12月18日、沖縄防衛局により突然搬入された“普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書の補正後の環境影響評価書”。
12月16日の総選挙の結果に多くの県民が注目している間を突いての突然の搬入だった。(詳細は当HM記事辺野古移環境影響評価(アセスメント)の補正書、沖縄防衛局が突然搬入参照)
同補正後の環境影響評価書及び同書(要約書)は沖縄防衛局HMに掲載されている。下記項目をクリックすると同HMへ。
普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書の補正後の環境影響評価書
普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書の補正後の環境影響評価書(要約書)
同評価書の内容は膨大であるが、その内容について12月22日付琉球新報に補正部分要旨が掲載されたので、以下は同記事の内容を参考にした。
1.航空機騒音
爆音のレベルであるが、他機よりも安静であるとの結果は出ていない。交代機であるCH-53より安静であるとの評価は出ていない。
|
以上の状況で、環境保全措置については次のように記載されている。
・・滑走路をV字型にして運用を図ることから、周辺地域上空を基本的に回避する方向で対応しており、騒音による影響は、住宅地からの距離が離れることによる距離減衰が見込まれる。保全措置の効果を検証するため、・・環境監視調査を実施、対策を要する場合は専門家の助言を得て、米軍が環境保全措置を理解し運用するよう要請し、十分に調整する。 |
沖縄にとって聞き飽きた、耳にタコができるくらいに聞かされてきた内容である。
嘉手納・普天間両基地における騒音防止協定の形骸化、オスプレイ配備における日米合意の形骸化、差別規定そのものの日米地位協定の存在。
上記環境保全措置が、基地建設が実行されれば何の意味もないことを沖縄は理解している。だからこそ、辺野古新基地建設を阻止しなければならないのである。
2.低周波音
心理的・生理的影響については次にように評価されている。以下は同記事からの抜粋である。
・・低周波音により10カ所の予測地点のうち安部地区でのみ、・・閾値を心理的影響で0.3〜4.1デシベル、生理的影響で2.4デシベル上回った。低周波音による影響の程度については個人差が大きく、未知の部分もあることから不確実性が伴う。 |
予測調査地点のうち安部地区では影響が予想されること、さらに、「低周波音による影響・・については個人差が大きく、未知の部分もあることから不確実性が伴う」と指摘し、他の予測調査地点については影響が出ないとは言えないと結論付けている。
建物のがたつきなどの物的影響については、さらに影響が深刻であるとの評価を下している。
・・AH1及びUH1について一部の予測地点でのみ閾値を0.3〜7.3デシベル上回った。オスプレイについては全ての予測地点で閾値を0.3〜13.3デシベル上回った。・・ |
オスプレイによる影響の深刻さを示している。
補正後の環境影響評価書の内容は多岐にわたっているのだが、上記内容だけでも辺野古新基地建設がもたらす影響は明らかである。
総合評価において次のように記載している。
・・さらに準備書および評価書に対する知事意見などを勘案し、事業者の実行可能な範囲で最大限の環境保全措置を講じることにした結果、環境保全への配慮は適正であり、環境保全の基準または目標との整合性も図られていると判断した。・・ |
事業者である国ができることを最大限にやるから大丈夫、というお墨付きを与えているのだが、これで環境保全が図られるとは到底言えない。ましてや、先の環境影響評価書への知事意見『「環境保全上重大な問題」があり「自然環境の保全を図ることは不可能」』(詳細は当HM記事仲井真知事の意見は「環境保全は不可能!!!」国の環境影響評価書を全否定参照)に対する回答とはなっていないと考えられる。
今後は、国の埋立申請に対して、仲井真知事がどのような判断を下すかであるが、不許可以外にないと考えるのだが。