野国北谷町長

  「試験日の飛行自粛などは行われたりするが、入学式や卒業式も当然訓練を控えるべきだ」

 米海兵隊岩国基地所属のAV8Bハリアーによるフレア誤射後の経過である。 

 ①謝罪なく「トモダチ」アピール フレア誤射、米海兵隊報道発表(琉球新報)   

 ②フレア誤射 再発防止求め抗議決議 嘉手納町、沖縄市両議会(琉球新報)

 ③フレア誤射で沖縄・嘉手納抗議決議(沖縄タイムス) 

 フレアの誤射について、在沖米海兵隊報道部は誤射についての謝罪どころか、誤射は上空約760メートルで、基地周辺地域に何ら危険性が生じていないと説明。その上、東日本大震災の友達作戦による災害支援を強調した。つまり、震災支援をしているのだからこれくらいは甘受しろと言わんばかりの対応である。

 実戦配備により様々な攻撃機器を備えたハリアーから誤射されたという前代未聞の事故にもこのような対応である。沖縄は戦場ではない。住民が生活する場所である。その上空で誤射しておきながら、結果として被害が生じなかったことを良いことに、このような説明をするのは住民無視も甚だしい。周辺自治体議会の抗議決議は当然である。自治体が何ができるのか。周辺住民に何ができるのか。更に大きな行動に出る必要がある。

 嘉手納・普天間両基地の深夜・早朝の爆音が、、「嘉手納飛行場及び普天間飛行場における航空機騒音規制措置に関する合同委員会合意について(平成8年3月28日外務省)」、いわゆる騒音防止協定締結後に激増している。このニュースは沖縄タイムスが3月27日に報道した。

 報道を参考に平成8年(1996年)以降のの深夜・早朝の発生騒音回数を比較した。

①嘉手納基地の深夜・早朝(午後10時~午前6時)の騒音発生回数

年  度 `96 `98  `00  `02  `04 `06 `08  `10 `11
発生回数 1120 1065 1063 1767 1667 1813 4231 4907

予測値

5000以上 

②普天間基地の深夜・早朝(午後10時~午前6時)の騒音発生回数

年  度 `97 `98  `00  `02  `04 `06 `08  `10 `11
発生回数 177   95  388 1047  747  568 318 1001

予測値

1000以上 

 嘉手納基地の深夜・早朝の爆音の発生回数については、当HMの基地被害の実態でも報告した。騒音防止協定は完全に絵に描いた餅となっている。この現実を受けても、沖縄に基地被害を甘受せよと迫る政府の姿勢は常軌を逸している。しかも、与党民主党の岡田幹事長は普天飛行場の辺野古移設が解決しなければ、日米地位協定の改正にも手をつけられないと発言している。

 政府与党、民主党に沖縄問題を解決する能力はない。

 報道によれば、「米海兵隊岩国基地(山口県)所属のAV8Bハリアー垂直離着陸攻撃機が嘉手納基地を離陸後約760メートルでフレア(ミサイルの追尾を逃れるための熱源体)を誤射した。」「在沖米海兵隊報道部は沖縄タイムスの取材に『(操縦士の)不注意で発射してしまった。現在、内部で調査している』と説明した。」という。

 フレアの誤射事故はこれまでにも起きている。

 2006.3.30の事故:琉球新報   2006.8.25の事故:琉球新報①

 事件・事故が繰り返されるたびに抗議が行われるが一向に改善される兆しはない。私たちの頭上にいつフレアが落下するかもしれないと考えると身の毛がよだつ。石川の宮森小学校へのジェット機墜落事故をはじめとして、基地周辺の住民はつねに危険に晒されている。

 この問題をどうすれば解決できるのか。住民自身が思考しなければならない。

 昨日、3月27日に開催された第三次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団の結成総会については、県内マスコミのほとんどが報道しています。会場のかでな文化センターの熱気を確認することができます。

 報道  沖縄タイムス  琉球新報   琉球朝日放送  HNK沖縄

   満員の場内

   受付ロビー

  会場周辺の様子

 昨日、3月27日(日)午後2時、第三次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団の結成総会が、嘉手納町内のかでな文化センターで開催されました。2万2063人(3月10日現在)を擁する大原告団が結成され提訴に向けて動き出しました。会場のかでな文化センターには約1300名の原告のみなさんが終結しました。場内は満杯で立見が出るほど。この裁判への関心の高さをあらためて知ることができました。

 式では、冒頭で、東日本大震災で亡くなった方々への黙とうを捧げ、その後に、第三次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団から義援金1000万円が全国基地爆音訴訟原告団連絡会議の藤田団長へ託されました。この日は会場内でも義援金の募金活動が行われ約40万円が集まりました。

方針・予算・訴訟内容等の各案が承認された後に、役員案が提案され、団長には沖縄支部の新

川秀清氏が選出されました。その後、結成宣言・スローガンが採択された後、団結ガンバローで全員の団結を確認しました。

 これで、名実ともに第三次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団が走り出したことになります。

   総会スローガン

一、午後7時から午前7時までのすべての米軍機の飛行およびエンジン調整等をやめよ。

一、午前7時から午後7時までの爆音を65ホン以下にせよ。

一、国は周辺住民の健康被害、生活妨害を認めよ。

一、米国は、裁判に応訴せよ 。

一、静かな夜を取り戻すため頑張ろう 。

一、裁判闘争に勝利するため、裁判への参加行動に立ち上がろう。

 第3次嘉手納基地爆音差止訴訟の原告団は、昨日の会議で、当初予定していた3月28日(月)の提訴を延期することを決定した。未曾有の大地震で被災された方々の痛みを共有し、復興支援にあたる必要があると判断した。あらためての提訴日を4月28日と設定し、その期間に各支部へ義援金を募るなどして復興支援にあたることを確認した。

 なお、原告団結成総会は予定どおり、3月27日(日)に行われる。当日は会場内での義援金を募るなどの復興支援行動を行うことが確認されている。

 延期についての報道 沖縄タイムス 

 琉球朝日放送(映像の総会の様子は3月13日の嘉手納支部の結成総会です。) 

 3月13日(日)午後2時、第3次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団嘉手納支部の結成総会が開催されました。

 結成総会では、冒頭で東北関東大震災で被災され亡くなった方々への哀悼の意を表し黙とうを行いました。同時に被災された皆さんへの募金活動を行い、8万8千円余の義援金が集まりました。この金額については、後日、寄付されることになります。

 結成総会へは、約700人、642世帯が参加しました。3月12日には津波の影響で水釜地域のみなさんが避難せざるを得ず、結成総会の広報等が十分できない状況でしたが、多くの原告のみなさんに参加していただきました。植民地のような基地運用が許されている現状を打破するために、裁判を提訴し、裁判勝利に向けて運動を強化していくことが確認されました。会の最後には、結成総会宣言、スローガンを採択し、運動への取り組みを確認しました。

            結成総会宣言

 “基地被害をなくし、静かな夜を取り戻すために” 
 嘉手納基地から発生する基地被害は、単に爆音だけに止まらず、航空機のエンジン調整の際に発生する排気ガスや即応訓練等、私たちの生活に著しい被害を発生させている。これらの被害に対して、政府は基地被害の軽減を口にするもののまったく実現されておらず、それどころかその被害はますます激しくなっているのが現状である。
 これまで、嘉手納基地から発生する爆音を差し止めるため、2次にわたって訴訟を提訴した。しかし、いずれの裁判においても、裁判所は、一部損害賠償は認めるものの、私たちの願いである静かな夜を取り戻すための一歩である差止請求を退けてきた。
 このような状況を踏まえて、私たちは、基地被害をなくし、静かな夜を取り戻すために、第3次嘉手納基地爆音差止訴訟を提訴し、裁判勝利に向けて、様々な取り組みに着手し、強化していくことを、本日の結成総会で決定し、確認した。
 ここに第3次嘉手納基地爆音差止訴訟の勝利に向けて、全力を尽くすことを決意した。
以上、宣言する。
2011年3月13日
  第3次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団嘉手納支部

        結成総会スローガン

一、午後7時から午前7時までのすべての米軍機の飛行及びエンジン調整を禁止せよ

一、午前7時から午後7時までの爆音を65デシベル以下にせよ

一、国は周辺住民の健康被害、生活妨害を認めよ

一、日米両政府は基地被害を根絶せよ

一、静かな夜を取り戻すためがんばろう

一、裁判闘争勝利のため、法廷闘争に参加しよう

一、すべての原告は、嘉手納支部に結集し、団結しよう

 裁判提訴延期を伝える琉球朝日放送(映像はこちらをクリック)の映像の総会の様子は3月13日の嘉手納支部の結成総会です。) 

 第3次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団の各支部の結成総会が開催されている。2月26日に北谷支部、読谷支部が、翌27日には石川支部、沖縄支部が結成総会を開催して、各支部が発足した。具志川支部についてはすでに発足しており、嘉手納基地を抱える嘉手納支部については3月13日に結成総会が開催される。

 そして、提訴前日の3月27日には原告団の結成総会が開催され、原告団が結成される。いよいよ、原告団数22,058名のマンモス訴訟が動き出すことになる。

 去る2月25日(金)に、第3次嘉手納基地爆音差止訴訟の弁護団が県庁で記者会見を行い、同訴訟の概要を発表した。概要は以下のとおり(報道より抜粋)

  原告団数 22,058名

  相手方   国

  請求内容 

   (1)午後7時〜午前7時までの米軍機の飛行禁止、同時間帯の騒音を40デシベル以下に制限

   (2)午前7時〜午後7時までの騒音を65デシベル以下に制限

   (3)過去、将来分の損害賠償

     ①過去分約444億円の請求

     ②将来分の月一人あたり5万7500円請求

 2月上旬に発表された際には2万2063人(当HM記事はこちら嘉手納基地爆音訴訟原告数2万2063人に!!)とされたが、最終集計では5人少ない22,058名となる見込みのようだ。裁判は3月28日(月)に那覇地方裁判所沖縄支部に提訴される予定。

 2次訴訟の原告数5,540名。今回の第3次訴訟の原告数はその4倍の2万2063人。これだけの原告数に膨れ上がったのは、激化する爆音への付近住民の危機感の現れと言える。特に嘉手納町では爆音の激化だけでなく、エンジン調整の際の排気ガス被害、深夜を問わず繰り返される即応訓練等への非難の声がある。ちなみに、嘉手納町住民の原告数は全町民の約35%に上っている。正に、危機感の現れといえる。  

 新聞報道 沖縄タイムス

 第2次嘉手納基地爆音差止訴訟に対する最高裁決定が1月27日に出されました。内容は上告審として受理をしないという決定でした。つまり、最高裁での審理がなされないままに門前払いを受けた形になりました。これを受けて、最高裁に対する抗議声明を発したのが今回の記者会見です。声明では、今回の決定について「最高裁は、被告国による爆音発生の関与と被害の放置をあらためて容認した」ものと指摘し、「司法の役割と責務を放棄したものであって、断じて許すことができない。」と糾弾している。

 声明の末尾でも触れられているように、この怒りは第3次嘉手納基地爆音差止訴訟へと引き継がれていくに違いない。 

 

   声明発表(又吉副団長)             仲村団長              池宮城弁護団長

 

   声明文             955上告棄却決定           956上告棄却決定 

     記者会見を伝える新聞報道

         琉球新報   沖縄タイムス

 第3次嘉手納基地爆音差止訴訟は、原告団数が2万2063人、7492世帯となり、国内最大の訴訟となることが、原告団準備会で公表された。

   原告数 世帯数  人 口

人口に占める

原告数の割合 

北谷町     3934   1321  27,275    14%
嘉手納町     4916   1618  14,004    35%
うるま市具志川     4970   1597 118,953    8.6% 
うるま市石川     5373   1913
沖縄市     2139     744 135,623    1.5%
読谷村       731     299  39,878    1.8%
合  計 22,063   7492    

※嘉手納町以外は原告となりうるコンター75Wに該当しない地域があるため「人口に占める原告数の割合」は小さくなっている。

 今回の訴訟の特徴は原告数が2万人超という大規模訴訟になることもさることながら、嘉手納町の原告数が約5000人にのぼり、3人に1人が原告となっていることにある。その理由については様々考えられるが、最大の理由は民主党の普天間飛行場移設問題についての対応にあるのではないだろうか。「最低でも県外」と言いながら、当時の岡田外相を中心とした普天間の嘉手納統合案は嘉手納町民の怒りに火をつけた。平成21年11月7日の普天間飛行場の嘉手納統合案に反対する嘉手納町民大会は、その怒りを町民全体が意思表示する機会となった。

 「何も言わなければ認めたことになる」という危機感がこれだけの原告数になった要因ではないだろうか。

 菅首相を始め、菅政権閣僚のすべてが、沖縄の基地負担が過重であり、「慙愧に堪えない」、「不条理」な状況であることを認めている。嘉手納基地の状況が周辺住民に過重な負担を与えていることを認め、北沢防相も負担軽減するための方策をできるところから進めていくと強弁している。

 このような状況下で訴えが提起された場合、国は、損害の発生について争うのだろうか。これまでの第1,2次訴訟では、損害の発生について国が争ったことから判決までに期間を要した。差止については別としても、損害の発生については首相を始めが全閣僚が謝罪しているのであるから、争う点は少ないはずである。であれば、比較的早い段階での判決も可能ではないかと思うのだが。

 訴訟は、3月28日に、那覇地方裁判所沖縄支部に提起される。国がどのような対応をするのか、注目である。

 第三次嘉手納基地爆音差止訴訟についての報道

 沖縄タイムス     同社説 

 今日1月19日(水)12:15から、安保の見える丘(嘉手納町道の駅前)で開催された『静かな夜を返せ!F22戦闘機の配備撤退を求める抗議集会』に参加しました。参加各組織代表のあいさつでは、地域住民の生活を無視した米軍の横暴に対して声をあげなければならなず、期待された民主党政権は自民党時代には手掛けられなかったことにまで着手しているとの指摘があいつぎました。2万人超の規模になる嘉手納基地爆音訴訟も含めて、国を動かす大きな住民運動の必要性が指摘されました。最後は参加した約150人が抗議のシュプレキコールで抗議集会を終えました。

 

参集したみなさん 

 

抗議のシュプレキコール

 

糸数慶子参議院議員

 

 集会中にも演習が 

 

集会中にも上空通過

 

集会中にもヘリが上空を

参集したみなさん 

抗議のシュプレキコール

糸数慶子参議院議員

集会中にも演習が 

集会中にも上空通過

集会中にもヘリが上空を

 正月特集号の1面トップで第3次嘉手納基地爆音訴訟の原告団が2万人を超える見込みであると報じた琉球新報の1月3日社説(琉球新報HMはこちらをクリック)で、今回の第3次嘉手納基地爆音訴訟を『現代の民衆蜂起だ。』と称し、裁判所所は『飛行差し止めに踏み込め』と指摘した。

 社説でも指摘されているとおり、嘉手納基地を含む沖縄の基地運用は、米国内はもちろん、諸外国に存在する米軍基地と比較しても米軍の恣意により、自由気ままに使用されていると指摘されている。特に、深夜に及ぶエンジン調整や離発着は、沖縄以外の基地ではまず考えられないという。

 異常な飛行実態に抗議をしても、岡田前外相を始めとする日本政府は「基地の運用は第1義的には米軍に任されており、制限等はできない」というのが常である。沖縄に住む人間の生命・身体よりも米軍の訓練が優先されるというのである。社説の内容は決して誇張されたものではなく、沖縄の実態を示したものである。

 菅直人首相は年頭会見で、沖縄への米軍基地が集中という現状について「政治家の一員として大変ざんきの絶えない思いをしている。不条理という言葉で言い尽くせるかどうか分からないが、そういう思いを持ち、全体としては沖縄の基地負担を引き下げる方向でできることをできるだけ迅速に進めていきたい」と述べたという。それなら、何故、普天間飛行場の辺野古移設を強引に進めようとするのか。その意図が分からない。

 これまでは、沖縄の現状を広く知らせるために情報発信してきたが、今年は、沖縄の基地負担軽減に向けて、沖縄が主張し、告発する年になるに違いない。

 琉球新報は正月特集号の1面トップで第3次嘉手納基地爆音訴訟の原告団が2万人を超える見込みであると報じた。(琉球新報HMはこちらをクリック)第2次爆音訴訟の原告団数5540人の約4倍に達し、国内最大のマンモス訴訟になる見込みだ。

 民主党による政権奪取以降の動きは基地周辺住民に危機感を抱かせた。岡田前外相を中心とした勢力による普天間基地の嘉手納統合案の提起、そして、その後の辺野古回帰は、基地負担軽減という沖縄の要求を実現する意思のないことを明らかにした。そして、知事選において、県外移設を公約とした仲井間知事が当選した現在においても、菅政権は辺野古移設を沖縄に飲ませるべく、脅したり好かしたり、相も変わらず飴と鞭の政策を執っている。

 先の普天間基地爆音訴訟の控訴審判決において、福岡高裁那覇支部は「司法判断が3度も示されているのに、抜本的な対策を講じていない上、自ら定めた環境基準も達成していない」国の姿勢を厳しく非難した。

 以上の状況の中で第3次嘉手納基地爆音訴訟の原告数が2万人を超えるといのは重要だ。

 これまでは沖縄の現状について知事や県議会等が情報発信する段階から、主張・告発する段階に入ったと言える。黙っていたのでは何も進まない、それどころか現状が悪化することに沖縄が気付いたと言える。

 今年は沖縄が沖縄のために行動する年になるに違いない。 

 第三次嘉手納基地爆音訴訟嘉手納支部が受付事務所を開設したのは9月15日。それから受付が開始され、毎週土曜日には各区公民館等での受付事務も行ってきました。10月31日の第1次締切直前には予想以上の参加希望者が事務所に殺到しました。訪れた方の数は次のとおり。

日   時

10.27(水)  10.28(木)  10.29(金)  10.30(土)  10.31(日) 
訪問者数   162名   129名    140名    111名    38名 

 そのため、第三次嘉手納基地爆音訴訟嘉手納支部では、11月末日まで申込期限を行うことを決定しました。ちなみに、11月2日現在の原告参加申込者数は2022名、685世帯です。当初の目標は2000名、800世帯。世帯数の目標クリアも、もうすぐです。嘉手納基地の現状に不安を覚える嘉手納町住民の姿が浮き彫りになったといえます。更に上積みを目指します。

 今日、8月14日嘉手納町中央公民館で開催された第三次嘉手納基地爆音訴訟原告団準備会嘉手納支部の説明会に参加しました。会場は立見の参加者がでる程の盛況ぶりでした。第二次嘉手納訴訟の原告団のうち嘉手納町在住者が500人程度と少なかったことから考えると今回の訴訟への町民の関心の高さがうかがえます。

 基地負担軽減を掲げて政権を取った民主党政権が、普天間基地閉鎖に向けて打ち出したのが嘉手納統合案。このまま黙っていたのでは何をされる分からないという危機感の現れだ。

 弁護団長の池宮城紀夫弁護士があいさつでも述べていたように、沖縄を日米安保のゴミ捨て場にするような政府の施策に我慢する必要はない。声をあげなければならない。

 鳩山前首相の抑止論の意味は何か。たしかに、沖縄に基地を押しつけて米国軍の傘の下におさまっている日本本土にとっては“百利あって一害なし”だろうが、沖縄にとっては“百害あって一利なし”である。

 第三次嘉手納基地爆音訴訟の訴提起は来年3月を予定しているという。

 政治の場だけでなく、司法の場においても沖縄の声を訴えていくことになる今回の裁判には多くの住民が参加することが必要だ。 

 新嘉手納訴訟弁護団ホームページはこちらをクリック 

 ビッグニュースである。普天間基地爆音訴訟控訴審判決について、国が上告を断念したのである。これにより飛行差し止めを求めて上告した一部の原告を除いて、判決が確定することになる。

 控訴審判決では、これまで認められなかった低周波音による損害が認定され、賠償額が2倍に増額された。また、裁判所は、これまで「司法判断が3度も示されているのに、抜本的な対策を講じていない上、自ら定めた環境基準も達成していない」と、これまでの国の姿勢を厳しく非難している。

 通常、国の主張が認められない場合、最高裁まで争って判断を求めるのが通例であるが、今回は上告を断念し、判決を受け入れた。

 慰霊の日に行われた沖縄全戦没者追悼式では、菅首相は、あいさつの中であ沖縄に対して謝罪と感謝の言葉を述べたが、今回の上告断念もその延長線上にあるのだろう。

 判決の中でも「危険な基地」と指摘された普天間飛行場。それを更に名護市辺野古に移設しようとしている。総理が沖縄への謝罪と感謝の言葉を述べ、国は普天間基地爆音訴訟の上告を断念し、しかも、地元は明確に基地の受入れを拒否しているのにである。

 それでも、政府は辺野古への移設を強行しようとするのか。仲井真知事が表現するように「移設は極めて厳しい」のである。辺野古移設は断念すべきである。

 7月30日に言い渡された普天間爆音訴訟の控訴審判決では、飛行差し止め請求については、国の存立の基礎に極めて重大な関係をもつ事柄については司法機関が差し止め命令を発することはできない、として国の統治行為に属する問題については司法判断になじまないとして、それが夜間・深夜にかかるものであっても禁止できないといした。その一方で、「過去の嘉手納基地爆音訴訟で、これまで「司法判断が3度も示されているのに、抜本的な対策を講じていない上、自ら定めた環境基準も達成していない」として、国の姿勢を厳しく指摘している。

 つまり、飛行禁止等の措置には限界があり司法判断できないが、低周波音騒音を含む爆音により損害が発生していることは事実であり、その軽減策等、抜本的な施策を怠っている国の姿勢については厳しく非難しているのである。

 それでは、どうすれば飛行場周辺の地域住民の平穏な生活を守ることができるのだろうか。

 懲罰的損害賠償(ちょうばつてきそんがいばいしょう)という言葉がある。これは、損害賠償事件において、加害者の行為が強い非難に値する場合に、加害者に金銭的制裁を加えることによって、将来の加害行為を抑止する効果を期待して、実害の賠償額に上乗せして賠償額を決定するものである。英米国では認められているが、日本では認められていないとされている。

 今回の控訴審判決を受けて、今後は、地域住民の生活を守るためには、懲罰的損害賠償的な考え方が必要ではないかと思う。たしかに、控訴審判決では低周波音騒音を損害の発生源と認定し、1審に比べて賠償額が2倍に引き上げられた。財政難とされる国を動かすきっかけになるのではないかとの見方もあるが、抜本的な改善策を求めるためには5倍、あるいは10倍の損害賠償額となる必要がある。

 今回の控訴審判決が国の不作為を厳しき非難したことには極めて大きな意義があると思う。

 昨日、7月30日、普天間爆音訴訟の控訴審判決が言い渡された。今回の判決は、平成20年6月26日の那覇地方裁判所沖縄支部1審判決に比べて、原告の主張を認め前進した点がいくつか見られる。

 その一つは 基地から発せられる低周波音(詳細はこちらをクリック・ウィキペディアへ)騒音についても被害の発生源であることを認め、損害額算定を増額させたことである。その結果、1日当たりの慰謝料額が次のようになった。 

   1審判決   控訴審判決 
うるささ指数(WECPNL値)80区域   1日当200円  1日当400円
うるささ指数(WECPNL値)75区域   1日当100円  1日当200円

 WECPNLは国の定める航空機騒音に係る環境基準(詳細はこちらをクリック)である。それによれば、専ら住居の用に供される地域では70以下住居以外の地域であつて通常の生活を保全する必要がある地域では75以下となるように規定されているが、判決(判決要旨より 以下同じ)では、過去の嘉手納基地爆音訴訟で、これまで「司法判断が3度も示されているのに、抜本的な対策を講じていない上、自ら定めた環境基準も達成していない」と、これまでの国の姿勢を厳しく非難している。もっともな指摘である。

 しかし、飛行差し止め請求については、「原告らの請求は国の支配の及ばない第3者の行為の差し止め」として認めず、さらに「安保条約を廃棄したり、・・・・・、わが国の安全保障全般に直接影響し、国の存立の基礎に極めて重大な関係をもつ事柄。司法機関が差し止め命令を発することはできない。」としている。

 例えば、米国のアフガニスタンでの戦闘行為を日本の裁判で差し止めることはできないであろう。米国による、しかも、日本の主権の及ばない外国での行為だからである。

 しかし、普天間基地から発生する爆音はどうだろうか。爆音損害の発生地は日本領土内であり、しかも被害を受けているのは日本国民である。そして、基地のほとんどは地域住民の所有地である。にもかかわらず、日本の裁判権は及ばないのだろうか。

 先に衆議院選挙で民主党が政権を取り、沖縄の基地問題の解決が進むかと期待したが、元の木阿弥になりかねない状況になっている。裁判所は国の不作為を指摘するが、その国は無策である。

 憲法81条は「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」と規定する。この規定は、単に裁判所が違憲立法審査権を持つだけでなく、国の施策が国民主権、基本的人権の保障を損なうとき、救済すべく最後の砦としての役割を規定しているとの指摘もある。

 沖縄の基地問題が政権交代後も何ら進展しない状況下においては、司法の役割もまた重要になってくる。 

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登録番号  第08471847号
1960年(昭和35年)11月21日生まれ
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福地行政書士事務所

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辺野古埋立承認撤回(2018.8.31)(20)
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朝鮮半島平和構築(7)
名護市長選挙(2018年2月4日)(9)
2018.9.30沖縄県知事選挙、10.14豊見城市長選挙、10.21那覇市長選挙(20)
緑ヶ丘保育園・普天間第2小学校(宜野湾市在)への米軍ヘリ落下物事故(31)
うるま市伊計島、読谷村儀間、渡名喜島での米軍ヘリ不時着事故。さらに伊計島でのオスプレイのエンジンカバー落下事故。(8)
米軍ヘリ落下物事故、墜落、不時着等を受けての政府の対応(18)
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代執行訴訟、違法確認訴訟等これまでの経緯(翁長知事 辺野古新基地建設阻止)(257)
集団的自衛権行使は憲法違反。安保関連法案を廃案にせよ。(17)
辺野古新基地建設阻止、高江ヘリパッド建設阻止行動(キャンプシュワーブ・高江等)(57)
名護市辺野古海域の埋立は人類に対する犯罪だ。美しい辺野古の海を守りましょう!!!(11)
普天間飛行場の辺野古移設阻止(127)
許すなオスプレイ配備(183)
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沖縄の米軍基地(23)
夜間爆音被害の実態 嘉手納・普天間両米軍基地(26)
第4次、第3次嘉手納基地爆音差止訴訟等訴訟、爆音関連(281)
嘉手納米軍基地の爆音(115)
嘉手納町役場から入手した爆音データより(17)
米軍機(オスプレイ等)事故(56)
普天間基地の爆音の最新情報(16)

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